若き経営者がプロデュースするこだわり和食【居酒屋 心/心玄】
ワイキキのそば専門店「心玄」とモイリイリ地区にある「居酒屋 心」のオーナー、中谷翔一さんに、経営やお店のこだわりをインタビュー。
公開日:2015.04.08
更新日:2020.11.25
※心玄は閉店しました。(2020年11月現在)
アロハストリート編集スタッフも、ランチなどでよく利用しているそば屋の「心玄」。お店を訪れるたびにテキパキ動き、ていねいなサービスでひときわ目立つ存在のウェイターの方がいるなーと思っていたら、なんとその方はお店のオーナー! しかもべレタニア通り沿いにある隠れ家的居酒屋として人気の「心」のオーナーも務めているという、26歳の中谷翔一さん。この若さでオーナーになったきっかけやチャレンジ、お店のこだわりなどについてインタビューしました!
居酒屋 心/心玄オーナー
中谷翔一
大学卒業後、2年間飲食店のコンサルティング会社に勤め、マネージメントや新規事業形態の開発、海外事業、海外マーケティングを経験後、2014年2月にハワイへ。「居酒屋 心」と「心玄」のほか、お弁当の「こころ亭」、ペットウエアが人気のアパレルショップ「ルナブルー」などを運営するリアルジャパンの代表取締役を務める。
──こんにちは。中谷さんとってもお若いので、オーナーと聞いてびっくりしたのですが、どのような経緯でオーナーになられたのですか?
中谷さん(以下、中谷):僕は大学を卒業後、飲食店のコンサルティング会社に就職し、マネージメントからマーケティング、海外事業などを担当していました。その後、ここハワイでお弁当屋の「こころ亭」や「居酒屋 心」などを経営していた父が、「あとはお前に任せるよ」ということで、経営を引き継ぐことになったのです。
──いきなり経営者になることに戸惑いや不安はありませんでしたか?
中谷:なかったですね。何事もやってみなきゃ分からないという思いがありましたから。昔から父の後を継いで社長になるものと考えていたので、大学も経済学部で経営学を専攻し、就職先も飲食店のコンサルティング会社を選びました。
──社長から逆算しての人生設計だったのですね(笑)。
中谷:そうですね(笑)。でも、その時の経験が今とても役に立っています。
──実際に、ハワイでお店を経営する側になって、苦労した点は?
中谷:「人」ですね。日本人だけでなく、異なる文化の中で育ってきたローカルスタッフもいるので、ちゃんと人間関係を築き、教育し、理解してもらうことは時には難しいこともあります。自分の思いが伝わらなかったり、伝わりにくい場合は、徹底的に話し合うか、実際に行動で見せて分かってもらえるよう努力しています。
──ホールできびきびと働く中谷さんをよく拝見しますが、その姿を見てスタッフの方たちも学んだり、共感したり、刺激になっているのではないでしょうか。
中谷:はい。スタッフのなかには自分より年上の方も多いので、僕のような年下が頭ごなしに指図するだけでは、協力してもらえないと思います。だから実際にホールに立って、動いて、一緒に働く。そうすれば、自分のことを認めてくれるし、意見もちゃんと聞いてくれると信じています。店で働くのは、接客が好きというのもあるのですが、お客様の反応がダイレクトに分かるし、サービス面での改善点などいろいろ気が付かせてもらえるとても貴重な時間です。あと、実は寂しがりやなので接客はやめられないですね(笑)。
──たしかに、寂しがりやさんにはぴったりのお仕事ですね(笑)。いろいろと苦労も多いと思いますが、経営者という仕事のどこに魅力を感じますか?
中谷:良くも悪くも自分しかいないということです。もともと指図されて動くのが嫌いなタイプなので自分で舵を切ることができるのはとてもうれしいです。と同時に責任感も増してきますけどね。でも、自分のアイデアがダイレクトに表現できるというのは大きな魅力です。
──表現したいアイデアがたくさんあるからこそ、魅力的に感じるのでしょうね。新しくリニューアルオープンした「心玄」は、中谷さんのどのようなアイデアを取り入れられたのですか?
中谷:日本の有名なそば屋である「松玄」のビジネスを引き継いだのが「心玄」なのですが、松玄時代のお客様にも満足いただけるよう、メニューはほとんど変えませんでした。そばの製法もそのままで、北海道産のそばの実を店でひき、新鮮なそばを提供しています。ただ、内装は「居酒屋 心」のようにモダンでシックなインテリアにして統一しました。このインテリアにしてから、日本の方だけでなく、ローカルや欧米の旅行者のお客様の利用が増えましたね。
──なるほど。お店の雰囲気で客層が大きく変わることを体感されたわけですね。そして今後は、メニュー作りにも関わっていらっしゃるのでしょうか?
中谷:そうですね。「心玄」は今のところあまり手を加えてませんが、それでも基本的に自分が食べたいと思うものが多くなりますね(笑)。ホールにいるとお客様が求めているのも分かりやすいので、メニューに反映させやすいです。まだ先の話ですが、「寿司も食べたい」とのお客様のご要望にお応えして、心玄では今後カウンターを作って寿司も提供していこうと思っています。
──そばと寿司が一緒に味わえるようになるなんて、とても楽しみです。では、「居酒屋 心」は中谷さんが加わってから、何か変えた部分はありますか。
中谷:去年は「心玄」に力を注いできたのですが、落ち着いてきたのでちょうど今いろいろと調整している最中です。オペレーションや人員、メニューをちょっと変えようと思っています。
──「居酒屋 心」のこだわりは?
中谷:炉端焼きですね。ハワイでも珍しい囲炉裏端があり、熟練の焼き方さんがていねいに焼き上げます。お店自体が隠れ家的な居酒屋なのですが、囲炉裏席は隠れ家の中の隠れ家、という感じで秘密めいた雰囲気がおもしろいと思いますよ。寿司もいいネタを使っているので、居酒屋でハイレベルな寿司をお楽しみいただけます。
──ハワイ在住の日本人の間でも話題の「居酒屋 心」がさらにパワーアップするのが楽しみです。最後に今後の夢を聞かせてください。
中谷:まずはこの事業をハワイで成功させることですが、その次の夢はアメリカ本土へ進出したり、日本へ逆輸入したり、いろいろな場所でビジネスを展開していきたいですね。ホールにはいつまでも立ち続けたいですが、僕がいなくてもお店がちゃんと機能する仕組みができるといいなと思っています。また、この和食店2店舗以外のお弁当屋やアパレルブランドの経営も携わっているので、これらを上手に活用して更なるステップアップができたらと考えています。これからも従業員のみんなと同じ目線で一緒に働き、全員がハッピーで笑顔があふれるような会社作りを目指していきたいですね。ハワイでほっと心が落ち着く食事が恋しくなったら、ぜひ「居酒屋 心」、「心玄」へお越しください。心を込めておもてなしいたします!
──どうもありがとうございました!
インタビューを終えてひとりの経営者として真剣にビジネスを語る中谷さんは、26歳という若さを感じさせないほどの大人っぽい考えの持ち主。「ほかのいろいろな経営者の方から、僕が経験したこともないお話を聞いて勉強したり、お客様やスタッフからも日々学ぶことばかりです」と、若いからこそ不足しがちな経験値を、こうした毎日の地道な努力で補っている姿が印象的でした。今後のご活躍とお店の新しい展開にますます期待が高まります。
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