それでは、やわらかなライトに包まれ、ぬくもりのあるホールへと生まれ変わった館内の様子をご紹介します。
ハワイ州最大の博物館。カメハメハ王家最後の直系子孫であるバニース・パウアヒ王女が亡くなり、夫であるチャールズ・リード・ビショップ氏がその追悼のために設立。博物館は、当時ハワイの子供たちの教育を目的としてパウアヒ王女が築いたカメハメハ・スクールの敷地内に建てられたが、1960年代にカメハメハ・スクールが丘の上に移転し、拡張を重ねて、現在のような壮大なスケールの博物館へと発展していった。
●新しいハワイアン・ホールの誕生
以前と変わらぬたたずまいを見せる外観。ホールの中に1歩足を踏み入れると、暖かなぬくもりを感じる優しい光に包まれた3階吹き抜けのショールームと出会うことができます。
まわりを見渡すと、印象的だった、天井につるされたクジラの模型はそのままに、ハワイの人々の生活の様子がわかるような展示が目に付きます。
「古代から現代まで、ハワイの人々は何を信じ、何を考え、この小さな島々でどのように暮らしてきたのか、順を追って理解することができます。今と昔を比較することによって、生きたハワイアン・カルチャーを知ることができるのです」とクルズさん。
ホールのリニューアルは、コアウッドの壁や柱に塗られていた白いペンキをはがし、再びオリジナルの状態に戻したこと、そしてエアコンを完備して、湿気対策を万全にしたことが大きな変化。さらに、小さなスポットライトを多用し、柔らかい光の照明で展示品や説明パネルを照らしているので、見やすくなっています。ハワイの文化遺産を数多く有する博物館ならではの配慮ですね。
「ペンキがなくなり、すべてをオリジナルに戻したことにより、階ごとに違う柱の模様が際立つようになりました。コアウッドの木目が柔らかい印象になりました。館内にはハワイ語の表示も多く取り入れ、より教育的な展示を意識しています。最先端のタッチパネルもあり、昔のハワイがハイテクで蘇っているのも特徴のひとつですね。」(クルズさん)
レガシーケースと呼ばれる展示ケースには、貴重な展示物が並び、まさにハワイの歴史の宝庫。それでは、各階をチェックしていきましょう。
●1階 [Kai Akea]
「広がる海」という意味のテーマで作られた1階。ハワイアンが暮らした古代の家の模型をはじめ、神を象った大きな木像が目を奪います。ひとつは戦いの神クーの姿だそう。ハワイの人々がどこからやってきて、何を信じ、どうやって暮らしていたかが想像することができます。入口近くには大きな画面でハワイの美しい大自然が楽しめるコーナーなども登場。
また奥のケースには、鳥の羽でできたケープが並んでいますが、これも必見。赤と黄色の羽を持つ貴重な鳥たちの羽を少しづつ集め、ぼうだいな 時間と手間を費やして作り上げたもの。もちろんこれを身につけることができるのは、王様だけ。ハワイの象徴も自然と深い関連があるのですね。
●2階 [Wao Kanaka]
一般のハワイ人の生活ぶりを紹介している2階。エレベーターが新設され、車椅子などでも簡単にアクセスできるようになりました。つり、フラの道具などが展示されており、月の満ち欠けが大切な意味を持っていた、当時のハワイの文化もわかりやすく解説しています。移民たちが持ち込んだ文化的遺産、ウクレレやフラといったハワイアン・カルチャーの象徴の歴史などが、展示物と映像で楽しめます。
「ここには、子どもたちの興味を引くように、絵本などが置いてあるほか、匂いをかいだり、拡大鏡で見たりできる実験的な展示も用意しています。楽しく勉強ができるので、ぜひトライしてみてくださいね。」(クルズさん)
●3階 [Wao Lani]
ここはハワイの歴史に名を刻むキング&クイーンごとの展示がメインで、各王族に関するエピソードなどがまとめてあります。かの有名なカメハメハ大王をはじめ、バニース・パウアヒ王女、リリウオカラニ女王などの遺品やゆかりの品も展示されており、ハワイ王朝の歴史を目でたどることができます。
「ハワイの州旗は、プロテスト・フラッグと呼ばれるもので、ハワイ王朝末期の歴史を語る上で大事なもの。展示物には、そのひとつひとつに物語があり、それを知ることによって、ハワイがいっそう身近になっていくと思います。上の階から見下ろすと、つるしてある魚やカヌーの影がフロアに描いてあったり、細かいところにも工夫をこらしています。そんなところもぜひお見逃しなく!」(クルズさん)
3年の月日をかけ、貴重な文化遺産を次世代に引き継ぐためのリニューアルを行ったハワイアン・ホール。きっとたくさんの驚きと発見に満ちた楽しい時間が過ごせるはずです。ぜひみなさんも出かけてみてくださいね!
★クルズさんからのメッセージ★
ハワイの歴史を知るには、ここへ来ていただくのが1番です。ハワイアン・ホールは新たな任務を負って再オープンしました。ひとりでも多くの方に来ていただきたいのですが、ぜひそれぞれの展示物に敬意を持って鑑賞していただければ幸いです。ここにあるのは、すべてが本物。今後も定期的に展示物を変え、さまざまな文化遺産を世界中のみなさんに見ていただきたいので、これからも遊びにきてください。
Bishop Museum
1525 Bernice St.
電話 847-8291
開館時間 9:00~17:00 火曜定休
※12月25日のクリスマスは休館
入館料 大人$15.95、子ども(4~12歳)$12.95、シニア(65歳以上)$12.95
*4歳未満無料
公式サイト www.bishopmuseum.jp/
ワイキキからの行き方
★ザ・バス
ワイキキのクヒオ通りから、2番 School Street-Middle Street または、Route B - CityExpress! School-Middle に乗車。スクール通りとカパラマ通りの角で下車。カパラマ通りを山を背に1ブロック歩き、バニース通りを右折。徒歩約5分。
★ワイキキトロリー
レッドラインでビショップ・ミュージアムにて下車。
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