店づくりは街づくり。飲食ビジネスの未来へ【ゼットン】

店づくりは街づくり。飲食ビジネスの未来へ【ゼットン】

アロハテーブルを運営する飲食業界のトップランナー「株式会社ゼットン」の重要人物に、お店づくりやブランディングの秘密を聞く!

公開日:2016.01.26

更新日:2017.06.15

アロハストリート・インタビュー

編集部:お話を伺っていると、ゼットンのお店づくりには、その空間を楽しむ人の姿があって、ストーリーを感じさせます。

菊地:いまはもう、ただモノを売る時代じゃなくて、ストーリーを売る時代になっていますよね。ストーリーの重要性は常に意識しています。その流れもあって、日本では、公共事業にも参画しているんですよ。

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菊地:国が作った建造物...お城や公園、美術館などがそうですが、その付帯施設としての飲食店に、我々ゼットンが入り、お店づくりをしています。大きな公園には売店がありますよね? その売店はあくまで公園のおまけ的なものですが、我々ゼットンが業態開発から入ることによって売店自体に価値を持たせ、「このお店があるから、あの公園に行きたい」という新しいベクトルの集客を獲得していくお手伝いをすることで、その公共施設の再生を図っていきます。

 最近だと、「横浜マリンタワー」が象徴的ですね。横浜開港150周年を記念してリニューアルしたのですが、タワー内のホールやカフェ、バー、展望レストランと4つのお店をゼットンがオープンしました。

 この横浜マリンタワーもそうなのですが、国の公共事業で建てられた施設はその場所自体に歴史的価値があったり、広々とした公園が併設されていたりと空間が贅沢に使われています。そんな魅力的なロケーションで、誰かと食事をするということ自体が、とても素敵なストーリーになると思いませんか?

編集部:もう、ぜったいに好きな人と行きたいですよね

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横浜・山下公園の緑を臨むイタリアンレストラン「ザ・バンド」。

菊地:また公共事業の良いところは、ほぼ半永久的になくならない建物だということ。この場所で初めてデートをした、家族と食事をした思い出の場所が、結婚して、子どもが生まれても、ずっとそこにあるという価値は、かけがえのないものです。その瞬間が楽しいだけでなく、ずっと語り継いでいけるストーリーが生まれます。

編集部:子どもと一緒にその公園に行って「ここはパパとママの思い出の場所なんだよ」って話すことができたら、とても素敵ですよね。

菊地:その通りです。ウエディングとの親和性も高いので、ウエディング事業も進めています。自分が挙式した場所がいつまでも無くならず、ずっと存在しているというのは大きな財産ですよね。歴史ある風光明媚なロケーションで、ゼットンの料理とサービスを駆使し、最高の一日を演出するお手伝いをしています。

編集部:常に新しいことを発信している感じですが、ハワイでの次の展開は?

菊地:2016年、ワイキキにあと2店舗オープンする予定です。

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「小料理バル・ドメ」。北欧の漁港にある吹きさらしの建物をイメージした白壁が印象的。

編集部:それはビッグニュースですね!

菊地:同じ建物内に、1階は新しいタイプの日本食レストラン、2階はハワイの食材をふんだんに使ったカジュアルフレンチという、異なるスタイルの2店舗を計画中です。1階のお店は、日本で名古屋の名駅に国産・地産にこだわった「小料理バル・ドメ」というお店を運営しているのですが、このお店を下地にしつつ、ワイキキらしく発展させたものを考案中です。2階のほうも、「フランス料理」という高級な雰囲気ではなく、ちょっとしたステキ感はありつつもカジュアルに楽しめる方向性を考えています。

編集部:聞いているだけでワクワクしてきますね。それらのアイデアも、やはり「物件ありき」で生まれたのですか?

菊地:はい。ワイキキの中心地ながら、ほんの少しだけ横道に入った場所にある物件で...じつは1935年に建てられた歴史的指定建造物なんです。もともとは店舗用地として長く使われていたのですが、それを今回、飲食向けの店舗にリノベートして再び息吹を吹き込むという、かなり壮大なプロジェクトになっていまして、みんなで久々に燃えてます。

編集部:うわ、まさに価値ある建物の再生事業じゃないですか!

菊地:「店づくりは街づくり」の原点として、かなり気合が入ってます。個人的には行政との複雑なパーミットには毎回悩まされているので(苦笑)、意地でも良い店にしますよ。ゼットンのクリエイティブの力を結集した新しい店づくり、ぜひ楽しみにしていてください。

編集部:ぜひアロハストリートで取材に入らせてくださいね。今日はどうもありがとうございました!

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今回お話をお伺いした菊地大輔さん(右)、「ヘブンリー・アイランド・ライフスタイル」店長のマイルドさん(左)。

■■■取材を終えて...■■■
ビジネスの成功を考える際、ともすると「効率化」「コスト削減」といった短期的に利益を追求する方向に行きがちな中、「じっくり時間をかけて、妥協せずに良いものを作る」というスタンスは、じつは勇気と体力がいることです。「業態開発から行い、店とともに街も成長させる」という考えにも感銘を受けました。企業もお店も、働く人も活き活きと良いエナジーにあふれているゼットン、今後も注目していきたいと思います!(メグミ)

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