インタビュー「クラレンス・リー」

インタビュー「クラレンス・リー」

公開日:2007.04.18

更新日:2017.06.25

ハワイ発プレミア情報誌アロハストリート

「イメージ」が語るハワイの文化と生活
クラレンス・リー -Clarence Lee- インタビュー
 ファーストフードのパッケージから、大企業のロゴ、高級リゾートの優雅なロビーまで、
リー氏の作品はハワイの至るところにある。中国系アメリカ人としてのアイデンティティを表現した
十二支のアートは、アメリカ郵便局の特別記念切手にもなり、12年間かけて売り出されている。
そして2006年、常に走り続けた最前線から、リー氏は引退を表明した。

クラレンス・リー/Clarence Lee

オアフ島ホノルル出身、エール大学卒。ハワイのグラフィック・デザイナーの草分けであるだけでなく、州内で見かけるロゴやトレードマークの多くがリー氏の作品でもあるほど、ハワイの人々に「イメージ」で与えた影響も大きい。ハワイのビジュアル・アートの発展に貢献したアーティストに与えられる「Koa Award」受賞。尊敬を一身に集める、ハワイの「Living Treasure」でもある。
URL:www.clarencelee.com

アロハスト リート(以下アロハ):
作品集を見せていただいて、改めて「クラレンス・リーさんの作品の中で生活している!」と思ったほど(笑)、ハワイでの生活の中にはリーさんの作品である企業ロゴやイメージ・デザインがあるのに驚かされました。
ハワイ
クラレンス ・リー(以下リー):
そうですか(笑)? デビュー当初から常に「自分は本当にツイてる! 幸せだ!」と思っていましたが、私がハワイでデザインを始めた頃は、まさにグラフィック・デザイン業界が起業しはじめた時期だったというのも幸いしました。最初からすばらしいクライアントに恵まれましたし、若いときはとくに「自分にできないことはない」と、勇気があったというか、自信にあふれていました。
ハワイ ハワイ
アロハ: グラフィック・デザインの勉強は米本土でされたそうですが。
ハワイ ハワイ

リー:
当時は、まだハワイにはグラフィック・デザインという学科はなかったので、エール大学のコマーシャル・アート課に入りました。これが実は私の人生に最高の道を作ってくれたわけですが、卒業後数年間は東海岸に留まって仕事をしました。
1965年にホノルルに戻り、電話1台だけで仕事を始めましたが、この頃のハワイでは、東海岸でのトレーニングとキャリアがとても強みになりました。
最初の企業イメージのデザインの仕事はAmfac社で、数社とのプレゼンの結果、獲得したときはうれしかったですね。また、現在のホノルル・マガジンの前身である「パラダイス・パシフィック・マガジン」のデザインも手がけていましたが、これはほとんど修行みたいなギャラでやっていました(笑)。でも、本当にやり甲斐があったし、多くを学びました。今でも信じていることですが「お金の心配をするな。自分の信じることを心から楽しんでやっていれば、お金は必ずついてくる」ということも、このとき実体験したと思います。
ハワイ
アロハ: 何だか「絶対に信じたい」お言葉です(笑)。リーさんのデザインされたロゴを見ると、その企業の特徴やイメージが鮮やかに湧いてきますが、実際にデザインされるときは、どういうプロセスがあるのですか?
ハワイ

▲クラレンス・リー・デザインの若き担い手、クニ山本氏がデザインした、ウインキュービック/アロハストリートの新しいロゴ。Wが輪になり、手をつないでいるかのように見えるデザインは、柔らかなイメージだけでなく、絆の強さも表している。
リー: まず、クライアントやその商品に対する先入観を捨てます。これは本当に基礎ですね。先入観を捨てて、クライアントの話を、とにかくじっくり聞きます。歴史、エピソード、目標、すべてを聞き、彼らのエネルギーも感じます。聞いて、理解して、次は自分の中で消化して、そこから、そのクライアントを一言…というより一目で表現できるデザインをクリエイトします。今までデザインしたすべての作品は、自分の子どものような存在です。それぞれ、生まれるまでの経過も違えば、生まれたときの様子も違う。社会に出て行ってからの成長を見るのも楽しみで、本当に子どもと変わらないですね。
ハワイ ハワイ
アロハ: 最前線を引退されてしまうということですが。
ハワイ ハワイ
リー: 最前線…と呼ばれるところに40年いましたからね。次のジェネレーションを育てるコンサルタントとしての存在になる時期かと思いました。これからはクラレンス・リーというデザイン事務所にも、新しいデザイナーたちの新時代が始まります。楽しみです!
ハワイ ハワイ

アロハ:
引退後はどんな生活を予定されているのですか?
ハワイ
リー: 絵画を本格的にやりたかったので、勉強しようと思っていますよ。
ハワイ
アロハ: 勉強の再スタートですか? すごい!
ハワイ
リー: 今までこの仕事が本当に好きで、仕事が命の人間でしたから、自分からアートがなくなったら、どうしていいのかわからないのかもしれないですね(笑)。でもそういうところも、クラレンス・リーという人間そのものなので、自分で認めたいのです。だからこそ、自分が誰なのかを忘れないために、自分の好きなこと、すなわち「画くこと」を続けていきたいと思います。

 ハワイのどこかで目にしたことのある、これらのロゴやデザインは、すべてクラレンス・リー氏の作品。

(1)ハワイ州最大のお祭り、
アロハ・フェスティバル

(2)セントラル・パシフィック・
バンク

(3)ハワイ・コンベンション・センター 

(4)2006年夏まで使われていた
ワード・センターズのロゴ

(5)十二支をモチーフにした
記念切手

 リーさんのデザインがハワイ中にあふれているのは知ってはいても、実際にオフィスにうかがった際、「あれも?これも? それも!」と、驚くほどたくさんの「リー作品」の中で暮らしていたことを実感しました。そして穏やかなリーさんのお話の中には、私たちが毎日覚えていたい、たくさんの教訓があり、何度も大きくうなずいていました。そのヒントを、この記事の中で探してみてくださいね!

※アロハストリート2006年冬号に掲載した記事です。 定期購読のご案内

公開日
: 2007年 4月 18日
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