ハワイ島の聖地にコアの木を植えるツアー!【ハワイアン・レガシー・ツアー】
絶滅危惧種、ハワイ原産のコアの木を、カメハメハ大王が所有した聖地に植えることができるのです!ハワイ島の自然を感じ、じんわり感動する植樹ツアーをご紹介します!
公開日:2014.08.09
更新日:2017.12.10
アロハ! メグミです。
現存する数少ないハワイ原生種のひとつ、コアの木。美しい木目と硬い材質から、アクセサリーやペン、ウクレレなどに使われる高級木材としても知られていますよね。ハワイでしか育たないコアは、じつは絶滅の危機に瀕した植物でもあるのです。そんな貴重なコアの木を、かつて王族しか入れなかった聖地に植え、森を復活させるお手伝いができる植樹ツアーがハワイ島にあると聞き、リツコ編集長、ロコガールのカイラニちゃんと一緒に参加してきました!
コアの植樹ツアーを主催するのは、植樹活動に取り組んでいるハワイアン・レガシー・ツアー。カイルア・コナの空港から車で約1時間20分、マウナケア山の中腹ウミコア・ビレッジにあります。メインロードである国道19号線からぐるぐると山道を進み、15分ぐらいするとビレッジに到着するのですが、場所がかなり分かりづらいので、ハワイアン・レガシー・ツアーの公式サイトで行き方を事前にチェックするのがおすすめです。建物も数軒しかなく、ひっそりとしていて、標高があるため空気もひんやり。なんだか秘境のような雰囲気に、ちょっとドキドキ!
まずはビジターセンターにて、ツアー参加についての注意事項を聞いたり、書類に必要事項を記入します。室内はキュートなロッジ風のインテリアで、雰囲気抜群! なんでも1920年代の牧場の家を改装して利用しているのだとか。これからのツアーに備え、上着を着たり、トイレもここで済ませておきます。
次に、ビジターセンターの庭で、今日植樹する苗木を選びます。ずらりと並ぶ苗から気に入ったものを選んだら、その苗を持ってこちらの黄色い四輪バギーに乗り込みます。このバギーは4人乗りですが、もっと大人数での参加の場合には、6輪車ピンツガウアーを使います。いざ、聖地を目指してレッツ・ゴー!
ビレッジを出てすぐ、道路は未舗装に...。鬱蒼と茂るユーカリの林の中を進みます。このユーカリは人の手で植えられたもので、ユーカリを育てるためにこの辺りの土壌は人工的にアルカリ性に保たれている一方、これから向かうコアが育つ土壌は酸性なのだそう。ふむふむとガイドさんの話を聞きながら、林を進むにつれて、道は細く険しくなり、どんどんと獣道の様相になっていきます。
ユーカリの林を抜けると、景色は一転、高原の景色が広がります。小さな丘が連なって大きな丘になっているような急斜面で、そこら中に大きなコブや穴があるのですが、ガイドのテイラーさんとリチャードさんは華麗なハンドルさばきで四輪バギーを運転し、かなりアクロバティックなドライブを満喫(笑)。何度もバギーごとひっくり返りそうになってギャー!と悲鳴を上げるのですが、絶対にひっくり返ることはなく、ガイドさんは余裕の表情で「あそこに見える植物は...」と、ハワイの自然についてのお話をたくさんしてくれます。
途中、このウミコア地区に生える最古のコア古木に立ち寄り、記念撮影。木の表面に、緑色の毛のようなものが生えているのが見えるでしょうか? これはハワイ語でウミコアという名の地衣類で、別名「beard of Koa(コアのひげ)」と呼ばれています。空気がきれいな土地でしか育たないため、現在ではハワイの中でも高山の一部でしか見ることができないのだとか。
ウミコアとはこの辺りの地名でもありますが、かつてこの一帯は壮大なコアの原生林が広がり、カメハメハ大王一世が所有する聖地で、一般人が立ち入ることのできない特別な場所でした。しかし、今から約1世紀前にほとんどのコアが伐採され、農地や牧地に...。ところが近年、この地に再びコアの森を蘇らせようとする活動がスタート。今回の植樹ツアーも、その活動の一環として行われています。
コアの古木を後にし、さらに上へと進みます。デコボコ急斜面をつき進むバギーは、荒馬のロデオ状態で、これ自体がアクティビティと呼びたいほどの大興奮エンターテインメント!(笑)。みんな大はしゃぎで、この笑顔です。
植樹できる敷地はかなり広範囲にわたるのですが、私たちは「ケイキ・フラ・レガシー・フォレスト」というエリアに木を植えることに決定。「自分の木をどこに植えるか選んで」と、リチャードさん。直感を研ぎ澄ませて「ここだ!」と決めると、リチャードさんが苗木一本分の穴をスコップで掘ってくれます。
苗をカバーから外して穴に入れ、穴を掘ったときに出た土を、隙間を埋めるようにかぶせていきます。「土は強く固めず、ふわっとやさしくかけてあげてね。土のなかで根が呼吸できるように」。
最後に、イプ(ひょうたん)から水を注ぎ、手をすすぎながら苗木に水をあげます。「この木はすくすくと育ち、10年もすれば立派な大木になります。そして50年間で、$31,250の価値に相当する酸素を供給し、$37,500に相当する水の浄化を行い、$62,000の価値に相当する空気公害をコントロールし、$31,250の価値に相当する土壌侵食の防御をすると言われています」。たった1本のコアの木が、そんなに多くをもたらしてくれるなんて...これまで考えたこともなかった、1本の木の偉大な力に、胸の奥がじーんと熱くなります。
「私も大きくなるから、元気に育って、大きな木になってね!」。赤ちゃんのような苗木は、風が吹けば折れてしまいそうな頼りなさで、放っておいたら枯れてしまうのでは...と下山するのがためらわれたのですが、「大丈夫。この標高では苗木を荒らす動物もおらず、適度な降水があるので、必ず立派な大木に育ちます」とリチャードさん。苗木と一緒にRFIDという個別認識チップが入ったプレートも土に埋められ、育つ過程もしっかりと管理されていくそうです。そうと聞けば安心ですね。よかった〜!
最後に再びビジターセンターに戻り、植樹をした記念となるサーティフィケート(証明書)を受け取ります。自分の名前や植樹した日付だけでなく、植樹した場所の緯度経度座標も書かれているので、数年後にグーグルアースを使って自分が植えた木を見ることができるのだとか。数年後が今から待ちきれません!
そして、私がいちばん感動したのは...。植えられたコアの木は寄付となるため自分で伐採して利用することはできないのですが、この植樹の行為は、自分の記念としたり、誰かに捧げることができるという点。たとえば子どもが生まれた記念であれば、「最愛の息子○○に捧げる」といった言葉を、このサーティフィケートに記すことができるのです。私はちょうど結婚したばかりだったので、「私たちの結婚に捧げる」とし、「コアの木が育つように、ふたりの愛が育ちますように」とメッセージを記しました。リツコ編集長は「最愛の娘と息子に捧げる」とし、「コアの木のように、子どもたちが強く、真っ直ぐに育ちますように」と記しました。
木を植える、たったそれだけのことなのに、ハワイの自然、そして地球や宇宙までと強い繋がりができたような、頼もしい気持ちになるから不思議です。私がつまらないこだわりに囚われている時も、些細なことで夫婦喧嘩をしてしまう時も、あのコアの苗木は、清浄な空気が漂う高原で、上だけを見てすくすく育っているのだと思うと、底知れないパワーが湧いてきます。ちなみに、数年後に自分が植えた木を見に行くことも可能だそうですよ。ツアーに参加しないと行けない場所のため、有料になりますが、私もぜひ育った木に会いに行きたいと思っています。みなさんもぜひ、ハワイの自然を感じ、ハワイの自然に貢献する感動の植樹体験をしてみませんか?
この記事を書いた人
マローン恵(メグミ)
アロハストリート副編集長。ワイキキ、マノア、モンサラット、マキキを経て現在はカイムキ在住。好きなものは地ビールと地コーヒーと地チョコレート(全部発酵食品!)。ハワイ島取材班としても意欲的に活動中。
Twitterアカウント:@Megumiinhawaii
- この記事をあとでまた
みたい場合は、
マイページにクリップ!