ハワイで唯一の日本語AMラジオ局「KZOO」さん主催のカラオケ大会が10月19日に開かれました。去年は初めて見に行かせていただいて、皆さんの真剣振りに度肝を抜かれて帰ってきたわけですが、今年は何と、大それたことに審査員などを務めさせていただくことになりました。
私もバブルの名残の頃に広告会社にいたもので、カラオケは日常の中に溶け込んでおりました。話すと止まらなくなるのでやめますが、子どもの頃から歌は大好きで、イントロクイズでは常にどの回答者よりも早かったりしたものです(数少ない自慢できることでした……)。でもまさか、人の歌を審査する日が来るとは思いませんでした。
ハワイには日系人の文化が脈々と息づいていて、年末にはちゃんと紅白もやるし、「演歌」や「カラオケ」が当たり前に存在します。今年で28回目となった「KZOOカラオケ・タイカイ」(Karaoke Taikaiとローマ字でバナーに書かれていますが、本当はフェスティバルというのが正式名称の様子です)、またまたエンジョイしてまいりました。
(写真右)日頃は声だけでお馴染みのDJの皆さんがステージに勢ぞろい。挨拶もさすがに良い声で聴かせます(上)。選挙前なのでやっぱりパフォーマンスにも気合いが入るホノルル市長ハネマン氏(下左)、まずは9歳以下のジュニアの部から。市長との背の違い、すごいですね(下右)。
審査員は全部で11名。ボーッと楽しんでいないで、点数とコメントをひとりひとりつけていかねばなりません。皆さんお上手なので、点数の付け方も難しいです。でも批評を言わされるわけではないので気楽なところ。
審査員席のお隣はソニーハワイの野村社長。今年初めてのご参加で、ハワイのカラオケ文化や日系社会の姿に圧倒されていらっしゃいました。他の審査員は、ほとんどが日本からお越しの作曲家、作詞家、歌の先生、カラオケ道場主宰者です。
私は何でここに座っているんだろう、と思いつつ、何十年ぶりかで鉛筆などを持ちながら、50数名の歌を聴かせていただきました。そうです、50数名です。朝9時半集合。10時10分から会が始まって、ランチをはさみ、終わったのはほぼ16時近く……。長丁場です。
ハワイにはいくつかのカラオケ道場や歌の教室がありまして、まるでフラの大会やスポーツ競技を見ているかのように、自分の道場の人たちが出てくると、かけ声がかかったり、カメラマンがダダーっとステージに駆け寄ったりします。
曲は「雪の華」「涙そうそう」「For You」「川の流れのように」などのカラオケ定番曲から、「荒波女船」「関東春雨川」「流転川」「金沢望郷歌」など、漢字で書いたら字面がすごい超演歌まで、ロコの皆さんが中心の出演者が、きれいな日本語で歌われます。
皆の衣装が凄く、そして真剣度がまた凄く、感情たっぷり込めて歌われるので、こちらも真剣にジャッジしないと、ととても緊張します。このあたりの真剣勝負ぶりがスポーツっぽくて醍醐味のひとつと言えるかと思います。実際、アダルトの部は、尻上がりに上手な方が出てきて、最高点に近い点数になりかけていたので、思わず消しゴムで消して微調整しなくてはならないほど、本当に皆さん聴かせてくれます。文句なく、歌が好きな方なら楽しいイベントです。
完全に自分勝手に採点して、好き勝手にコメントも書いていましたが、ほぼすべてのジャンルで、私のジャッジした通りに1位から3位が決まっていたので、それほど的外れではなかったみたいです。お役目が終わって、ホッとしました。ハワイの社会にはいろんな層があって、多層構造のどのレイヤーにいるのかで、まるで世界が違って見えたりします。この日は、映画「のど自慢」のあの世界そのもの。とても居心地が良いのでした。
(上野編集長)
日本から、ハワイから、多数のゲストが駆けつけて、パフォーマンスを繰り広げてくださるのも楽しいところ。そして最後はやっぱり優秀者の発表です。緊張の面持ちで発表を待つシニアの部のコンテスタント(左)。シニアが実は一番出演者が多いのです。右は「For You」を歌ってグランプリを獲得したコイデさん。日本で開かれる歌謡コンテストの出場資格を得て、大ハッピーです。(右)