「フラ」が伝えること〜メレ・フラにのせて
大好評ヌイ・ダイスケさんのフラコラム第三弾。フラ・ソング(メレ・フラ)が持つ意味とそれを伝えるダンサーの動きについてのお話です。
公開日:2013.01.03
更新日:2017.06.14
フラ・ナビゲーター Nui Daisukeです。
「フラはハワイそのものです。フラはこの国の歴史です。フラは正しく踊ればそれ自体が物語です。」
と言ったのは、フラ・マスターとして尊敬を集め、人間国宝にも選ばれたクムフラ、故ジョージ・ナオペ。フラ・ダンサーが音楽に乗せてただ腰を振って手をゆらゆらしていると思ったら大間違い。彼女たちは(彼らも)踊りながら何かを伝えるストーリー・テラーなのです。
有名なフラ・ソングにこういうタイトルの曲があります。
”Keep Your eyes on the Hands.”
「あなたの視線を手に向けて」という意味。
この歌はこう伝えます。
フラ・ガールが踊るのを見るときは、視線に気をつけて
美しい彼女の腰つきに心奪われてしまわないように
視線はヒップではなくて手に
だってストーリーを伝えているのは
彼女の手の動き
手話と言ってしまうと言い過ぎなような気がしますが、フラが手と身体と表情で歌の内容を表現しているのは確かです。そう、フラは歌なくして存在しません。言葉あっての踊りです。では、フラを踊るための歌、メレ・フラ(フラ・ソング)にはどんなことが歌われているのでしょう?それを回を追って例を挙げながらご紹介していきましょう。
「メレ・フラ」と一言で言っても、内容はいろいろです。いろいろなことが歌の中に描かれています。今回は一番わかりやすいタイプのフラ・ソング、特定の場所を描くいわゆる「ご当地ソング」について。
カイマナ・ヒラというハワイアン・ソングがあります。
典型的な「ご当地ソング」です。
カイマナ・ヒラとはダイアモンド・ヘッドのこと、描かれているのはもちろんワイキキの風景です。
一番の歌詞はこんな内容です。
♪昨夜私たちは出かけました
♪ダイアモンド・ヘッドの美しい姿を見ました
♪ダイアモンド・ヘッドがそびえ立っていました
(Kaimana Hika by Charles E. King)
ワイキキのダイアモンド・ヘッドを歌うフラ・ソングにこんなのもあります。
♪レーアヒ、ラララ
♪カイマナ・ヒラ、ラララ
♪星降るマーマラ湾、ラララ
(Le-'ahi by Mary Pu-la'a Robbins)
※レーアヒはダイアモンド・ヘッドの旧名
♪誇らしげなダイアモンド・ヘッドにある灯台
♪高いところに立っている
♪海の見張り番
(Ha'aheo Kaimana Hila by Mary Pukui / Maddy Lam)
このような歌詞の歌がどのように踊られるのか、参考のためにこの動画を観てみてください。2010年メリー・モナーク・フラ大会ソロ部門優勝のパフォーマンスの前半が以上3曲を続けて踊ります。
特定の場所を歌うご当地ソングは、その地のある時間帯、またはある時代の光景を、山や海や空、日差しや雨や風、花の香りなどをちりばめて描き残した、スケッチブックのように思えてきます。今後も、このようなメレ・フラの内容を順を追ってご紹介できたらと考えています。次回のフラナビ・コラムも、どうぞお楽しみに…。
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よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え
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