店づくりは街づくり。飲食ビジネスの未来へ【ゼットン】

店づくりは街づくり。飲食ビジネスの未来へ【ゼットン】

アロハテーブルを運営する飲食業界のトップランナー「株式会社ゼットン」の重要人物に、お店づくりやブランディングの秘密を聞く!

公開日:2016.01.26

更新日:2017.06.15

アロハストリート・インタビュー

編集部:先ほど「お店によって業態もさまざま」というお話が出ましたが、お店ごとに異なるコンセプトを持っていて、とても独創的ですよね。そうした卓越したブランディングは、どのように生み出されているのでしょうか?

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サーファーズハウスを彷彿とさせる「グーフィ・カフェ&ダイン」

菊地:まずは物件ありきですね。場所が決まってから、この街にまだなくて、でもみんなが求めているものは何だろう?と考えるんです。それも、あまり先を行き過ぎたらダメで、「いまのドンズバより少しだけ先」というものを、私たちなりの感性で練りあげていく感じなので、お店ごとに違ったブランドが出来上がります。業態開発から行うことができるのが、最大の強みなんです。

編集部:物件が先、というのはユニークですね。まず統一のブランドがあって、それを全国展開していくという考え方とは真逆ですね。

菊地:店づくりは街づくり」がゼットンの基本理念。その街にとって価値あるお店を作っていくことに意味があると考えています。

 創業20年で80店舗なので、飲食業としてはそれなりの規模ですが、ほかにもっと短期間で派手な展開をしている飲食ブランドはたくさんあります。うちは1軒ずつゼロから業態開発をするので、年間で5〜6店舗作るのがせいいっぱい。オープン後もブラッシュアップしていくので、お店が街に馴染んでブランドが確立するまでには1年ほど必要です。とにかく時間もコストもかかりますが、それが、ほかにはない私たちだけの価値を生み出していると思っています。

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ハワイ産食材を使った「グーフィ」のメニューはどれもパンチのあるボリューム感。ワインや酒類との相性も抜群。

編集部:2013年に「グーフィー・カフェ&ダイン」、翌年の2014年に「ヘブンリー・アイランド・ライブスタイル」という2つのお店をワイキキにオープンしましたが、どちらも特徴的なお店ですよね。地元では「こんなオシャレなお店がハワイにできるとは!」と、ロコたちがこぞって来店し、かなり話題になりました。

菊地:「グーフィ」と「ヘブンリー」は、どちらもEat Local(地産地消)のコンセプトは同じなんです。でも決定的に違う感じがしませんか?

編集部:そうなんですよ! 最高に居心地が良いのは同じなのに、流れる空気感はじゃっかん違っていて、そのテーマというかブランディングについて今日はぜひお伺いしたいと思っていました。

菊地:端的に言うと、「グーフィ」はメンズ、「ヘブンリー」はレディースなんですよ。

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「ヘブンリー・アイランド・ライフスタイル」店内。アイランドをテーマにしながらも、どこか都会的なセンスの良さもあり、抜群のおしゃれ感が漂う。

菊地:「グーフィ」では、メンズのサーファーの家をイメージしています。インテリアに使用しているウッドもダークな色合いで、クッションや壁掛けアートなどもメンズっぽい雰囲気。フードも「サーフィンから帰ってきてガッツリ食いたい男メシ」なので、カフクコーンのチャーハンやシンサトポークのグリル、といったガッツリ系メニューが多い。男がリラックスできて、仲間と酒を飲みながら楽しめるような空間、というのがテーマになっているんです。

 一方、「ヘブンリー」は女子目線。
 「世界中のアイランドを旅してきた女性が、ハワイに来てローカル食材に心惹かれてここに住む決心をした。そんな彼女が自宅に友だちを呼んで、みんなに食べさせたいローカル食材のメニュー」
 というのが、ヘブンリーなんです。だから店内もウッディなんだけれども明るめで、インテリア小物も女子っぽいでしょう? ヘルシーさやオーガニックにこだわったメニューを意識しつつ、フォーなどのアジアンテイストも入ってきています。

編集部:うわ、すっごく納得です。「グーフィー」には、入り口に大きなサーフボードラックがあったり、フォルクスワーゲンの置物があったりと、男子目線。「ヘブンリー」では白壁に家具がオレンジや暖色系の差し色、壁のアートやクッションなんかも、いちいち女子っぽいですね。言われてみると、そうとしか考えられないくらい明確です。なんで気づかなかったんだろう、くやしい!(笑)。

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「ヘブンリー」店内。壁のアートや小物、シャンデリアなど絶妙なラインの女子っぽさで統一されている。

菊地:とにかく「ヘブンリー」では女子目線を意識しました。作ってるのは男性スタッフばっかりなので、女子になりきって考えましたね(笑)。また、インスタグラムやフェイスブックなどのSNSにどんどんアップしてもらえるような、写真に撮りたくなるおしゃれ感も大事なポイントだと思っています。SNSはいわば「無料のクチコミ広告」ですから。

編集部:いまやビジネスを考える上でSNSは切り離せないツールになっていますよね。SNSにアップされた写真の、店内インテリアやお料理のプレゼンテーションが、ほんの一部しか切り取られていないのに、確実に「あ、これグーフィだ」「これはヘブンリーだ」と分かってしまう、それが本当にすごいことだと思います。「そのお店らしさ」が隅々にまで行き渡っていて。

菊地:ありがとうございます。ハワイでお店を作るって、まずは「満足いく建材がない」という壁にぶち当たるんですよ。「グーフィ」も「ヘブンリー」も、家具やインテリアの建材はほとんどハワイの外から取り寄せましたから。骨の折れる作業ですが、でも妥協したくないんです。

 先ほど「まず物件ありき」というお話をしましたが、物件からテーマを見つけるのは、代表の稲本(健一氏)なんです。稲本がイメージした世界を、みんなでサービスや空間に落とし込み、形にしていきます。稲本自身がデザイナー出身なので、お店づくりに対するこだわりも非常に強いですし、妥協しないで追求していくエネルギーも、ものすごいんですよ。社内にはデザイナーもいるのですが、ブランディングの源泉は稲本が握っています

編集部:稲本社長、やっぱりカリスマ的ですね。

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「ヘブンリー」で実施中のパーティプランは6人以上からオーダー可能。料理7品+ドリンク2杯で1人$40とかなりお得。詳しくはこちら>>

次は...
「ストーリーを売る時代」、レストランの存在価値とは?
今後のワイキキ展開にも要注目!

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