「フラが伝えること」Part2~ラブソング〜
フラ・ナビゲーターのヌイダイスケさんが綴る大好評のフラ・ナビコラム。第4弾は、ハワイのフラダンサーに愛されるフラ・ラブソングの意味を紹介します。
公開日:2013.02.21
更新日:2017.06.14
フラ・ナビゲーター Nui Daisukeです。
時代を問わず、国の東西を問わず、歌のテーマの中心にあるのは「愛」。万葉集の歌姫「額田女王(ぬかだのおおきみ)」も、J-Popの歌姫MISIAも、キング・オブ・ポップのマイケル・ジャクソンも、ハワイ王国のソングライター女王リリウオカラニも、ジャンルや時代を飛び越えた共通の感情を歌にした人たちです。
会いたい気持ち、抱きしめあえる喜びの気持ち、一人寝の切ない気持ち、届かぬ思い、人目を忍ぶ情事、愛するパートナーへの感謝の気持ちなどなど、人が人を愛する時に胸に抱えるいろいろな感情が、ラブソングに歌われてきました。
フラ・ソングのなかにもたくさんのラブソングが存在します。「ハワイの人たちは、ラブソングにどんな感情を込めてどんな言葉にして歌い踊るのか」をテーマに、今回はハワイのフラダンサーに愛されるいくつかのフラ・ラブソングをご紹介しましょう。
◆寒い夜の孤独な男の気持ちを歌うフラソング
ケアリイ・レイシェルのバージョンでリバイバルした曲「エ・ピリ・マイ」は、最近日本のフラ・ダンサーにもよく踊られるラブソングです。
E Pili Mai
(Larry Lindsey Kimura / Cyril Pahinui)
あなたはどこにいるのだろう
夜の恋人
こんな寒い夜にわたしをひとりきりにして
愛しいあなた
そばに来て
◆男を誘う女の気持ちを歌うフラ・ソング
多くのハワイアン・シンガーによって歌われる「ケ・アロハ」と「ミー・ネイ」は、大人の女性が踊るセクシーなフラ・ソングの定番です。
Ke Aloha
(Lei Collins / Maddy Lam)
わたしの胸に抱かれなさい
愛しい人
あなたの香りが誘う
夜の時間
Mī Nei
(Charles E. King)
私の頬を見て
あなたは知るでしょう
このやわらかさ
崖のようにまっすぐな背と
月のように明るい顔の
私に抱かれて
二人はあたたまる
この視線で
ハートを突き刺すわ
キスしあって
二人は満たされる
◆夫が妻に贈るラブソング
比較的新しいフラ・ソングながら、多くのフラ・ダンサーのお気に入りの1曲として定着したウェルドン・ケカウオハの曲。赤いレフアの花という意味の「カ・レフア・ウラ」という歌は、ウェルドンが結婚12年目の奥さんを思って書いたもの。
Ka Lehua ʻUla
(Weldon Kekauoha)
そこにいる僕の愛しい人
山頂に咲いた赤いレフア
パナエヴァの森の中
イヌヴァイの風に抱かれて
優しい風の中
赤い羽根のケープに包まれた
あなたの美しさに
誘われてしまう
二人ひとつになろう
永遠の愛に結ばれて
◆妻から夫へのラブソング
愛しい人を鳥にたとえたタイトルの歌「カ・イポ・レイ・マヌ」は、ハワイ王国の王カラーカウアに向けて、妻のカピオラニ王妃が贈ったラブソング。現代のフラ・ダンサーにも踊り継がれるこの歌には、悲しいエピソードがある。アメリカ本土への渡航に出ていたカラーカウアは、妻が書いたこの歌を聴くことなく、旅先で亡くなってしまった。
Ka Ipo Lei Manu
(Queen Kapiolani)
愛する想い
鳥の恋人
私の大切な人は
森に住む鳥
甘い思い出に
じっとしていられなくなる
帰ってくる日を思うだけで
幸せな気持ちに包まれる
ラブソングにもいろいろですが、こういう歌に合わせて素敵なフラを踊るために必要なのは…ブレのない美しい動きを支える年月を重ねた練習、そして、胸をときめかせたり締めつけたりする恋愛経験、といえるでしょうね。
結論:
ラブソングを素敵に踊れるフラ・ダンサーになりたかったら、練習して練習して、そして恋をしなさい(笑)!
よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え
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