音で心を癒すウクレレ奏者ハーブ・オオタJr

音で心を癒すウクレレ奏者ハーブ・オオタJr

日本で行ったツアーの様子と今後の活動、父親であるウクレレの巨匠、「オオタサン」ことハーブ・オオタ氏と共演の新作アルバムについてお聞きしました。

公開日:2012.01.13

更新日:2017.06.14

アロハストリート・インタビュー

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 プロデューサーや講師としても活躍の幅を広げるウクレレ奏者、ハーブ・オオタ・ジュニアさん。昨年行った日本ツアーの様子と今後の活動、父親であるウクレレの巨匠、「オオタサン」ことハーブ・オオタ氏と共演の新作アルバムについてお聞きしました。

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編集部:ハワイのみならず日本での活動もますます精力的なジュニアさん。まずは、2011 年を振り返り、日本ツアーの様子を教えて下さい。

ハーブ・オーオタ・ジュニア(以下ジュニア):昨年は6月と9月に2 回日本へ行きました。9月のツアーでは初めて香川県の高松市に行きましたが、そこで目にしたウクレレの人気ぶりには正直驚きました。コンサート会場があった宇都宮から次の会場、高松まで行くのに電車で約6時間もかかってしまい、駅に到着すると開演まで時間が少ししかなくて…。初めての場所だから、お客さんがどのくらい集まっているのかも見当がつかなく、そわそわしながら会場に向かいました。すると会場が満員。2 階建てのギャラリーで、階段にまで座って待ってくれていた人たちを見たら疲れなんてあっという間に吹っ飛びましたね。これまで日本で多くの場所を訪れたけれど、高松は特別でした。演奏中も、みなさん熱心に聴いてくれていたのがすごく伝わった。あとで知りましたが、四国はとくにウクレレプレーヤーが多いそうすね。日本にもウクレレが好きな人たちがこんなにるって実感できるのは、本当にうれしいです。

編集部:様々なイベントを通じて日本のファンとの交流をされていますが、ジュニアさんの登場を待ち焦がれているファンはまだまだたくさんいます。在中、ほかにはどんなことが?

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ジュニア:3週間のうち初めの1週間は東北に、その後は東京、横浜、宇都宮、高松、福岡にも行きました。東北は福島県の飯舘村にある仮設住宅と学童保育所を、ちょうど台風があった1 週間後に訪ねました。前回6月の日本ツアーで仙台に行った時に被災者のみなさんと出会い、日本への思いを込めて作った「カマカナ(ハワイ語で宝物)」という曲があるんですが、その曲を飯舘村でも披露しました。大人はみんな泣いていましたね。子どもたちの前では「大きな栗の木の下で」を演奏。みんな体育座りしてぼくの方を見ながら一生懸命聴いてくれました。飯舘村の村長が教えてくれたんですが、福島には親を失くした孤児たちが200 人以上もいるそうですね…。

編集部:つらい状況はまだまだ続いています…。

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ジュニア:被災した人たちを前にして、彼らがどんな思いでいるのかを想像しても、実際に体験していない人にとって、本当の意味で察するのは難しいこと。だからこそぼくたちは、ぼくたちにできることを続けてサポートしていくと決めたんです。これから先10年、15年、それ以上の時間が復興のために必要だから。1回、2回じゃなくて、長く続けていくことが大事。ハワイのミュージシャンを集めて、今年6月にまた日本へ行き、コンサートを開きます。ラッキーなことにぼくはここ10年くらい毎年日本へ行くチャンスがあったけれど、ハワイにはまだ、日本のために何かしたくても機会をつかめていないミュージシャンたちがたくさんいる。みんなに呼びかけて一緒に行くことにしました。ぼくをはじめ、ハワイのミュージシャンから、これまでずっと支えてきてくれた日本のみなさんへの恩返しをしたいんです。コンサートを開いて集まるお金は、その土地の人たちへ寄付します。毎年別の場所を訪れて、チャリティを続けていきたいと思っています。

編集部:震災直後に比べると、被災地の報道は徐々に少なくなっていますが、日本のために行動し続けてくれるジュニアさんのような人たちの様子がもっとたくさんの人に伝わるといいですね。

ジュニア:コンサート開催にミュージシャンは欠かせない存在だけれど、大切なのは、イベント自体をプロモーションすることだと思うんです。どうしてそのイベントが開かれるのかということを、被災者以外の人たちにも知ってもらわなくちゃ。チャリティイベントは、被災者の方たちへの直接的なサポートはもちろん、そのほかの人たちに「助けあおうよ」って呼びかけるメッセージでもあるから。自分を売り込むためでなく、日本の助けになりたいと心から思っている人たちと協力したい。ぼくにとって被災地の訪問は、人生観が変わる経験でした。どんなことにも絶対大丈夫という保証はないと思う。だからこそどんな時も前を向いてポジティブなことをしていたいんです。

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編集部:ひたむきに挑戦し続ける姿がたくさんの人を励ますのですね。今後の活躍にも期待しています! ところで、父親であるオオタサンとコラボのCDが発売になりますね。

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ジュニア:そう、親子水入らずのアルバムを作りました。子どもの頃にウクレレを教えてもらって以来、一緒に弾くことってそうそうなかったんです。ぼくがプロになってからはとくに。父が現役の頃は、ウクレレに対してパーフェクトを求め、こだわりがあるから周りとぶつかることも多々あったと思う。でも今は違う。すでに多くのことをやり遂げた彼の人生で、引退した今は、好きなウクレレをただ弾くだけ。何もストレスに感じることはないし、そもそもその必要もないですしね。だから、一緒に作るなら今だ! という感じで(笑)。

編集部:ウクレレ親子のハーモニーはきっと心温まる、やさしい音色なんでしょうね。アルバムを一言で表すと?

ジュニア:息子から父親へのトリビュートです。タイトルは「ウクレレ・レガシー」。ぼくのリクエストですべて父の曲を選曲しました。全部で11曲のうち2曲が父のソロ、3曲がぼく、6曲がデュエットです。CDを聞いて改めて気がついたんですが、ぼくのソロも父の弾くメロディにそっくりで…なんだか感慨深いですね。ありのままの親子がつまった、思い入れ深い1枚です。3月にリリースし、父と日本でコンサートを開催します。ぼくたちの音色を多くの人に聞いていただけるとうれしいです。

編集部:さらに、2月12日にカカアコ・ウォーターパークで行われる「ウクレレピクニック in ハワイ」にも参加されるとお聞きしました。

ジュニア:ええ。ぼくも父も参加する予定です。ただその時は、親子でセッションするかどうかわかりませんけれど(笑)。今年で4回目となる、ハワイの大きなウクレレの祭典をぼくたちも楽しみにしています!ウクレレピクニック、そして日本でのコンサートで多くの方にお会いできるのを楽しみにしています。

編集部:ありがとうございました。これからのさらなる活躍に期待しています。頑張ってください!

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Profile

「ウクレレの神様」と呼ばれる父、ハーブ・オオタ氏から幼少時にウクレレのレッスンを受ける。11歳になる頃には、父に代
わり生徒に教えるまで上達。その後は多種多様な音楽を勉強するも、17歳の時にはハワイアン音楽の典型であるウクレレとバラードの組み合わせの虜となっ
た。これまでにナ・ホク・ハノハノ・アワードに7
回ノミネート、ハワイ音楽賞を2回受賞。昨年2011年にも、デビュー20周年記念のアルバム「ウクレレ・ナヘナヘ」が「インストゥルメント・オブ・ザ・
イヤー」を受賞した。

★2012年2月12日(日)にカカアコ・ウォーターパークにて開催される
第4回ウクレレピクニック in ハワイにも出演予定。

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