アロハ! エリカです。
1997年のオープン以来、ロコや旅行者に愛され続けるフレンチの名店「カフェ・ミロ」は今年の7月でなんと創業20周年!
20年間カフェミロの味を守り続けるオーナーシェフ、小林さん(写真右)にお話を伺いました〜!
20周年を記念してメニューに加わった新コースメニューも特別に試食させていただいたので、そちらも合わせてご紹介します!
「カフェ・ミロ」があるのは、カイムキのワイアラエ・アベニュー。
和のエッセンスをプラスしたフレンチは、お箸で食べてもOKなカジュアルさが人気なんです。
天井が高く開放感のある店内は、アットホームな雰囲気。なんとレストランの壁や棚、フロアなどのインテリアやキッチン周りは小林さん自らが手がけたものなのだそう。
小林シェフ:壁には店名の由来になった画家ジョン・ミロの絵画を飾っています。インテリアは、ヨーロッパやニューヨークのレストランをイメージして作りました。
料理人兼大工さん?と思わず疑ってしまいそうになる高度なインテリアからは、手づくりならではのぬくもりが自然と伝わってきます。
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それでは早速ですが、噂の新コースメニューからご紹介!
〈フルール〉
〜アペタイザー〜
サラダ or 前菜盛り合わせ or 本日のスープ〜アントレ〜
牛フィレステーキ、 リブアイステーキ、 鴨、チキン、魚料理、帆立など
※メニューによっては追加料金あり〜デザート〜
クレームブリュレ or ジェラート or シャーベット価格:$35
新しく加わったフランス語で「花」という意味のコースメニュー、Fleur(フルール)は、少し小さめのアペタイザーにアントレ、デザートが付いてなんと$35!フレンチでこの価格は驚きです…。
【アペタイザー】
「サラダ」、「前菜盛り合わせ」、「本日のスープ」の3種類の中から選べます。
●サラダ
オーガニック野菜をたっぷり使用したサラダは、フレッシュでみずみずしい上に野菜本来の甘みをしっかり感じられます。
小林さん曰く、「野菜を美味しく食べるためのドレッシング」は余計な味付けがなくシンプルで最高!●前菜盛り合わせ
サラダとテリーヌ、生ハムのエッグファルシーが一皿になったプチアペタイザー。にんじん、マッシュルーム、オニオン、トマト、ほうれん草を使用した5層のテリーヌは、濃厚かつクリーミーで赤ワインによく合います。おいしすぎて大切にちょびちょびいただきました(笑)。
●本日のスープ
この日いただいたのは、「マッシュルームのスープ」。テーブルにサーブされた瞬間、ほわぁ〜んと香るマッシュルームがたまりません。
粒々の食感を残したクリーミーなマッシュルームスープは、飲むというより食べるという感じ。・
なんとこの3コースのメニューに、アミューズが一品サービスで出てくるんです!
【アントレ】
ステーキをはじめ、魚やチキン、鴨、ホタテなど、いろんなメイン料理から選べます。
●フィレステーキ
アメリカ産牛フィレ肉を使用したステーキは、ソースがたっぷりかかっていて濃いめなのかと思いきや、赤ワインのさっぱりソースとアンチョビ&生クリームのまろやかなソースが最高のバランスです。それにワサビのピリッとアクセントが効いて、美味!見てください。このうっとりするほど美しい赤身…。柔らかく、噛むごとに赤身の旨さをギュッギュッと感じられます。
【デザート】
「クレームブリュレ」、「ジェラート」、「シャーベット」から選べます。
●クレームブリュレ
表面のパリパリのカラメルと、トロ〜ンと滑らかな濃厚カスタードがやみつきに。バニラビーンズの香りが鼻から抜ける瞬間、幸せ〜!と心の中で叫んじゃうこと間違いなしです。フランス料理をいただくのは10年ぶりくらい久々だったのですが、これまでのフランス料理に比べてとても食べやすい味付けで感動しっぱなしでした。
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こんな心の芯まで満たされるフレンチに出会えたのは初めて。オーナーシェフの小林さんにお話を伺ってみたくなり、特別にインタビューさせていただきました。
profile
カフェ・ミロ
オーナーシェフ 小林茂熊本県出身。日本、フランス、オーストラリアで経験を積んだ後、1997年、カイムキに「カフェ・ミロ」をオープン。フランス料理をベースに和のエッセンスを取り入れたカジュアルフレンチが人気。1999年にはニューヨークのグルメマガジン誌で、「AMERICA’S TOP TABLES」を受賞。
──20周年を迎えられた現在の心境はどうですか?
小林:いろんなことがあった20年ではありましたが、振り返ってみるとあっという間だったなという感じです。ハワイの飲食業界は競争が激しく、多くのお店がオープンしては余儀なく閉店していく中で、これまで続けてこられたのもカフェミロを愛し支え続けてくださった多くのお客様あってのことだと感謝しています。
──20年間で何が一番大変でしたか?
小林:そうですね。やはり9.11の同時多発テロの時ではないでしょうか。その後、追い打ちするかのようにSARS問題もありましたね。その日を境に世の中が変わったという感じでした。アラモアナショッピングセンターはクローズし、ワイキキからは観光客がいなくなり…そんな中、ローカルの人たちも楽しく外食という気にはならないので家から出なくなり、不可抗力ではありましたが店内が閑散とした日が続きました。
──そんな中、辞めようと思ったことはないんですか?
小林:それは思いませんでした。もちろんいつまで暇な日が続くのだろうという不安はありましたが、悪いことと良いことは人生半分ずつ。悪いことの次には必ず良いことが来ると考えていました。考えても仕方ない時は開き直るしかないですからね。
そんな中、どうやって従業員の生活を守ろうかを考えていました。ウエイターはチップ収入が減るわけですし、コックも暇なので労働時間がカットされます。厳しい状況ではありましたが、できる限り給料を補てんし一人もレイオフせず従業員をキープしました。店の奥には、16名まで収容可能な個室も。
──20年もの間、人気を守り続けられた秘訣ってなんだと思いますか?
小林:たまに日本に帰ることもありますが、常に私が店に出ていて、仕入れを自分で行い食材の見極めをしているからでしょうか。やはり人任せにしてしまうと味も少しずつ変わってきますし、仕事の行程も楽なほうに手抜きをしてしまうようになりますからね。また、食材の善し悪しが直接味に響いてきますから、仕入れにはとくに神経を使い、より良いものを仕入れられるように走り回っています。そして、私の顔を見に来られるお客様もいらっしゃいますので、その期待を裏切らないためにも常に店に出るようにしています。
店内には店名の由来となったスペインの画家、ジョン・ミロの本や絵画がディスプレイされている。
──料理人として最も大切にされていることは何ですか?
小林:料理を口に運んだときに、思わず顔がほころぶような料理を作り続けることでしょうか。私は料理人であり経営者でもありますので、いかにお客様に満足していただけるかが大切だと思っています。そのためにはスタッフ全員が料理のプロ、サービスのプロ意識を持って働かないといけません。難しいことですが、そういうプロ意識を持ったスタッフを育てることも大切な私の仕事です。食事が終わり、ドアを開けて帰られるときに「おいしかったね。次いつ来る?」と、またすぐに来たくなるような料理、サービスを提供しなければと考えています。
──新しい料理の発想や盛りつけのアイデアはどこから生まれますか?
小林:基本的に今まで学んできた料理、テクニックをベースにアレンジして作っているのですが、常に本を呼んだりインターネットで調べたりもしています。クックパットとか(笑)。某テレビ番組で紹介されている、食材の新しい使い方や栄養学的観点から見た食材の組み合わせなども参考にしています。例えば、ホウレン草とゴマの組み合わせは栄養学的には良くないなんて目から鱗ですよね。料理人は生涯勉強です。
盛りつけに関しては、最近の料理は味より飾りつけに重視した傾向がありますが、冷たいものは冷たいうちに、熱いものは熱いうちに提供できるように、あまり細かい飾りつけや盛りつけはしないようにしています。──今回の$35のコースメニューを作ろうと思ったきっかけは何ですか?
小林:オープンしてから家賃や食材費、人件費が上がると同時に、少しずつメニューも値上げをしてきました。20周年を迎え、初心に戻って何かできないかと考えたとき、メニューをオープン当初の値段になるべく近づけて提供しようと思ったんです。フランス料理は値段も敷居も高いと思われている方も多いかと思いますが、そんな方でも気軽にフランス料理を楽しんでいただけるきっかけになればと思います。
──最後にアロハストリートの読者へメッセージをお願いします。
小林:初めに申し上げたことと重複しますが、20周年を迎えられたのも「カフェ・ミロ」を愛してくださったお客様のおかげです。心から感謝し御礼申し上げます。
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・──「これからも愛される店づくりに努めます」と熱い想いを語ってくださった小林さん、本日はありがとうございました!
この日も、いくつかのテーブルに記念日を祝う「Happy Anniversary」のカードが置かれていました。こうして10年後も20年後もまた誰かの思い出が詰まった場所になっていくんだろうなぁ…。
前回のインタビュー記事はこちら
※カフェ・ミロは閉店しました(2019年10月現在)
- この記事をあとでまた
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