アートな祭りで新しいハワイが見えてくる!
変わりゆくハワイの象徴・カカアコ・タウンでいま何が起きている? ストリートアートの祭典POW!WOW!Hawaiiが想像以上に熱い!
公開日:2016.02.16
更新日:2017.12.10
アロハ! メグミです。
いきなり出だしから「ガッカリ顔」ですみません。
サングラスかけてるので、ガッカリ具合がよくわからないかもしれませんが、心の中では「ちくしょ〜!!」と泣き叫びたいほどのガッカリ状態だったんです。
なぜかというと...私が指差している壁の部分をクローズアップしてみましょう。
これですよ、これ!
何もないですよね? そう、ないんですよ。
私が来た時には、すでに、無残にも「誰かが取っていってしまった後」だったんです。
ここに何があったのかって? それは...。
こんな素敵なサーファーガールがいたはずなんですよ〜。
これは、ロンドンを拠点に活躍するアーティスト「Slinkachu(スリンカチュ)」の作品なんです。
Slinkachuは、「小さな人たち」を現実世界に配置し、それを写真に収めたユーモラスかつ風刺の効いたアートで、いま世界を席巻しているアーティスト。みなさんも、インターネットのニュースなどで見たことがないですか? ブロッコリーの森に住む人々とか、タバコの吸殻のオブジェを鑑賞する老夫婦とかの写真を。インスタグラムをやっている方は、ぜひslinkachu_officialで探してみてください。本当に素晴らしい作品ばかりなので!!
...ということで、Slinkachuの作品を生で見るという私の夢は叶わなかったわけですが、なぜそんな大注目アーティストがハワイに来たのか?
しかも、美術館やギャラリーではなく、街中の、誰でも手で触れられる無防備な壁なんかにアートを施したのか?
その答えは、こちらの動画でどうぞ!
そう、「POW! WOW! Hawaii 2016」のためにハワイに来ていたんですね〜。
POW! WOW! Hawaii(パウ!ワウ!ハワイ)とは、ホノルル・カカアコ地区を舞台に、ライブアート・パフォーマンスやアートに関するワークショップなどが行われる、ストリートアートの祭典。数年前から毎年この時期に開催されていますが、年々その規模が大きくなっている印象です。
カカアコ地区を訪れた事がある方なら、倉庫地帯に描かれたウォールアートの数々を目にしているかと思いますが、あれらのウォールアートもPOW! WOW! Hawaiiの時期に大幅に塗り替えられるんですよ(※全てのウォールアートがPOW! WOW!と関係があるわけではありません)。
しかも、ハワイ在住アーティストだけでなく、先のSlinkachuのように世界中の注目アーティストが参加しているのも、このイベントの魅力なんですよね。
通り沿いの大きな壁から、路地裏やお店の裏まで、個性豊かなウォールアートがいっぱい。
以前は、ウォールアートといえばスプレーを使うことが多かったと思うのですが、いまはスプレーだけでなくペンキやほかのツールを使ったりと、表現の幅が広がりましたよね。
あ、ここで私の言う「以前」とは、90年代後半のことですが...(苦笑)。
フリーペーパーが入っているプラスチックのマガジンラックまで、ちょっとアートな雰囲気。手前のラックは、Frank Lloyd Wrightっぽいですよね。
え! Banksy!?
......なわけないか〜!!
ということで、今年は2月4日〜13日まで開催されたPOW! WOW! Hawaiiですが、フィナーレを飾ったのが、13日夜に開催された屋外ライブイベント「Stranded in Paradise」。これが想像以上にものすごく楽しかったので、ご紹介します!
会場は、ケワロ湾の脇、フードトラックが集まる「メイカーズ&テイスターズ」の奥にあるだだっ広い野外エリア。今回はじめて足を踏み入れたのですが、港の先に、こんなに広いスペースがあったのか...と驚くほどの広さ。
メイカーズ&テイスターズも、週替りでフードトラックが入れ替わるというコンセプトが面白いので、ぜひ下記、ユカリンのレポートも見てみてくださいね。
「毎日おいしい&楽しいフードトラック万歳!」>>
イベントスタート時には、こんな感じで来場者もまばらで、正直「おいおい、このイベント大丈夫か?」と思ったのですが、夜が更けるにつれて人も増え、ものすごい盛り上がりになりました。
ステージから少し離れたところには、素敵なアートが施されたトラックの姿が。
じつはこちら、POW! WOW! Hawaiiをスポンサーしているハワイアン航空が、実際に空港で使用している「フード・ローダー」と呼ばれるもの。描かれているアートは、ホノルルのアーティストKamea Hardarと東京のアーティストHITOTZUKI(ヒトツキ)のコラボレーションなんですよ。
すでにKameaは中心部にある人物画を描き終わっていますが、この日のイベント中にHITOTZUKIが描き入れ、コラボを完成させるというライブペイント・パフォーマンスが行われると...!
ライブペイントはまだ始まらないとのことなので、まずはステージ前に移動し、音楽にひたることに。
特設ステージでは、地元ハワイのバンドが出演し、ロックで妖艶なウクレレプレイヤー、タイマネ・ガードナーも登場。だんだんと会場が温まってきたところで...!
レゲエシンガーEli Mac(エリマック)がステージに! 小さい体から発せられるぶっとい声がものすごくカッコ良い〜!
Eli Macのグルーヴでステージ前のエリアは完全にダンスフロア状態に。
Eli Macのハナホウ(アンコール)では、日本からやってきたレゲエシンガー、Likkle Mai(リクルマイ)とのコラボ!
ふたりとも、ちっこい! けどめっちゃパワフル!!
そのままの流れでLikkle Maiのターンに。この頃には陽もとっぷり暮れ、いい具合の夜フェス的な空気になっていて、会場のロコもみんな超ノリノリで踊りまくってました。
日本からのアーティストによる音楽で、会場がこんなに盛り上がるって、個人的にはとっても幸せな気持ちになりましたよ〜。
すごくJamminな時間でした。ありがとう、Likkle Mai!
LAからのDJ BABUとRAKAA IRISCIENCEが登場。ヒップホップはあまり詳しくないので、うまく言えないのですが、ものすごく存在感があって、かっこ良かったです。
そうこうしているうちに、フード・ローダーのライブペイントが始まっていました。
ステージを横目に黙々とペイントしているのは、HITOTZUKIのKAMIさん。本来、HITOTZUKIはKAMIとSASUという夫婦のユニットなのですが、なんと残念なことにSASUさんが体調不良ということで、KAMIさんがお一人で仕上げを行っていました。
イベント時間中に作品を仕上げないといけないため、残念ながらコメントをいただく時間がなかったのですが、お願いして写真だけは撮らせていただきました。KAMIさん、ありがとうございました〜!
KAMIさんと同じフード・ローダーの反対側には、LAを拠点に活躍するアーティスト、DEFERがペイントを施していました。
こちらも時間がないということで、写真だけ撮らせていただきましたが、撮影した後に彼の熱烈なファンが駆け寄ってきて、「いま撮った写真はどこで見られるの!? インスタをフォローするからアカウント教えて!!」と詰め寄られてびっくりしました(笑)。すごい人気なんですね〜。
ステージのトリを飾ったのはレゲエバンドTHE GREEN。いまやハワイを飛び出し、全米規模、いや、世界規模で大人気のTHE GREEN。全曲みんなで大合唱が起こるほど(笑)、熱量がすごかったです。
イベントが終わったのは、夜10時過ぎ。
会場を後にすると、ケワロ湾に停泊するボートと、その向こうには開発が進むカカアコ地区の象徴、建設中のコンドミニアム郡が夜空に浮かび上がっていました。
この景色も、これからどんどん変わっていくんだろうなぁ。
ここ数年で急速に変わっているハワイ。
昔は「美味しいものがない」と言われていたのに、パシフィック・リム・キュイジーヌという独自のグルメジャンルが生まれ、グルメ体験はハワイの大きな魅力のひとつになりました。
ファッションの世界も、毎年秋に開催されるハワイ・ファッション・マンスを筆頭に、「アロハだけじゃない」ハワイ独自のムーブメントが生まれつつあります。
そして、アートも。
ダウンタウンに集中していたギャラリーの数がひとつずつ減っていき、ダウンタウンがアートな街からグルメな街にシフトしていく中、ハワイの現代アートはどこへ向かうのか?と思っていたら......。
カカアコという未知数が眠る街、混沌と整頓が隣り合わせのこの街は、刻一刻と変わる不安定さも含めて、その存在自体がとてもアート的。
飾って売るアートじゃなくて、どんどん成長していく街の一部としての、再生器官としてのアートって、新しいムーブメントの匂いがプンプンします。
いや、もしかしたら、来年はどうなっているか、わかりませんけどね。
でも、何かおもしろいことが起きると思うので、その希望的観測も込みで、
カカアコ、注目です!!
この記事を書いた人
マローン恵(メグミ)
アロハストリート副編集長。ワイキキ、マノア、モンサラット、マキキを経て現在はカイムキ在住。好きなものは地ビールと地コーヒーと地チョコレート(全部発酵食品!)。ハワイ島取材班としても意欲的に活動中。
Twitterアカウント:@Megumiinhawaii
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