むっちり大きいハワイ島キノコ栽培所を見学【ハマクア・マッシュルーム】
ハワイで唯一エリンギ栽培をしている「ハマクア・マッシュルーム」。ハワイ島にあるきのこハウスの見学がすごく面白かった!
公開日:2016.09.12
更新日:2017.12.10
アロハ! メグミです。
ハワイ産の食材が注目されるようになって久しいですが、なかでも雄大な自然を有するハワイ島は、ほかの島々にはない特産品もいっぱい。
たとえば...
●アワビ(ビッグアイランド・アバロニ社)
●バニラ(ハワイアン・バニラ・カンパニー)
●ビッグアイランド・ビーフ(牧草だけを食べて育ったハワイ島の牛肉)
などなど。
そして、忘れてはいけないのが、「きのこ」の存在。
よく見かける丸いマッシュルーム(Crimini Mushroom)やポータベロ(Portabello)などは、オアフ島でも栽培している農園があるのですが、エリンギ(Trumpet Mushroom)は、ハワイ島のとある場所でしか栽培されていないんです。
その場所というのが...
こちら!
その名もずばり「ハマクア・マッシュルーム」。
広大なハワイ島の中でも、東海岸のヒロから車で約45分ほど北上した、ラウパホエホエという地区にあります。
栽培所の建物が、こちら。
自然豊かな高原に建ち、むっちゃくちゃ風光明媚な環境です。
「ハマクア・マッシュルーム」というのはブランド名で、この栽培所の正式名称は「ハマクア・ヘリテージ・ファーム」といいます。
今回、ご案内いただくガイドの根本さん。
根本さんはオアフ島出身で、英語&日本語のバイリンガル。
建物の外から、きのこ作りのプロセスが始まっています。
きのこを育てるプラスチック製のプランターがずらりと並んでいて、苗床が植えられるのを今か今かと待っています。
ちなみにこのプランターは、リサイクルして何年も使用可能なのだとか。
きのこの苗床になる木くずを作っているところ。
この近隣で手に入るユーカリの木が使われます。香りが良さそうだ。
ゴツゴツした原木からしいたけが生えているところは見たことがありますが、こんなに細かい木くずが苗床になるんですね〜。
次に、室内に移動します。
「まずはこちら、完成したきのこは、こうなります」(根本さん)
にょきにょきっとプランターからはみ出てますよ!
このプランター内部には、先ほどのユーカリの木くずが詰まっているんですね...。
育ったきのこは、頭の部分だけポコッと取って収穫します。
プランターは洗ってまた使用しますが、中の木くずは一度しか使えないため、まとめて近隣の農家に肥料として提供しているのだとか。エコですね。
素敵なカフェのようなスペースで、ハマクア・マッシュルームの紹介ビデオを鑑賞。
驚いたのですが、ハマクア・マッシュルームは2003年にこの栽培所(きのこハウスと呼ばれているそうです)をオープン。
しかも、オーナーのボブ&ジャニス夫妻は、きのこ栽培どころか農業に関わったことのない、まったくの素人だったというではありませんか!
ボブさんの前職は、オアフ島でのヘリコプター・パイロット。
ハワイ島のこの自然豊かな土地が気に入り、ほかの人があまりやっていないきのこ栽培の事業をスタート。
日本のきのこ栽培技術を輸入し、今では1週間で5000ポンド(約2.5トン)ものエリンギを生産するまでに急成長!
出荷量のほとんどが、ハワイ州内で消費されているのだとか。
マシンも日本製のものを使用。
菌を植えつけ、しばらくするときのこの根っこがプランター内に行き渡り、こんなふうに白くふわふわっとした状態になります。
このふわふわ部分を少し切り取って刺激を与えることを「菌かき」と言うのですが、栽培所内でもそのまま「Kinkaki」と呼ばれていました。
菌かき後、だんだんときのこが生えてきます。
エリンギの育つところを初めて見たのですが、最初はしめじのような小さなきのこがたくさん生えてきて、その中でも2〜3本ぐらいが、まるで淘汰に勝ったかのようにぐんぐん大きくなるんですね〜。
そういえば、スーパーで買うエリンギって、大きなやつの下のほうに、小さいやつがちょこんと寄り添っていることがありますね...。
そして、そんな大きなのも小さいのも、みんな根っこはつながっていて、人間でいう腰から下あたりは、ひとつの身体を共有しているんですよね。
きのこの世界って面白い〜!
菌を植えるところから、約1カ月半。
重さを測り、袋詰めされて、ハワイ州内のスーパーなどに出荷されます。
エリンギは、きのこの中でも日持ちするタイプで、冷蔵した状態なら3週間ほどはフレッシュなまま味を損なわないのだとか。
そのため出荷・流通がしやすく、廃棄損も少なくてすむ、利益率の高いきのこなんですね。
エリンギに目をつけたボブさん、頭いいなぁ〜。
根本さんによる、エリンギの調理実演。
「きのこは水洗いしないで、布などで表面をふくだけでOKです」(根本)
水で洗ってしまうと、きのこが水を吸ってしまい、調理した時に味が落ちてしまうのだそうです。
エリンギは、タテに割くように細長く切ることが多いですが...。
「こうして横に厚めに切ると、歯ごたえがいいんですよ」(根本)
ホタテみたいで美味しそう〜! バターとしょうゆで炒めて食べたい。
ハマクア・マッシュルームを使ったパスタの試食もありました。
しょうゆベースのソースがきのこに染みこんで、しみうまでした。
このほか、新鮮なエリンギを薄くタテに切って、沸騰したお湯にさっとくぐらせた後に冷水でしめる「きのこのお刺身」もおすすめだとか。
ハマクア・マッシュルームを使ったいろいろな商品の試食もさせていただきました。
こちらは、タロ芋チップスのマッシュルームパウダーがけ。
ほんのり、きのこの出汁が利いていて、ナチュラルだけどクセになる味。
栽培所にはギフトショップがあります。
(※編集部追記:ギフトショップは閉店しました:2017年6月現在)
先ほどのタロ芋チップス。
レイシ入りのカフェラテ。
ドライきのこのレイもありましたよ〜!
このほか、お茶やジャム、マグカップ、アクセサリーなど、きのこづくしのアイテムがずらりとそろっていました。
栽培所の外から見た景色。高原の空気が気持ちいい〜。
ちなみに...。
ハマクア・マッシュルームの栽培は、基本的に密閉された室内で行われるので、自然環境にはあまり影響されないのだとか。
しかも、必要なスペースも、最小限。そういえば建物内できのこ栽培に使われていたのは、ほんの一部だけでした。
もちろん資材の入手などなど、立地が影響する部分はあるでしょうが...。
「ハワイ島の農作物が美味しいのは、ハワイ島の自然が豊かだから」と、単純に思い込んでいた私は、なんだか衝撃を受けたのでした...(笑)。
※編集部追記:ハマクア・マッシュルームの一般向け栽培所見学ツアーは、2017年6月をもって終了しました。
この記事を書いた人
マローン恵(メグミ)
アロハストリート副編集長。ワイキキ、マノア、モンサラット、マキキを経て現在はカイムキ在住。好きなものは地ビールと地コーヒーと地チョコレート(全部発酵食品!)。ハワイ島取材班としても意欲的に活動中。
Twitterアカウント:@Megumiinhawaii
- この記事をあとでまた
みたい場合は、
マイページにクリップ!