ハワイ最新アートのアンバサダーに聞く!
ローカルアーティストの作品のサポート&プロモーションを目的にした「アート&フリー」の仕掛け人に聞くハワイアートの世界。
公開日:2017.04.03
更新日:2017.06.25
ローカルアーティストやブランドを積極的にサポートし、アートイベント「Art + Flea(アート&フリー)」を企画・運営するアリー・イシクニさん。アート作品を扱うショップ「モリ・バイ・アート&フリー」も経営し、ローカルアーティストから絶大な支持を得る彼女に、アート&フリーが開催されるまでの背景やハワイのアートシーンに関してインタビューしてきました!
Aly Ishikuni Sasaki(アリー・イシクニ・ササキ)
カウアイ島生まれの日系2世。日本での音楽活動の経験もあり、UHではマーケティングを専攻。卒業後はファッション関連の仕事に携わり、ローカルデザイナーをサポートするアートイベント「アート&フリー」を企画。イベント常設店「モリ・バイ・アート&フリー」のオーナーでもある。
●公式サイト:https://www.artandflea.com/home
https://morihawaii.com
編集部(以下、編):アロハ! ハワイのアーティストを集めたマンスリー・アートイベントの創設者であるアリーさんですが、そもそもローカルアーティストをサポートしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
アリー・イシクニ(以下、アリー):昔からファッションや音楽に興味がありました。2002年から日本でミュージシャンとして大手芸能事務所に所属していたのですが、私がやりたい音楽性とのギャップに苦しみ、6年くらい活動してから辞めてハワイへ戻ることに。それから大学に通いながら、ビンテージのムームーをリメイクしたアイテムを作ってオンライン販売するなど、デザイナーとしても活動したり、バイヤー、スタイリストも経験しました。これらのファッションや音楽活動で得た自分のネットワークと知識を活かして、まだまだ知られていないハワイのアーティストたちをより多くの人に知ってもらいたい...と思ったのがきっかけです。
編:ミュージシャンとしても活動されていたんですね。その当時アリーさんはハワイのアートシーンをどのように捉えていたのですか?
アリー:ハワイにはすごくユニークなアート作品があるのに、よくある感じの工芸品ばかりが注目を浴びてばかり。ハイビスカスやホヌ、レインボーだけでなく、もっとおもしろい斬新なアートがハワイには存在するのにどうして伝わらないんだろうと苛立ちを感じていました。
編:そのようなモダンアートとはどこで出会ったのでしょうか?
アリー:おもにホノルルのチャイナタウンですね。アートギャラリーや小さなブティック、ビンテージショップが多く、若いアーティストたちが自然と集まる場所でした。ですが、チャイナタウンのアートカルチャーはあまり大体的にプロモーションされることはなく、その良さがなかなか外に広がらなかったのです。
編:そこからどのようにアート&フリーを開催するに至ったのでしょうか。
アリー:自分で手がけたムームーのリメイクブランドがブレイクしたものの、当時私はまだ学生だったため、学業に専念すべくビジネスを一時休止することにしました。ただ、素材として購入したビンテージドレスが大量に手元に残り、ガレージセールやポップアップショップなどで販売するうちに出会ったのが、アート&フリーの最初の開催地となる、カカアコにあったフレッシュカフェだったんです。
編:開発が進む前からカカアコで営業していたアーティスティックなカフェですね。
アリー:そうなんです。その一角で私たちとほかのビンテージショップ4店くらいでフリーマーケットをしていたのですがそれがクチコミで人気に。これにヒントを得て、2010年にフレッシュカフェでフリーマーケットにフード、音楽を融合させた1回めのアート&フリーを開催しました。約20店舗が集まり、チャイナタウンにあるお店も多数参加。たくさんの人にチャイナタウンのアートとカルチャーの魅力が伝わるイベントが実現できた夢のような瞬間でした。最初は一度きりのイベントと考えていたのですが、好評だったので規模を拡大し、カカアコからワードウェアハウスへ場所を変え、60以上の店舗が集まるイベントへと成長しました。本当にうれしかったですね~。
編:成功の要因は何だったと思われますか?
アリー:クリエイティブなハワイのアート・カルチャーシーンを紹介するユニークなイベントだったからだと思います。大きな団体が同じようなイベントを実施しようとすると、アーティストたちへの理解よりもお金や形式重視のイベントになりがちに。私は自分でイベントをコントロールできたので、縛られるものがなく「このユニークなアートを広めたい!」というパッションに忠実に行動できたからこそ、成功につながったのだと思います。
編:イベント以外にもショップ「モリ・バイ・アート&フリー」をオープンされましたね。
アリー:はい、イベントが成功して次のステップは何だろうと思い、マンスリーだけでなく毎日アート&フリーが楽しめるよう、アーティストたちの作品がいつでも購入できる常設店「モリ・バイ・アート&フリー」を2014年にオープンしました。2016年には同じワードビレッジ内にあるローカルブランドが集まったサウスショア・マーケットへ移転し、現在はそちらで営業しています。
編:ちなみに店名の「モリ」というのは、もしや日本語でしょうか?
アリー:そうなんですよ! アーティストたちのそれぞれのビジネスを木になぞらえ、それらが集まる場として「森」という店名にしました。
編:素敵な意味ですね。その「森」を束ねているアリーさんは母のようですね。
アリー:(笑)。ここにあるアートが私のパッションのすべて、そしてファミリーなんです。だから本当に母のように親身になってアーティストたちの相談にのったり、時にはアドバイスをしたりして、お互い一緒に成長している気がします。
編:ショップではローカルアーティストの作品のみを販売しているのですか?
アリー:そうです。最近はハワイ以外のアーティストからも作品を置けないかという問い合わせが増えてきていますが、あくまでハワイのアーティストのサポートを目的にしているショップなので基本的には取り扱っていません。ただ、ローカルアーティストとコラボレーションした品であれば販売していますよ。ショップでは毎週新商品を入荷し、ワークショップなどアート&フリー以外のイベントも開催しているので、ぜひお立ち寄りください。
編:これからもアリーさんがプロモーションする新イベントや新アーティストとの出会いを楽しみにしています。ありがとうございました!
「ハワイのユニークなクリエイティビティを世界へ伝えていきたい」というパッションで溢れ、イベントやショップが成功してもそこにとどまらず常に次のステップを模索するアリーさん。最近ではアート&フリー以外にも、モーニング・グラス・カフェや非営利団体のヒューメイン・ソサエティーなどと協力して猫の里親探しも兼ねた「猫カフェ」というイベントを開催し大盛況。アリーさんの自由な発想とアートへの強い思いが様々なムーブメントを生み出し、ハワイのアートカルチャーがさらにおもしろくなりそうです。
また、今年初開催となる国際芸術祭「ホノルル・ビエンナーレ2017」の中心的会場となる「The Hub(ザ・ハブ)」(ワードエリアの旧スポーツ・オーソリティ跡地)内にてモリ・バイ・アート&フリーのポップアップショップも展開中(イベントは2017年5月8日まで)。5月6日(土)には、ザ・ハブにてアリーさんが手がけるショーケースも開催予定です。この時期にハワイ旅行される方はぜひお立ち寄りください!
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