読者代表がジェイク日本ツアーをレポート!
アロハストリート読者の櫻井貴史さんが、5月に日本で行われたジェイクのコンサートをレポートしてくれました。熱のこもったレポート記事をどうぞ!
公開日:2013.06.12
更新日:2017.06.14
6月に入り、ハワイは真夏のようなお天気が続いていますが、ウクレレマスターのジェイク・シマブクロさんは「Grand Ukulele Tour 2013」で、アメリカ本土ツアーを決行中です。
さて、ジェイクが5月に行った「Grand Ukulele Japan Toue 2013」のレポーター募集企画にご応募いただいたみなさん、ありがとうございました! 今回は、アロハストリート読者代表として、櫻井貴史さんにレポートをお願いしました。というわけで今回は、櫻井さんから届いた、熱のこもった臨場感あふれるレポートを、写真とともにお届けします。(櫻井さん、すばらしいレポートを本当にありがとうございました!)
■JAKE SHIMABUKURO 「Grand Ukulele Japan Toue 2013」コンサートレポート
5月11日(土)松戸森のホール21・小ホール (千葉県松戸市)
まだ寒さの残る3月下旬、私はアロハストリートホームページにて「Jakeのコンサートをレポートしてみませんか」の記事を見つけてしまいました。「ハワイに行く」という言葉はよく使いますが、今回は「ハワイが来る」のです!応募しない理由が有るわけもなく、早速アロハストリート編集部様へとメールさせていただきました。募集人員は東京近辺4会場のいずれかで「1名(チケットは本人と1名の同行者分の2枚)」ということでかなりの競争率が予想され、半ば諦めかけ忘れかけていた4月下旬、1通のメールが。受信時刻は朝の5:20。うっすらまどろむ中、内容を確認するとレポーター当選のお知らせでした。眠気が一気に覚め、“ノミがピョンピョン跳ねる”気分になったのは言うまでもありません。奇しくもその日は4月24日。そう、ジェイクの新譜「GRAND UKULELE(日本盤)」の発売日でした!この日から小学生のような指折りカウントダウンが始まるのです。
コンサート開催日まで2週間あまり。予習として「GRAND UKULELE」のCDを毎日聴きながら日が近づくにつれ高まる嬉しさと期待感、そしてレポート提出の緊張感。毎日ソワソワしつつもまずは同行者探し。会えばいつも一緒にハワイ話をしている友人、成田尚美さんをお誘いしたところ、ひとつ返事でOKをいただきました。彼女も当日まで指折りカウントダウンをしていたことは想像に難くはありません。そのほか私にできる事といえば会場までの約100kmの道順と週間天気予報をチェックすることぐらいでしたが、当然ですが結果は毎日同じ。ただ、開催日の3日前あたりから天気予報に傘のマークが…。遠足前の子どものようになかなか寝付けないコンサート前夜、降り出した雨の屋根を伝い落ちる一定の心地よい静かな雨音を聞いていたらいつの間にか寝ておりました。
5月11日コンサート当日、雨。天気予報の精度の高さに感心しつつも、もはや天気のことはどうでもよく思えました。14:30に友人の成田さんをピックアップ。車内ではもちろん「GRAND UKULELE」のヘビーローテーション。数時間後に目の前で繰りひろげられる演奏を想像すると、自然と右足に力が入ってしまい…。雨の高速道路ではアクセルを踏み込む足を自制しながら一路、茨城県から千葉県松戸市へ。
道中多少の渋滞もあり、「松戸森のホール21」に到着したのは、16:30頃でした。雨に濡れまいと地下駐車場を目指すも、すでに満車。駐車場から会場に向かうまで3、4人にしか会わず、「もっと多いのでは?」と思った刹那、会場のロビーに入るとたくさんの人が! この日は偶然?にも15:30より同会場大ホールにて由紀さおりさんのコンサートが行われておりました。「これは、もしやっ!」と感じたのは私だけではないはずです。なぜならば、開場待ちの数え切れない人達がロビーに張り出されているジェイク、由紀さん両氏のポスターを目にしているはずだからです。なぜ“由紀さおりさん”なのかは、またのちほど。
いよいよ小ホール開場時間の17:00になり、誘導員の指示に従いジェイクファンは一列に並び入場口へ。私たちは関係者入口でチケットを受け取り入場しました。この入場口から小ホールまでの踊り場ではCD、DVD、ステッカー、ポスター、Tシャツ、ウクレレ、ジェイクのサインなどを扱う販売ブースのテーブルが並び、歩くスペースが無いほど多くの人でにぎわっていました。
私たちもこの機を逃してはいけないと、Tシャツを購入。品物によっては開場間もないにもかかわらず、すでにソールドアウトになっているアイテムも。販売ブースの一角には、「レインボーフォージャパンキッズ」、「東日本震災被災者支援プロジェクト」と銘打った募金箱が設置されていました。担当者さんの説明では被災地の子どもたちが2週間ハワイに滞在し様々な体験学習を行う事業を支援するための募金だということで、もちろん私達も一助になればと協力させていただきました。
開演10分前になり、いざライブ会場の小ホールへ。このホールは512人収容の馬蹄型客席形式(オペラ劇場を想像して下さい)で、ステージと客席との距離がとても近く感じられる造りになっています。中に入ると、うっすらとスモークが漂っており、これから行われるライブへの期待感がいやがうえにも増幅させられました。私たちがいただいたチケットの席は観客席のちょうど真ん中で、ジェイクと同じ目線の高さ、音響もバランスが良い最高の位置でした。(ありがとうございました!)
開演時間の17:30を2、3分過ぎた頃ホールが暗転、スポットライトがパフォーマー“ジェイク・シマブクロ”を照らし、1曲目は「ISLAND FEVER BLUES」。イントロが特徴的な曲だけに観客全員が聞き入り、ホール全体が彼の世界に引き込まれて行くのがわかりました。どこか厳かさを感じさせる曲のあとは、「MORE UKULELE」。爽快なリズムを指先で奏でながら、ジェイクの軽快なステップはCDでは決して味わうことのできない「楽しさ」を目で観賞できました。1曲目では無かった観客の手拍子が起こり、この曲の楽しさを感じると共にこれから120分素晴らしい時間を全員が共有するためのプロローグのように感じました。続くはイギリスのシンガー、アデルのカバー曲「ROLLING IN THE DEEP」。私はこの原曲(特に詞)が大好きでジェイクのニューアルバムに入っているのを聞いたときは「あの詞の曲をウクレレで!」とびっくりしたものです。ステージで演奏するジェイク、原曲を思い浮かべる私、詞をイメージしたかのようなパープルピンクのライトアップ。私個人の気持ちになってしまいますが、「立体的」にこの演奏を楽しむことができました。
ここで一旦小休止。ジェイクからの日本語まじりの「ヨウコソ」MCと次の弦3本アレンジ曲についての話があり「MISSING THREE」のやさしさを感じる演奏へ。「UKULELE FIVE-O」の前には、ハワイが舞台のドラマに触発されて作ったとの説明があり、曲名紹介では思わず「HAWAII FI…」と言ってしまい、あわてて「UKULELE FIVE-O」と言い直す一幕がありました。観客で笑っていたのは「HAWAII FIVE-O」を知っている人たちでしょう。私は昔の「HAWAII FIVE-O」しか知りませんが…。ウクレレの音色がとても綺麗な「BLUE ROSES FALLING」においては、咲き落ちる青い花にインスパイアされたという少し切ない話を英語とそれの日本語訳で曲紹介。先ほど「日本語まじり」と言いましたが、日本語の単語を話に織り交ぜるのではなく、文章として日本語を話すことにジェイクは挑戦していると私はここで気づきました。事実、通訳は居らずステージ上には彼ひとり。観客に自分の想いを自分の言葉で伝える努力をしている側面を垣間見た感じが致しました。
「オズの魔法使い」からは美しい曲調の「OVER THE RAINBOW」、ハワイと日本からトラディッショナルな2曲を、との紹介MCから「AKAKA FALLS」と「SAKURA」。ハワイ好きなら必ず一度は耳にしたことがあるであろう「AKAKA FALLS」は、歌ならばケアリィ・レイシェルやネイサン・アヴェアウ(新生HAPAとしても活躍していました)が有名ですが、ジェイク・シマブクロもウクレレ1本でしっとりとうっとりさせてくれます。「ベベベベンッ!」と目を閉じていたら琴のような和楽器かと思わせるイントロで始まる「SAKURA」。私の席の後ろから「う~んっ」という声が聞こえてきました。私も昔から知っている「さくら」で興奮を覚えたのは初めてのことでした。そしてジェイクに息子さんができたというお知らせとともに「GENTLEMANDOLIN」の演奏へ。おそらく、ジェントルなマンドリンという意味の造語でしょうが、そのMCの中では、「息子が“ジェントルマン・ドリン”に…(ドリンの意味は不明)」と言っては自らオヤジギャグと言い観客の笑いを誘っておりました。
ジェイク曰く、学生時代はロックが大好きで、インスパイアされたのはジミ・ヘンドリックスやヴァン・ヘイレン、日本ではチャー(カタカナで書くと変ですね。Charです)とのこと。いずれのアーティストもギターの名手で、彼らのスタイルがジェイクのウクレレに影響を与えたのは間違いがなく、ライブ中盤からの演奏曲に変化があり改めて観客はジェイクの素晴らしさとウクレレの可能性を再認識することになります。
ルーパーエフェクターを使ったエレキウクレレで名曲「DRAGON」。両手でウクレレ、足で機材操作。弾いている演奏をその場で録音し新たに音を重ねていく“サウンド・オン・サウンド”が面白く、全く違ったロックな「DRAGON」になっていました。その後も、ジェイクひとりの演奏とは思えないクィーンの「BOHEMIAN RHAPSODY」、フラメンコギターを彷彿させる奏法の曲、イーグルスのカバー曲「HOTEL CALIFORNIA」など既存のウクレレのイメージを覆すような、と言うよりも、誰もウクレレでは弾かないような曲を彼の“やり方”で表現してくれました。そして、お別れを予感させるスポンサー及び観客への「Thanksアリガト」MCが入り最後はビートルズナンバーで締められました。
ステージ袖に帰るジェイク。観客からアンコールの大合唱。カーテンコールに応えて観客からの大きな拍手とともにジェイク、笑顔で再登場。観客全員が彼が何を話すのかに集中しました。「一期一会は大切な言葉であり、由紀さおりさんとその曲で共演できたことをとても光栄に思います。スペシャルゲスト、由紀さおりさんです。」というジェイクの紹介で由紀さんがステージにいらっしゃいました。由紀さんは観客席に座って居られた「一期一会~ONE WISH」の作詞をされたいしわたり淳治さんを紹介され、「(同じ会場で)コンサートをしていることがわかり、これこそ一期一会。歌わないわけには…」というお話ののち、「一期一会~ONE WISH」をジェイクと2人で披露されました。会場に向かう時に2度3度と聴いたこの歌もCDのそれとは全く違うものに感じられ、詞の内容、ジェイクの演奏、由紀さんの声量と歌声には心を動かされました。CDの「GRAND UKULELE(日本盤)」と同様に、良い意味でまさにボーナストラックだと感じたのは私だけでしょうか。
由紀さおりさんが退場され、素晴らしい120分だったな、と思ったのもつかの間、ウクレレの聴き慣れた高い音色のメロディが…。“ジェイク・シマブクロ”というハワイのウクレレプレイヤーを日本で一躍有名にした「HULA GIRL」です。おそらくこの曲を必ず聴きたいと思ってライブに訪れたファンは少なくなかったのではないでしょうか。私もそのひとりです。イントロが奏でられるとスイッチが入ったように観客全員総立ちになり、ジェイクの演奏に合わせ会場全体での手拍子。この「HULA GIRL」が本当の最後の曲になるわけですが、とても感動的なエンディングでした。私も“手のひら”を使って「HULA GIRL」をジェイクと一緒にセッションさせていただいたような気分になりました。
「松戸森のホール21」のロビーを外に出るとまだ雨は降り続いておりました。しかし、先ほどまで素晴らしい時間を共有できた約500名の人々には虹が見えていたにちがいありません。
コンサート同行を快諾してくれた友人、成田尚美さんからひと言感想を戴きました。「ハワイ好き、ジェイク好きなのでとっても楽しみにしていましたが、その期待以上のステージで、思わず帰ってすぐにAmazonでCDを大量購入してしまいました。ウクレレ1本でこれだけ色々な世界を表現できる、天才ってこういう人のことを言うんだと思います。特に『BOHEMIAN RHAPSODY』の指さばきはもはやウクレレだけの演奏とはとても思えない…神業です! とにかく感動、そしてまさかの由紀さおり様登場にまた感動でした!」 楽しいコンサートでしたね。ご同行ありがとうございました!
最後に私からコンサートの感想を。
会場に入り、「まだ設営中かな」と思わせるシンプルなステージに驚きました。弦の上を指が滑る音。ウクレレのネックで弦がグイッと曲がる音。張りつめた4本の弦から放たれるとても純粋な音色。観客がそれらを聴くことに集中できるシンプルなステージ。そして、それはジェイクがそれらを聴かせることに集中できるためのシンプルさなのでしょう。そこには嘘偽りの無い、何のまやかしも無い、ウクレレ1本で観客を魅了させるというジェイクの自信、信念といったプロフェッショナリズムを感じる事が出来ました。
私たち日本人はウクレレと言えばどこか可愛らしいコミカルな楽器と思う方も多いかもしれません。そのような方々にこそ“ジェイク・シマブクロ”を聴いて欲しいと思います。ジェイクのウクレレは牙を剥きます。涙を拭ってくれます。なにより、幸せにしてくれます。彼のプロフェッショナリズムが本物だからこそ、彼の奏に私達は心動かされるのです。
櫻井貴史 5月吉日 茨城県ひたちなか市にて with ALOHA
- ジェイク・シマブクロ
(Jake Shimabukuro)- 1976年11月3日生まれ/ハワイ州ホノルル出身。
4歳からウクレレを始め、1998年ピュア・ハートのメンバーとしてデビュー後、2002年ソロデビュー。ウクレレの特性を活かしながらロックやジャズ、ブルースなどのあらゆる音楽を取り込んだそのスタイルは、ハワイのみならず世界中のミュージック・シーンに大きな衝撃を与え続けている。- 【公式サイト】
www.jakeshimabukuro.jp(日本語)
www.jakeshimabukuro.com
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