フラが伝える「ハワイの神話と女神たち2」
前回に引き続き、ハワイの神話と女神たち(後編)についてダイスケさんがご紹介。フラと関わりの深い2人の女神とは…?
公開日:2013.07.22
更新日:2017.06.14
フラ・ナビゲーター Nui Daisukeです。第7回の今回は、前回に引き続き、ハワイの神話と女神たち(後編)についてご紹介します。
ハワイの魅力のひとつに、神話のなかの女神たちの存在があります。島の溢れる自然と一体である彼女たちは、私たち人間のように歌い、踊り、恋をし、傷つきながら、神話時代のハワイに生きていました。古典フラ、フラ・カヒコを踊るための多くの歌が、そんな女神たちの物語を題材にしています。
前回のペレに続いて、今回はフラと関わりの深い女神を2人ご紹介します。
(写真: ヒイアカの本"The Epic Tale of Hi'iakaikapoliopele")
ヒイアカ
Hiʻiaka
ペレ姉妹の末っ子、ヒイアカはペレのお気に入り。かわいい妹にペレが命じたのは、夢の中で出会い恋に落ちたカウアイ島のプリンスをハワイ島キラウエア火山のホームに連れ帰ること。行く手に多くの困難や妨害、出会いと別れが待つ冒険の旅に出たヒイアカ。あらゆるピンチも魔法で乗り越えるヒイアカのヒロインとしての活躍と、ヒーラーとしてのパワーが、ギリシャ神話にも匹敵する壮大さで描かれます。ヒイアカ自身がフラダンサーとして踊ったり、チャントを唱えるシーンもあるこの口承物語が、ハワイアンが歌い踊ってきた古典フラの源泉となっています。
ヒイアカと関わりの深い、古典フラの歌にこんなのがあります。
Ke ha‘a lā Puna i ka makani
風吹くプナで踊る
Ha‘a ka ulu hala i Kea‘au
ケアアウの椰子の林
Ha‘a Hā‘ena me Hōpoe
ハーエナとホーポエが一緒に踊る
Ha‘a ka wahine
踊る女
‘Ami i kai o Nanahuki la
ナナフキの海で腰を揺らす
Hula le‘a wale
喜びの踊りを
I kai o Nanahuki
ナナフキの海辺で
(ケ・ハア・ラー・プナ Ke Ha‘a Lā Puna)
これはペレとヒイアカの神話の中で、最初に登場するフラ・シーン。この時ペレは初めてフラを見て気に入ります。歌の中のホーポエはヒイアカと仲良しで、彼女にフラを教えます。
ラカ
Laka
古代よりフラダンサーが守り神として崇拝してきた女神は、ハワイの森の自然を見守る守護神でもあります。伝統を大切にするハワイアンにとって、森に入ることはラカの領域に踏み入ることを意味し、その前に彼女に捧げる祈りのチャントを唱え許しを請うことを忘れません。古典フラのダンサーたちは、ラカのスピリットの宿る草花をレイにして身につけ踊ります。カウアイ島にはラカを奉るヘイアウ(神殿跡)が今も残っています。
フラダンサーが、レイのための植物を摘みに森に入る時のチャント
Noho ana ke akua I ka nahelehele
森の奥の神よ
Aia la, aia e I ke kīʻohuʻohu o ka ua kōkō
赤い雨の霧の中
E nā kino malu o ka nahelehele e malu hoʻi
その雨は森を護るために現れる
Noho ʻoe e Laka I kou kūahu ʻo wau no e
ラカよ、私の身体はあなたの化身
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これらの記事を担当しました。
・ミュージシャン・インタビュー音楽園 ネイサン・アヴェアウ
・クム・ヒューエットが語るチャントのマナ
・ナー・ホークー・ハノハノ・レポート
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よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え
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