■たいへんだから学びも深い。まずは日米スタッフ間で文化交流
アロハストリート上野編集長:(以下、編集長)
関口さんの夢でもあったハワイ開催がいよいよ目の前ですね!
関口和之:(以下、関口)
ええ、本当に。準備に入ったのがかなり遅かったので、ここまでたどり着けて良かったです。
編集長:
去年はサザンの30周年、そして活動休止イベントと、いろいろお忙しかったと思いますが。
関口:
それがまあスタートが遅れたひとつの理由でもありますね。でも逆に活動休止がなかったら、いつまでも実現はできなかったもしれません。
編集長:
今年の夏で、日本の本家ウクレレピクニックも10回目を迎えるそうですね。
関口:
はい。ハワイ島で参加したスラックキーギター&ウクレレ・フェスティバルというのに感銘を受けて、日本でもぜひこんなイベントをやってみたい!と思ったのがきっかけでした。皆が本当にのんびりと集まって、ピクニックみたいに食べたり飲んだりしながら、心からリラックスして音楽を楽しんでいたんですね。ああ、これはいいなあ~と心から感動したのを覚えています。
編集長:
ハワイの野外コンサートではそういう感じのノリで行われるものも多いですが、なかなか公園でピクニックみたいに、というのはないかもしれませんね。
関口:
カカアコパーク自体がピクニックにぴったりの公園だと思います。ロケーションの最高ですし。日本では最初は逗子マリーナで開催しまして、それがだんだんと人数も増え、現在では横須賀のソレイユの丘というところで行うようになりました。1万人のイベントに育ってくれて感無量です。
編集長:
日本にいる時間の方が長いと思いますが、初のハワイ開催に向けて、準備はスムーズに行きましたか?
関口:
いやあ、実はかなりたいへんでして(笑)、ちょっと予想とは全然違う事ばかりで戸惑いました。
編集長:
日本の常識とハワイの常識は違いますしね。ペース感がまず違いますよね。
関口:
その通りですね。ハワイ側のスタッフも、とても一生懸命にやっていただいているのですが、コミュニケーションの仕方も違えば、物事の確認方法も違う。言葉が違うだけでもたいへんなのに、時間感覚の違いとかもあったりして……。
編集長:
日本の方はやはり先回りして細かなことを全部詰めて、とやられるのに対して、ハワイはギリギリまでかなりアバウトなところを残したままだったりしますよね。本番には皆さん強いんですけどね(笑)。
関口:
本当に(笑)。ハワイではイベントの告知もあまり前からやらないようですね。だから今年に入ってからです、本格的にハワイ側で告知活動が始まったのは。数千人のコンサートをやろうというのに、まあ無料でチケットセールスがないとはいえ、こちらはヒヤヒヤなのですけど。
編集長:
でもお互いを理解しあうという点で、とても良い経験になったのはないでしょうか。
関口:
まさにこれこそが真の文化交流という感じですよ(笑)。スタッフ間で日本の常識やビジネスカルチャーを学び合い、理解し合い、歩み寄って、ひとつのプロジェクトを進めてきましたからね。まずはスタッフから、ですね(笑)。
編集長:
今回の滞在では(1月中旬)、地元ラジオにKONISHIKIさんと出演されたり、ハワイスタッフと打ち合わせをしたりで、忙しく過ごされましたね。
関口:
これでやっとハワイでオフィシャルになったな、という感じですが、まだまだ細かな詰めが残っているので、本番当日までいろいろあるんでしょうね、きっと。でも、いよいよ実現が目の前。実感が湧いてきて、関係者の皆さんや、こういう機会を与えていただけたことに感謝しています。皆、本当に一生懸命ですし、だんだんとボクの思いを理解してくれています。
■ふたりのウクレレの師も応援! 夢の実現に向けて前進
編集長:
今回は最初から豪華ゲスト陣で、KONISHIKIさんをはじめ、日本からはウクレレの第一人者がそろいました。
関口:
日本のウクレレピクニックを一緒に育ててきてくれたメンバーたちは、やっぱりハワイでやることを夢に思っていてくれたので、いよいよという感じで参加を決めてくれました。
編集長:
ハワイ側の出演者も超豪華ですけれど、これも最初からの意図通り?
関口:
ボクががウクレレ普及活動を始めたきっかけは、オータサンの音楽を聴いたからなんですね。ウクレレの音色ややさしさはもちろんのこと、独特のスタイルや音楽性に感動して、ウクレレという楽器の奥深さを感じました。もう15年前のことになります。
編集長:
当時から日本ではウクレレが一般的に買えたんですか?
関口:
いいえ。インターネットで情報を調べることもできない時代ですし、国産のメーカーが小規模で楽器屋さんとかで売っているような状態でしたね。
編集長:
では独学で始められた?
関口:
いえ、やっぱりそこは1度ちゃんとハワイの方に教えていただこうと思って、訪ねたのがロイ・サクマさんでした。彼が私のウクレレの先生です。
編集長:
おお、こちらも大御所ですね~。今回はそのオータサン、ロイ・サクマさんという、ハワイウクレレ界の大御所おふたりに第1回ウクレレピクニック in Hawaii に出演いただけることになったということですね。
関口:
直接、日本からお電話でお願いしたのですが、快く賛同してくださって、本当にうれしかったです。今回はおふたりがセッションを行って、なんと私が最初に聴いて感動し、そしてロイ先生から教わった記念の曲「Song for Anna」を弾いてくださる予定です。オータサンが出された最新作CDの中でも、おふたりで競演されているんですよ。ぜひ多くの方に聴いていただきたいです。
編集長:
そのほかにもマノアDNAやタイマネ・ガードナー、マウナルア、カペナ、ロビ・カハカラウなど、そうそうたるメンバーが勢ぞろい。こんなプレイヤーのコンサートが無料で見られるなんて、ロコのウクレレファンが大騒ぎしてしまうのも無理はないですね。
関口:
日本から来られるウクレレファンもいらっしゃるので、最初は1回だけ記念に行われる日本人のためのイベントという見方をされてしまって、ハワイの協力スタッフにでさえ説明がたいへんでした。でも私たちはそうではなくて、日本発かもしれないけれど、ハワイのローカルイベントとして根づいていってほしいと願っているんです。もちろん毎年開催していきたいと思っています。
編集長:
せっかく本場で開催するのですから、やはり日本のウクレレファンとハワイのファンやアーティストとの交流の場になるわけですよね。
関口:
格好いい言い方かもしれませんが、これは「日本とハワイの文化交流」をめざしたものなんですね。ハワイに端を発した音楽が、日本でジワジワと盛り上がり、今ではNHKテレビで講座ができるほどになったわけです。ウクレレを扱うお店も増えて、ウクレレ人口は60万人とも言われています。日本から来たファンと、ハワイの人たちが同じステージに立つことで、同じ時間と空間そして感動を共有できることがそれ自体,交流だと思っています。
編集長:
ウクレレ、そしてピクニック、という言葉からは、とてもやさしいイメージが漂ってきますよね。
関口:
ええ。サザンの活動の傍らでウクレレにどっぷりはまり込んで、僕の人生にとってウクレレはなくてはならないものになりました。日本とハワイで盛り上がって、ウクレレピクニックという名前の中に込められた友好や平和、家族愛というメッセージが、全世界に広がっていけばいいな、というのが願いでもあり、夢でもあります。
編集長:
夢、といえば、関口さんは「ウクレレミュージアム」という構想をお持ちですよね。
関口:
今回のウクレレピクニックをはじめの一歩として、近い将来,ハワイにウクレレミュージアムを作るという夢を実現させたいんですよね。子供たちがウクレレの歴史を知ったり、楽器としてのウクレレの魅力を教えたり、技術を習ったりできる教育の場としてはもちろんのこと、エンターテインメントや観光のための場所として、皆さんに愛される場所を作りたいですね。
編集長:
すばらしい夢ですね!
関口:
僕自身、今後の人生を、音楽を通じて日本とハワイの架け橋になりたいと考えています。これは僕のハワイに対する恩返しなんです。
編集長:
私たちも微力ながら一生懸命、応援させていただきます。イベントの成功を心からお祈りしています!
■インタビューを終えて
静かなトーンでお話しをされる関口さんですが、その奥にはハワイ、そしてウクレレへの熱い想いがあるのですね。ハワイの人々や文化への感謝がこんなステキな形で実現されるのは、想いに賛同する人々がそれだけ多いということ。第1回のウクレレピクニックがハワイで成功するのは必然。そして、本当に近い将来ウクレレミュージアムができる気がしました 。
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