フラが伝える「ハワイの神話と女神たち1」
第6回を迎えたフラナビコラム、今回は「フラが伝えること3」として、ハワイの神話と女神たち(前編)についてダイスケさんがご紹介!
公開日:2013.04.27
更新日:2017.06.14
フラ・ナビゲーター Nui Daisukeです。第6回を迎えたフラナビコラム、今回は「フラが伝えること3」として、ハワイの神話と女神たち(前編)についてご紹介します。
日本に古事記や日本書紀があるように、ハワイにはクムリポという創世記物語が存在します。クムリポによると、世界は暗闇と光が出会うところから始まります。海と陸地が分かれ、海の中に小さな命が生まれ始めます。小さな命から順番に大きな生物が生まれ続け、海も陸もいろいろな植物と動物の命で溢れます。それから神が生まれ、最後に人間が生まれます。
ハワイの父神は空の神ヴァーケア、そして母神は大地の神パパ。この二柱の夫婦神がハワイの島々を生み、カーネ、カナロアなどの神々を生み、デミゴッド(半神半人)マウイを生みます。古事記でいうなら、ヴァーケアとパパが日本の国土と神々を生んだ伊耶那岐命(イザナキノミコト)・伊耶那美命(イザナミノミコト)、マウイが暴れ者の須佐之男命(スサノヲノミコト)といったところでしょうか。
このクムリポをはじめ、ハワイにはいろいろな神話が伝えられます。そして神話のなかには、たくさんの神々が登場します。
そんな神々の物語が、長い長い歴史のなかチャント・唄という形で伝えられてきました。フラの中でもフラ・カヒコと分類されるチャントと打楽器のリズムに乗せて踊られる伝統的なフラの多くが、そんな神話の物語を伝えるチャントを踊っているのです。
日本の神話にもたくさんの神々の存在が描かれます。古事記には、月の満ち欠けを支配する夜の神、月読命(ツクヨミノミコト)や、生みの母神を焼いてしまった火の神、火之迦具土神(ヒノカグツチノカミ)、噴火を鎮める女神、木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤビメ)、海の女神、豊玉毘売命(トヨタマビメノミコト)などが登場します。
ハワイの神話にも、虹の女神、月の女神、夕焼け雲の女神、雪の女神、霧雨の女神、滝の女神など、たくさんの女神たちが登場します。なかでももっとも存在感のあるのが、火山と火の女神ペレです。今もマグマを流し続ける火山の島ハワイ島では、ペレの存在がとてもリアルに感じられます。キラウエア山頂で噴煙を上げている火口ハレマウマウが、ペレの現在の住処とされています。
そのハワイ島で開催されるメリー・モナーク・フェスティバルのフラ大会で今年総合優勝した男性フラ・チーム、カワイリウラーがフラ・カヒコ部門で踊ったのもペレの物語を伝えるチャントでした。
ʻO Kīlauea Noho Lulu
オ・キーラウエア・ノホ・ルル
静かに暮らす家はキラウエア山、という意味のタイトル。
キラウエアの火口を我が家にして深い眠りに落ちていたペレは、太鼓の鳴る音で目を覚まします。その太鼓はカウアイ島から聴こえてきます。音に誘われてペレのスピリットはカウアイ島へ旅をします。そこでフラの太鼓を叩く男に恋をします。すぐに彼と親密な関係になりますが、それはその後に続くペレの妹や他の女神たちを巻き込んでの壮大なドラマのほんのはじまりの部分なのです。
そんな神話の一部を描くチャントに合わせて踊るフラは、こちらからご覧になれます。
※画像が見られない方はこちらからどうぞ→http://www.k5thehometeam.com/story/21896804/kawailiul-kne?clienttype=generic&mobilecgbypass
次回はペレのほかに、ハワイのフラダンサーなら誰もが知る、女神のフラソングをいくつかご紹介します。お楽しみに。
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よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え
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