ヒロの住民にとって、無視できない存在。その存在は大きく美しく、しらんぷりして素通りなんて、絶対に無理。
ヒロ湾を見下ろしながら緩やかに稜線を描く、一見すると大きな「丘」にしか見えない「山」がそれ。
その山の名前は「マウナケア」。
「マウナケア」とはハワイ語で「白い山」という意味。
キラウエア火山(通称ボルケーノ)には火の女神ペレが住んでいますが、この山には雪の女神ポリアフが住んでいます。
12月に入って「薄化粧」をしたポリアフは、春先までその白いマントを被った美しい姿を見せてくれます。
富士山よりも高い標高4205メートルのこの山の頂上付近には、世界中の天体観測施設が建設されています。もちろん日本の施設(国立天文台ハワイ観測所すばる望遠鏡)も。
私がこの島に来て以来、いつも遠くから見るだけだったこの山。
先日、やっと登ることができました。
「登る」と言っても徒歩で登山するわけではなく、頂上まで車で行けちゃうのがなんともハワイらしいところ。
とは言え、その勾配はきつく、酸素も薄くなる標高4205メートルですから、4WDの車でなければ辿り着くことはできないのですが…。
標高4205メートルの景色はもう、登った人にしかわからない。
文字通り「雲の上」にいる、なんとも不思議な気分。
やがてサンセットの時刻を迎え、島の西側に落ちてゆく太陽を眺め、ほどなく空の色が刻々と変わり始め…。
星が瞬きだし、幻想的な世界が広がります。「ずっとここにいたい」と思ったけれど、それは叶わぬこと。
人間が生きて行くことはできない環境は、やはり、神様だけのものなのでしょう。
炎天下の「下界」から見上げる雪山は、なんだかとても不思議な物体。「神々しい」という形容詞がぴったりだと、私はいつも思うのです。
※アロハストリート2010年春号に掲載した記事です。
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