アロハに満ちたハワイ音楽界の若き立役者
ハワイ音楽のスピリットを受け継ぐ新世代の代表と言われるパリさんにハワイの音楽界についてお話を聞きました。
公開日:2011.10.13
更新日:2017.06.14
4人組のハワイアン・ミュージック・バンドPALIのリーダーであるパリさん。2011年はハワイのグラミー賞とも言われる「ナ・ホク・ハノハノ・フェスティバル」のメインプロデューサーとして活躍。ハワイ音楽のスピリットを受け継ぐ新世代の代表とも言えるパリさんに、これからのハワイの音楽界についてお話を聞きました。
編集部: 5月のナ・ホク・ハノハノ・ミュージック・フェスティバルは、メインプロデューサーとして大活躍でしたね。いかがでしたか?
パリ: とにかく大きなイベントでしたね。ナ・ホク自体は34年目を迎える歴史あるイベントで、以前はミュージシャンを表彰するアワードだったんです。フェスティバルの形になったのが昨年から。そして今年は初めて、5月の1カ月間を「ハワイアンミュージック&フラの祭典 Mele Mei(メレ・メイ)」と位置付けて祝い、様々な催しを行ったんです。
編集部:期間中は、音楽やフラなどに関する「ワークショップ」も多く行われたんですよね。
パリ: はい。ウクレレやスラック・キー・ギターのレッスン、フラやハワイ語のレッスンからハワイアン・クラフトの作成まで、ハワイを感じる様々なワークショップがありました。せっかくすばらしいミュージシャンやアーティストたちが大勢いるのに、その技術や想いを若い人たちに伝えたり教えたりする場がないのはもったいないでしょう? これからハワイ文化を担っていく人たちが、「本物」に触れる機会を増やしたいんです。もちろん、子どもたちも含めてね。
編集部:ずいぶん幅広いコンテンツが用意されていたんですね! 驚きました。
パリ: ハワイには、音楽やフラなど独自の分野において「レジェンド」と呼ばれる人たちが、数多く存在してきたんです。彼らが伝えようとしてきたことを、若い世代の人たちにシェアし、教育し、継承していける場を提供したい。逆に、ハワイ以外の場所で活躍しているミュージシャンを呼んで、彼らの経験や知識をハワイの人たちが学べる機会も増やしたい。音楽やフラが好きな人が、気軽に集まって一緒に楽しみながら学び、そしてハワイのカルチャーをさらに広めていく…そんな夢のあるイベントを作りたかったんですよ。
編集部:ミュージシャンでありプロデューサー。両立するのは大変じゃありませんか?
パリ: 僕自身、多くの尊敬すべきアーティストたちに刺激を受けて成長しています。「本物」である彼らに出会うことで、モチベーションも上がる。もっと音楽に向き合いたいって思うんです。自分が、ミュージシャンとしてだけでなく「制作側」に関わることで、新しく見えることがあるんですよ。もちろん、大変なことも多いけどね(笑)。ほかの仕事でも同じなんだろうけど「みんなで一緒に作り上げること」って大切。大人数で動く場合は、みんなのバランスも大事にしなくてはね。たとえば、一部の名のあるアーティストだけが注目されるのでなく、そこに携わるみんなが協力し、尊重しあうことでより良い作品(イベント)になるというか。僕は、そういう思いを忘れたくないんです。
編集部:すてきですねー! そして、最終プログラムのナ・ホク・ハノハノ・アワードも盛り上がりましたね。
パリ: はい。やはりこういったアワードはとても大切だし、受賞したミュージシャンはみな素晴らしい人たちばかり。とくに、デビューアルバムで最優秀アルバム賞など四冠に輝いたマーク・ヤマナカはハワイ島出身の注目株。ほかにも、3部門を制したナプア・マクアなど本当に実力者ぞろいで、みんなキラキラしてますね。僕自身も、2009年に受賞したときは信じられないくらいうれしかったのを覚えています! こうやって、みんながいい刺激を受けながら、前へ進んでいけたらうれしいですね。
編集部:ワークショップやフェスティバルには、日本から参加された方も多かったそうですね。
パリ: 今回、イベント前の3月に大きな震災があり、日本のみなさんはとてもたいへんな思いをされていました。でも、そんな中でも大好きなハワイに行きたい、ハワイの音楽に触れたい…と思ってくれた人が多くいたことは、とてもうれしいことです。実は、僕自身もゴールデンウィークに日本へ行ってチャリティライブを行いました。サザンオールスターズの関口さんたちと一緒に被災地である仙台へも足を運び、避難所にいるみなさんのお話も聞きました。僕らができることは小さなことかもしれない。けれど、音楽を通じて少しでも日本の人たちをサポートしたり、アロハを伝えたいと心から思っているんです。
編集部:ハワイでも、チャリティライブを行われていましたね。「Kokua Japan @ Pakele Live!」…私たちも参加させてもらいました
パリ: 協力してくれて、本当にありがとうございます。僕らは毎週パケレライブというストリーミング・ライブを行っているんですが、震災後はそれを「チャリティライブ」の形にしました。数多くのハワイのアーティストが賛同してくれ、またハワイの様々な人たちがドネーション(寄付)に協力してくれました。おかげで、その5週間で合計$18,000もの金額が集まり、すべてをハワイの赤十字に寄付できました。
編集部:私たちこそ、感謝でいっぱいです…。ハワイのみなさんは、本当に温かいですね。
パリ: 日本はハワイにとって特別な場所。日本のみなさんは僕たちのオハナ(ハワイ語で家族)なんです。ハワイのみんなが日本のことを思い、愛を送っています。だから一緒にがんばりましょう。そして、できることならハワイへ来てもらえたらうれしい。ハワイの空気の中で、深呼吸して元気になってほしいですね。そして木曜の夕方は、パケレライブへどうぞ! レストランウィローズのおいしいハワイアン・ビュッフェと最高のライブを用意してお待ちしています。ハワイの音楽と食事をたっぷり楽しみながら、やさしい時間を過ごしてもらえたら最高です。
Profile
PALIバンドのリーダーでありメインボーカル。ギターをはじめ様々な楽器も演奏し、ナ・ホク・ハノハノ・アワードなど受賞歴多数。作曲、プロデュース、エンジニアとしても才能を発揮し、ハワイの音楽業界に広く深く関わっている。毎週木曜に行われる「パケレライブ」のプロデュースや、人気TV番組『ドコガTV』の司会としても活躍中。ハワイのIT 企業ラヴァネットの社長を務める一面も。
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