店づくりは街づくり。飲食ビジネスの未来へ【ゼットン】
アロハテーブルを運営する飲食業界のトップランナー「株式会社ゼットン」の重要人物に、お店づくりやブランディングの秘密を聞く!
公開日:2016.01.26
更新日:2017.06.15
アロハ!メグミです。
「アロハテーブル・ワイキキ」「グーフィー・カフェ&ダイン」「ヘブンリー・アイランド・ライブスタイル」という3つの異なるレストランをハワイで運営・成功させている「ZETTON, Inc. 」。3店とも、これまでハワイにありそうでなかった新しいコンセプトと、一度来たら必ずリピートしたくなる居心地の良さが特徴です。今回、ダイニング事業部長の菊地大輔さんに、抜きん出たブランディングの秘密や、飲食ビジネスで働くということなど、さまざまな角度からお話をお伺いしました。飲食業界で働きたい人、必見です!
●菊地大輔 Daisuke Kikuchi
ZETTON, INC 取締役 執行役員 ダイニング事業部長。
●株式会社ゼットン
1995年設立、カフェバー「ZETTON」を名古屋にオープン。以降、「アロハテーブル」をはじめとする各種飲食ブランドを立ち上げ、現在約80店舗を運営。ハワイでは、2009年「アロハテーブル・ワイキキ」をオープン以降、2013年「グーフィ・カフェ&ダイン」、2014年「ヘブンリー・アイランド・ライフスタイル」を次々と展開。ワイキキ界隈のグルメ&ダイニングを牽引する存在として注目を集めている。
www.zetton.co.jp
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編集部:ゼットンを象徴する稲本健一社長の右腕的な存在だということで、菊地さんのお噂はハワイにも轟(とどろ)いています。まずは、菊地さんご自身についてお聞きしたいのですが、ゼットンで働きはじめたきっかけは何だったのでしょうか?
菊地:はじまりは13年前、東京での3店舗めを開店する際の、オープニングスタッフ募集の求人を見たのがきっかけです。広告に「時給850〜1700円」と書いてあって、すごい時給の幅があるんだなと思って。ちょうど海外から帰国したばかりで、てっとり早くお金を貯めて海外に戻りたいと考えていたので、「俺なら時給1700円もらえちゃうな!」と思って応募したんです。短絡的でしょう?(笑)。
編集部:創業メンバーじゃないんですね! しかもアルバイトからスタートしていたとは驚きです。
菊地:そうなんですよ。もともと学校を卒業してアパレル業界に就職したんですが、20代半ばで退職し、ワーキングホリデーで約1年間オーストラリアに滞在していたんです。そのままサーフトリップでバリなどを旅して、日本に帰ったのですが、すぐにまた海外に戻りたいと思っていたので、お金を稼ぐための一時的な帰国のつもりだったんですよ。オーストラリア滞在中にカフェで働いていたので、その経験も活かせるだろうと踏んで、時給1700円もらっちゃおう、と(笑)。
ところが、働くうちに、どんどんゼットンの作る飲食の楽しさにのめり込んでいって。気づいたら「社員にならないか?」というアプローチをいただくようになっていたんです。当時、自分は27〜28歳、飲食店でアルバイトをするにはちょっと高い年齢でもあるし、将来のことも考えなきゃいけない。でも海外にも戻りたいし...いやそもそも海外で何がしたいの? サーフィンだけやって暮らせるわけじゃないし...と、よく考えたら、海外に行く目的っていうのがぼんやりしてたことに気づいたんですね。
そんな中、ゼットンはいつか海外に進出する意向がある、ということを聞いて。「次に海外に行く時は、仕事で行くしかない」と思って、覚悟が決まりました。アルバイト入社から1年後に社員になり、お店でのホールサービス、店長、エリアマネージャーを経て、現在に至ります。海外業務に携わるようになったのは、入社から結局、10年後ぐらいです(笑)。
ピーク時は常に満席の「アロハテーブル・ワイキキ」店内&テラス席
編集部:まさに有言実行ですね。当時アルバイトの菊地さんが感じた「ゼットンが作る飲食の楽しさ」とは?
菊地:飲食は「人とつながる場」であり、その過程をみんなで作り上げていくことに、喜びを感じました。
編集部:それは、お客さんと接するのが楽しい、といった意味でしょうか?
菊地:いえ、接客業ですからお客様とのやりとりの楽しさはもちろんあるのですが、そこを超えた...その場の空気感をプロデュースしていくような感覚です。
外で食事をする時、何かテーマがあると思うんです。デートや記念日など恋人のシチュエーションもあれば、仕事帰りに仲間が親睦を深める飲み会だったり、接待、合コン、女子会...いろいろありますが、共通しているのが、人との関係性が存在していること。その「人とのつながり」を、より深く親密なものにするお手伝いができた時、とても大きなやり甲斐を感じました。
たとえば、「あのテーブルはデートだな」という時、過剰な接客はかえって邪魔になりますよね。控えめなアプローチの中で、男性が自然にレディーファーストができるように気を配ったり、女性がより美しく見えるように照明を調節したりもします。また、仲間との飲み会のテーブルには、場が盛り上がるように元気に切り込んでいきます。ビジネス接待のテーブルではゲスト側からサービスします。そのテーブルごとに、サービス感は違ってくるんですね。
お店を出るとき、デートのふたりが親密な空気になっていたり、飲み会が盛り上がっていたり、接待がうまくいった感じだったり...そんなお客様の姿を見て、「よっしゃ!」とフロアのみんなで喜ぶんです(笑)。その成功感って、たった一人のサーバーが作るものでもなければ、凄腕の料理人でもない、スタッフみんなで作るものなんです。
編集部:なるほど〜。「感じがいい接客」の裏には、そんな細かな気配りがあったんですね。
「アロハテーブル・ワイキキ」ではハワイアンフードを独自にアレンジしたバラエティ豊かなメニューが魅力
菊地:料理が美味しいのは、ある意味当然の条件ですよね。いつもよく言うのですが、「私たちは温度を扱っている」と。料理やドリンクの温度はもちろんですが、そのテーブルごとの温度感をどうやって大事にできるかが、接客のすべてだと思っています。
編集部:テーブルごとの温度感を大事にする...それって、難易度が高いと思うのですが。マニュアル的な接客では到底カバーできない領域ですよね。
菊地:そうですね。そういう意味でのマニュアルは、ゼットンにはないですね。もちろん入社してから最初は、最低限のことは教えますし、ロールプレイングもします。ですが、人を相手にしている以上、方程式はないので、人の輪の中に突っ込んでいくしかないんですよ。
あと、ゼットンはお店によって業態もさまざまなので、マニュアルが作れないというのもあります。基本、そのお店のローカル・ルールは店長や料理長が作っていくものだと考えています。まあ、ローカル・ルールといっても空気感のようなものなんですけどね。真ん中を貫く信念はあるけれど、ガチガチに縛るような規則はなく、わりと自由です。社員同士も下の名前で呼び合うことが多いですし、フランクですね。
編集部:年商100億円規模の会社としては、とてもフランクですね。
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