ハワイ産コーヒーを世界に伝えるバリスタ

ハワイ産コーヒーを世界に伝えるバリスタ

世界50カ国以上の名バリスタの中から、第2位に選ばれたハワイのピート・リカタさんにコーヒについてお聞きしました!

公開日:2011.12.05

更新日:2017.06.14

アロハストリート・インタビュー

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 世界50カ国以上から集まった腕に自信のバリスタの中から、今年世界第2位という名誉を勝ち取った、ハワイのピート・リカタさん。ハワイでコーヒーの実の収穫から携わり、最高級の豆を得て世界に挑んだピートさんに、コーヒーとの出会いやその魅力、バリスタという仕事の面白さをお聞きしました。

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編集部:まずはワールド・バリスタ・チャンピオンシップ2位、おめでとうございます。

ピート:ありがとうございます。世界大会にハワイからアメリカ代表として参加し、54カ国から集まったトップレベルの素晴らしい人たちの中から2位に選ばれたことは信じられないくらいエキサイティングな出来事です。

編集部:緊張しましたか?

ピート:もちろん! プロのバリスタとして、エスプレッソを作る過程からサービスまで、芸術面と技術面で審査されるのですが、すべてを終えて待っている間は、もうドキドキでしたよ。ファイナル6が選ばれ、6位から順に発表になるんです。

編集部:それはドキドキですね。最後のふたりになったときの緊張は想像できます(笑)。

ピート:ええ。でも今年はコーヒーの実を育てるところから関わり、実を摘み、ローストし、と自分でできることをすべてやり、納得いく状態で大会に臨んだので、2位で悔いはありません。とにかく準備に時間がかかるので、今は終わってほっとしています。

編集部:今回はハワイのコーヒーを持っていかれたんですよね?

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ピート:はい。コンペティションに持っていったのは、コナとカウのコーヒーで、どちらもハワイ島を代表するコーヒーの産地。同じクオリティでも、天候や高度が違うので、味ももちろん違います。カウコーヒーは、まだコナコーヒーほど有名ではありませんが、近い将来世界的に認められることは間違いないでしょう。大会では、コーヒーの実がここでコーヒーになるまでのストーリーを話しながらパフォーマンスをしました。

編集部:ピートさんはもともとはアメリカ本土出身でいらっしゃるんですよね?

ピート:カンザス・シティから、3年前にハワイに来ました。カンザスでもカフェの仕事をしていたのですが、ホノルル・コーヒー・カンパニーからお誘いがあり、ハワイへ移るのも悪くない、と思ったんです。ハワイは全米で唯一コーヒーを栽培している州ですから、コーヒーの研究には最適な場所ですしね。

編集部:なるほど。実際にハワイでバリスタとして腕をふるってみて、ハワイのコーヒーが他のコーヒーと違うと感じる点はありますか?

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ピート:味に関して言えば、雨や日照時間、高度など、環境の違いが理由だと思いますが、他と比べてよりスムーズで飲みやすいのが特徴ですね。ハワイの高品質のコーヒーは、自然な甘さを感じます。苦味を感じない、珍しいコーヒーなんですよ。世界にはキリマンジャロやブルーマウンテンなど、その名を知られたコーヒーがありますが、ハワイのコーヒーも始めから終わりまで手をかければ、世界最高レベルのコーヒーになるはずです。農園はどこも小規模で、クオリティを大切にしていますから、ぜひそうなってほしいと思います。

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編集部:8月にDFSギャラリア・ワイキキで開催されたコーヒーイベントでは、見事なラテアートを披露されていましたね。

ピート:ラテアートはけっこう難しくて、エスプレッソのカップの中に上手にデザインが描けるようになるまでに1年半くらいかかりましたよ。カフェで働いている間、毎日お客さんに作り続けて、だんだんコツがわかってきたんです。ラテアートには、ピッチャーから注ぐだけで模様を作るパターンと、最後に爪楊枝のような細いものを使って絵や文字やデザインを仕上げるエッチングの2 種類あります。でも、基本的にピッチャーから注ぐだけのほうが技術的に難しいのですが、なぜかみんなエッチングのほうを喜びますね。

編集部:ピートさんの描くラテアートは、まさにマジックです。お忙しそうですが、世界2 位のバリスタが描くアートを実際に見るチャンスはあるのでしょうか?

ピート:もちろんです。でもスタッフトレーナーやクオリティ・マネージャーとしての仕事もあり、イベントで世界を回ったり、新しいお店ができるときはスタッフのトレーニングなどに出向かなければならないので、お店でバリスタをやる時間があまりないのは事実ですが。とは言えふだんは、毎週火曜日の朝9時~12時に、ホノルル・コーヒー・カンパニーのアラモアナ店で仕事をしていますから、ぜひコーヒーを味わいに来てくださいね。リクエストがあれば、日本語で名前を書いてあげられるかもしれません。実は、学生時代に日本語を勉強したことがあるんですよ。

編集部:えー、それはすごいですね!

ピート:今まではあまり日本語を使う機会がなかったので、かなり忘れてしまいましたが、ハワイは日本人旅行者も多いので、これからまた日本語で対応できればもっとコミュニケーションがとれていいかもしれないな、と考えています。

編集部:これからもますます忙しくなりそうなピートさんですが、今後の夢を教えていただけますか?

ピート:よいバリスタになるには、ディテールにこだわり、知らないことを学ぶ意欲を持つことだと思います。だから今後は私の知っていることをできるだけ教えて次の世代を育てたり、ストレスの多い競技会は卒業して、今度は審査する側になり、コーヒーのよさを世界に広めていきたいですね。カフェや農園のオーナーになるより、カフェとコーヒー農園をつなぐ存在として、もっともっとハワイのコーヒーにかかわっていきたいと思っています。

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Profile

カンザス・シティ出身。ホ
ノルル・コーヒー・カンパニーに職を得て2009
年にハワイへ移り、ハワイのコーヒーに魅せられる。以後バリスタとして腕をふるいながら研究を重ね、2011年のアメリカ・バリスタ・チャンピオンシップ
で見事1位に輝き、全米ナンバーワンのバリスタに。その後行われたワールド・バリスタ・チャンピオンシップにて堂々の2位を獲得。スタッフトレーナーとし
て指導にあたる傍ら、各地で開催のコーヒーイベントに招聘され、世界中を飛び回る多忙な日々を送っている。

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