ハワイ島ヒロ在住のフリーカメラマン/ライターが、ノスタルジックなヒロの町の様子を在住者ならではの視点で紹介していきます。
石川 裕子
新聞社の報道カメラマンを退職後、ハワイ島に移り、ハワイ州マッサージ・ライセンスを取得。マッサージ修行を続行しつつも、ハワイ島の魅力を日本に伝えるべくカメラマン/ライターとして奮闘中。ハワイ島居住歴2年目の「ハワイ島初心者」。
ヒロには多くの日系人が住んでいますが、この町でいちばん有名な「日系シスターズ」と言えば、こちら。
ダウンタウンの老舗花屋さん「EBESUGAWA SISTERS」のおばあちゃんたちです。そのローマ字表記通り「エベスガワ」と呼ばれていますが、正しくは「エビスガワ」。
お花屋さんそのものはなんと創業80年。おばあちゃんのお父さんが広島から移住し、ヒロで開業して以来、ずっとこの町で愛され続けています。
お父さんが亡くなり、その後はエビスガワ4姉妹で切り盛りしていたこのお店。
今では、次女のキヨコさん(92歳)と四女のカヤさん(87歳)のおふたりが中心となって経営されています。
綺麗な日本語を話すのは、最年長のキヨコおばあちゃんだけ。カヤさんも、お手伝いされているスマエさん(71 歳)も、日本語よりも英語が得意。
おばあちゃんたちとお話していると、とても不思議な気分になります。黙っていれば、日本にだってたくさんいる「ちょっと派手なおばあちゃん」。だけど、口を開けばそこから出てくるのは日本語ではなく、流暢なピジン・イングリッシュ(*)
おばあちゃんたちはもちろん、戦争もこの地で体験しました。日本のことは全然知らなくても、彼女たちはやっぱり「日本人」。ヒロはそれほど被害を受けなかったようですが、私たちの知る由のないご苦労をたくさんされていることでしょう。ヒロを2回襲った津波も体験されています。
おばあちゃんたちとお話するようになって以来、私は、用事がなくてもこの花屋さんに足が向かってしまいます。
理由はただひとつ。おばあちゃんたちの笑顔がほんとうに素敵だから。
その笑顔の向こうに、なんだかとても、大きくて深い「歴史」が見えるような気がするのです。
おばあちゃんに「Life is good.あなたにも、まだまだこれから、いいことたくさんありますよ」なんて言われたら、ほんとうにそんな気がしてくる。
いろんなことを乗り越えて、今なお現役だからこそ言えること。だからこそ、説得力のある言葉。
そうそう。思わず「おばあちゃん」と呼んでしまいたくなりますが、要注意。「おばあちゃんと呼ばれると、急にトシをとった気がする」と叱られます。「アンティ」と呼ばないと、返事をしてもらえませんからね。
(*ハワイ独特のなまりのある英語)
※アロハストリート2009~2010冬号に掲載した記事です。
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