アロハ！みなさん。
　10月半ばのハワイは、あちらこちらにハロウィンのディスプレイがほどこされ、徐々に秋らしい雰囲気が漂ってきています。実は、毎年この時期、ハワイでは「ハワイ国際映画祭（Hawaii International Film Festival）」が開催。今年で32回目を迎える、歴史ある映画祭では、ハワイ、メインランド、アジア、ヨーロッパ、そしてもちろん日本の映画も数多く上映され、ロコの大きな楽しみのひとつなんです。

　さて、そのハワイ国際映画祭の中で、ウクレレマスター、ジェイク・シマブクロさんのドキュメンタリー映画が上映されました。3月にサンフランシスコのインターナショナル・アジア・アメリカ映画祭で初上映された『Jake Shimabukuro: Life on Four Strings』のハワイプレミア上映です。

　会場は、先日ジェイクがひさしの上で演奏した、ダウンタウンのハワイシアター。今年、90周年を迎える由緒正しきシアターでの上映です。この日のチケットは早々に完売。20：00からの開演に向け、夕方から人々が並び始めて19：00過ぎには長蛇の列ができていました。シアター隣の公園を埋め尽くすような人の列…。ジェイクは本当にハワイの人々に愛されているんですね。

　それにしても、ハワイシアターは重厚感たっぷりです。ハワイの歴史を感じるこのシアターが今夜の舞台。すばらしいですよね。

　開演に先立ち、ステージでは関係者が舞台挨拶。ハワイ国際映画祭のエグゼクティブディレクターであるチャック・ボラー氏に続き、この映画のプロデューサーであるドン・ヤング氏や、監督のタッド・ナカムラ氏がスピーチし、いよいよ映画の上映です。

　この映画は、ジェイク初となる約1時間のドキュメンタリー・フィルム。約3年間をかけて、ハワイ、アメリカ本土はもちろん、日本などでも撮影・取材されたそうです。各地でのジェイクの様々な表情や、ファミリー・関係者の方々のインタビューなどで構成され、ジェイク・シマブクロというアーティストのルーツに迫っています。ジェイクが幼い頃のシマブクロファミリーの写真や、昨年結婚したばかりの奥さまとの幸せそうな様子なども登場して、観客席からは笑い声や感嘆の声が…。

　昨年の震災の後、被災地を訪れた際の様子も紹介され、会場を埋め尽くした観客のみなさんが涙をこらえきれなくなる場面も。日本と深い深い縁を持つジェイクや、彼を取り巻く人々の様々な想いが大きなスクリーンからあふれ出るようで、思わず胸が熱くなりました。

　ジェイクのやさしいウクレレの音色をバックに、心にしみる映像が次々スクリーンに現れ、どこか違う空間に迷い込んでしまったような、不思議な感覚をおぼえた1時間。ハワイという場所にジェイクが産まれてくれて、大切にウクレレを弾いてくれて、それを私たちに聴かせてくれて、みんなを幸せにしてくれて本当にありがとう。そんなふうに感じたのは、きっと私たちだけではないはずです。

　エンドロールが流れている間中、大きな大きな拍手が響き、それが終わると…レイをかけられウクレレを手にしたジェイクがステージに登場しました！会場にいるジェイクのご両親や奥様、モロカイ島からいらっしゃったおばあさま（大好きなラスベガス旅行をキャンセルしてここにきてくれたんだ…とジェイクが笑ってました）、さらに、ウクレレレジェンドのエディ・カマエ（！）などそうそうたる顔ぶれのみなさんに、お礼を言い続けるジェイク。ホームグラウンドであるハワイでこの映画を上映でき、大好きな人たちがこの場に集まっていることが心からうれしい、という想いが伝わってくるような笑顔。すてきでした！

　そして、ウクレレの演奏がスタート。築90年のシアターに響くウクレレの音色は、野外イベントなどのカジュアルなムードとはまた違った雰囲気です。演奏中は場内の空気がピーンと張り詰めたようでした。1曲めは、自分のルーツを忘れないためにもトラディショナルなハワイアンソングを大切にしたい…と、新アルバム「GRAND UKULELE」にも収録されているAkaka Fallsをしっとり演奏。その後は、Over the Rainbow、さらにWhile My Guitar Gently Weeps…と、すばらしいステージを魅せてくれたのでした。

　現在、USツアー「GRAND UKULELE　TOUR 2012」でアメリカ中を飛び回ってるジェイク。11月24日（土）には、この日上映が行われたハワイシアターでもコンサートを行います。「Bank of Hawaii presents the 1st Annual Jake Shimabukuro & Friends Concert」と題されたこのコンサートも、本当に楽しみですね。