ハワイ「カワイイ・コン」出演 Taku Takahashiさん - アニメ好きはインフルエンサー。文化が交差する未来へ
ハワイのアニメコンベンション「カワイイ・コン」に出演のTaku Takahashiさんにお話をお聞きしました。日本カルチャーの海外輸出は、アニメを通じて加速する!
公開日:2017.12.27
更新日:2018.01.17
アロハ! メグミです。
みなさーん、ついに、「m-flo」が復活しますね!
DJ TakuとMC VERBALのコラボは今年初夏頃に発表されていましたが、12月に入り、さらにヴォーカルのLISAが加わることが公表され、15年ぶりのオリジナルメンバーでの活動再開となります。
12月31日の大阪USJでのカウントダウンイベントにて、復活パフォーマンスが披露されるとあり、ファンの間では話題騒然となっています。
いいなあ、大阪の人…。
あの、まさか、いないとは思いますが、万が一、「m-flo、って、なに?」という方がいたら、Youtubeなどで検索してみてください。
必ずどこかで一度は彼らの音楽を聴いたことがあるはず。こちらがm-floの3人。m-floは「エム・フロウ」と読みます。
3人それぞれのソロでの活動も華々しいので、歌番組からクラブでのプレイ、アニメやゲームの主題歌などなど、いろんなところで3人の活動を目にすることも多かったのですよ。
で、この計ったようなタイミングでアレなのですが、じつは私、m-floの主要人物にしてトラックメーカーであるTaku Takahashiさんに、お会いしているのです。
今年の4月9日、ハワイ・コンベンション・センターで開催された「Kawaii Kon(カワイイ・コン)」というイベントの会場で…。Kawaii Konとは、アニメやゲーム、マンガといったJカルチャーのファン・コンベンションで、コスプレをした人たちが集まったり、企業や個人のブースが出店したり、特別上映的なものがあったり…というイベント。
似たものだとComic-Con(コミコン)が有名で、全米でムーブメントと化していますが、ハワイではこのKawaii Konが数年前から始まり、年々その規模を拡大しています。
このKawaii Konに、TakuさんがDJとして出演する、と。
さらにブースも出しているらしい…?ということで、リツコ編集長とともにイベント会場に行ってきたんです。
わ、わ、本当にいらっしゃいました、Takuさん!
本物だぁ〜。イベント中のお忙しい中、少しだけお話するお時間をいただくことができました。
海の自然と、整備された便利さ。それがハワイの魅力。
──Takuさん、アロハ! ハワイにいらっしゃるのは今回で何度目ですか?
Taku:たぶん10回以上ですね。年に1回はプライベートで来てますよ。
──ハワイお好きなんですね。イメージになかったので、ちょっと驚きました(笑)。
Taku:ハワイ大好きですよ。そうだな、シャカとかをするイメージはないですけど。
──いつもハワイではどんなことを?
Taku:わりと、ゆっくり過ごすことが多いですね。マリンスポーツが好きなので、ボートクルーズでサンドバーに行ったり、シュノーケルしたり。
あとはカハラホテルでドルフィンを見たり、アウラニに行ったりとか。
──アウラニ・ディズニー・リゾートですか!?
Taku:そういうイメージないかもしれないですけど(笑)。
僕の中では、ハワイ…とくにオアフ島は、海の自然の豊かさと、設備がしっかり整っている面が強みだと思っていて。
アイランドリゾートはどこも自然が最高なんだけれど、滞在している間のちょっとした不便さとか不快さみたいなものを感じることがあって。でもハワイではそういうことが一切ない。
ショッピングセンターや公共の設備が整っているのも、ハワイの大きな魅力ですよね。そういう意味で、とっても過ごしやすい。時々ばったり友だちに会っちゃったりしますけどね(笑)。
ハワイのコスプレイヤーは「薄着め」が、らしさ。
──日本やアメリカで各地のComic-Conに参加されていますが、ハワイのKawaii Konは今回が初めてなんですよね?
Taku:そうですね。このブース会場も大きいし、昨日の夜にDJをしたオーディトリアムもすごく広くてびっくりしました。
──DJをされてみて、どうでしたか?
Taku:夜10時からという早めのスタートだったんですけど、始めてすぐに会場が人でパンパンになってました。
──ハワイだと夜10時はけっこう深夜ですからね(笑)。
Taku:びっくりしたのは、アニメコンベンションなのに、m-floの曲をかけるとみんなすごく乗ってくれて。意外というか、うれしかったです。
──昨日のステージに限らず、ハワイのKawaii Konの印象はどうでしょうか? 各地のアニメコンベンションを回っているTakuさんから見ると。
Taku:そうですね、まず、ハワイはコスプレイヤーより私服の人が多いですね。アメリカ本土ではがっちりコスプレしている人が多いんだけど、ハワイはわりとカジュアルというか。暑いからかな?
──たしかに(笑)。暑いから着込めないのかもしれませんね。全身ガッチリというより、かぶりものだけとか、一部だけ取り入れている人が多いかもしれません。
Taku:さっきはディズニーキャラがいたりして、「あれ?」って。
各都市を回ってみると、その土地ごとのカルチャーの違いっていうのがけっこうあって、それが一番わかりやすいのが「どんなコスプレをしているか」。
最新の話題作のコスプレをしている人が多くて情報感度が高いなっていう場所もあれば、レガシーコンテンツをずっと好きでいてくれてるファンが多いんだなっていう場所もある。
そういう意味でいうと、ハワイは、「薄着」。初めてのタイプです。
──面白いですね。気合が入り切らない感じも、ハワイらしいと言うか。でも、このイベント期間中は、コスプレしたまま団体でカラカウア通りを歩いたりしていて、びっくりしますけどね。
Taku:さっきアラモアナセンターで「進撃の巨人」の調査兵団の格好の人たちを見ましたよ。日本だとイベント会場の外では私服に着替える人が多いんだけど、アメリカではみんなコスプレのまま街中で堂々と歩いてますよね。ハロウィンパーティみたいに。
アメリカのアニメ好きは、インフルエンサーでもある。
──そもそも、Takuさんが各地のコンベンションを回るようになったきっかけは、何だったんですか?
Taku:僕自身がアニメが好きなのもあるんですが、アニメのサウンドトラックもいくつか手がけさせてもらっていて。とくにGAINAX製作の「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」という作品は、その後にスタッフが独立し「トリガー」という新しい会社を立ち上げ、日本ではカルト的な人気があるんですが、アメリカでもヒットしているんですよ。
あとボンズ製作の「スペース☆ダンディ」でも音楽をやらせてもらったり、m-floの初期の楽曲がビートマニアというゲームに使われていたり。そういったアニメやゲーム関連のつながりがけっこうあるんですね。それでコンベンションにも呼ばれるようになりました。
コンベンションに行くようになって実感したのは、アメリカのアニメ好きの人たちって、アニメだけじゃなくて日本の音楽やファッション、アート、食べ物や文化など、日本のいろんなことに興味を持ってくれているってこと。だから日本のアニメって、日本のカルチャーを海外に広げる、ものすごい広がりと可能性を持っているんですよ。
──なるほど…。アニメって、映像、音楽、ファッション、食べ物や生活習慣などカルチャー全般を含んでいますもんね。
Taku:あと、アメリカのアニメ好きはインフルエンサーでもあるんです。
たとえばiTunesで宇多田ヒカルさんの「光」のリミックス「光-Ray of Hope MIX-」が今年始めに全米1位、9カ国で1位になっているんですが、このリミックスはPUNPEEが手がけています。PUNPEEをチェックしているのは、アニメコンベンションに来る人たちが多いんですよ。
だから僕は、iTunesの順位に影響を与えているのはアニメ好きやコンベンションに来るような人たちなんじゃないかっていう風に見ています。
──それ、すごくわかります。アニメやゲーム、音楽、ファッション、テクノロジーって、すべてクロスオーバーしていますよね。
Taku:そうなんですよ。最近かっこいい音楽を聴いているのはアニメ好きが多い。親和性があるんですね。
──じつは私、普段からblock fmを愛聴しているんですが、block fmを聴いているとその親和性の良さがすごくよくわかります。
知らない方のために説明すると、block fmはアプリをダウンロードして聴くインターネットラジオで、主にエレクトロダンスミュージックが中心ですが、いろんな番組があってかなり面白い。いま話題のモーリー・ロバートソンさんがDJしながら話したりする番組もあるし、Takuさんの番組もあります。そしてこのラジオ局自体を、Takuさんが主宰されています。
Taku:お詳しい(笑)。
日本のクリエイターを、英語で輸出する。
──今回のKawaii Konにも出展している「OTAQUEST(ヲタクエスト)」についてもお聞きしたいのですが。
Taku:はい。これは、「サムライチャンプルー」「交響詩篇エウレカセブン」などのアニメ作品の脚本を手がけている佐藤大さんとスタートしたウエブメディアです。
日本のアニメやポップカルチャーの情報は、海外ではリリースが中心で、取材記事ってほとんどないんですね。たとえばアニメ自体は海外でもすごく人気があるのに、その監督の取材インタビューは、ほとんどない。
そういった情報をちゃんと出して、日本のクリエイターたちをアメリカにつなげていくことを目的としたメディアです。だから、英語だけ、日本語は一切なしで書かれています。
──あの、意外なんですが、日本のクリエイターのインタビューって、アメリカのメディアには出ないものなんですか?
Taku:ほとんどないですよ。たとえばNHKで放送したインタビューを誰かがYoutubeにアップして、それをアメリカのメディアが使うっていうことはありますけど、ちゃんと独自に取材した記事っていうのは少ないし、そもそも取材することが難しいんだと思います。
実際、日本に住む僕らが海外のアーティストを取材しようと思ったら、不可能ではないですが、チャンスは限られますよね。そもそも、誰に連絡したらいいのかわからないし、言葉の壁もある。
そこを、僕や佐藤大さんがサポートしようと。
──監督や脚本家、声優、ミュージシャン、イラストレーターなど、日本のクリエイターを、英語で紹介していく、と。
Taku:そうですね。あと、食べ物とかも出しますよ。
──え? 食べ物ですか?
Taku:そうそう。アニメって、よく食べ物が出てくるんですけど、海外の人から見たら「なんだそれ?」っていう食べ物も多いと思うんですよ。たいやきとか、「魚の形しているそれはなんだ? どういう味がするんだ?」って。
ハワイでは日本食が浸透しているから、ハワイのアニメ好きの人たちには、そういう心配は少なそうですけど。
──たしかに(笑)。そうやって、アニメを通じて、自然といろんな方向に興味が広がっていく人、これからどんどん増えていくでしょうね。日本でも、海外でも。さまざまな国のカルチャーがクロスオーバーしていくのが楽しみです。今日はどうもありがとうございました!
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おだやかな物ごしで、やわらかい口調でアレコレ教えてくださり、「こんなに答えてくれるんだ!」と、内心おどろきつつも、とっても刺激的で楽しい取材でした。
日本を代表するトラックメーカーであり、音楽プロデューサーであり、トップDJであり、インターネットラジオの主宰者であり、さらに英語メディアも…なんて、カラダと脳みそが何個あるんだ、この人!?という感じですよね。超人です。
そして、メディア運営に関わっている私としては、海外とのクロスオーバーや、英語メディアの可能性についても考えさせられた時間でした。
最後にちゃっかりツーショットも撮っていただきました。公私混同、すみません!(笑)
「いまは、インターネットでいろんな場所とつながれるのが強い。ひとつの形にこだわらず、みんなと一緒に楽しみながら、体験を共有しながら、日本もアメリカも楽しく攻めていきたい」
というTakuさん。
年末はm-floが復活ステージに立ち、来年は3人での新曲もリリースされる予定だそうで、これからも目が離せそうにありません。そして個人的にはblock fmがオススメなので、ラジオ好き、音楽好きの方はぜひアプリをダウンロードしてみてくださいね!
photo by 平田和輝
この記事を書いた人
マローン恵(メグミ)
アロハストリート副編集長。ワイキキ、マノア、モンサラット、マキキを経て現在はカイムキ在住。好きなものは地ビールと地コーヒーと地チョコレート(全部発酵食品!)。ハワイ島取材班としても意欲的に活動中。
Twitterアカウント:@Megumiinhawaii
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