※この記事は2018年1月9日に公開されたものです
ハワイで唯一の地元産焼酎「波花」は、二人の日本人夫婦が作っています。
生産量は年間6000本。
春と秋に3000本ずつ出荷し、毎回発売から約3カ月で売り切れに。その人気の秘訣を探ります!
・ポイント:波花をより深く知るために、まずはこちら(↓)を読んでから今回の記事にお進みください
●ハワイ初の焼酎がノースショアで誕生!(2013年)
●ハワイの焼酎「波花」待望の2作目が登場!(2014年)・
ハワイの自然が生み出す焼酎の味わい
波花はハワイ産のサツマイモを使い、日本の伝統的な製法で作られる芋焼酎。使用する芋の品種や産地、ブレンドを毎回変え、年2回出荷しています。約9年の準備期間に土地の開墾から蒸留所の設営まですべて夫婦二人で行い、2013年に初回の波花を発売。現在は10作めを製造中です。ワインが同じブランドでも毎年できが異なるように、この芋焼酎も素材や気候の状態により毎回違う味わいが楽しめます。
※現在は11作めを製造中です(2019年1月6日現在)
平田憲:「ハワイのいろいろな島の農家から“うちの芋を使わないか”って問い合わせがあるんですよ。サンプルを送ってもらって、じゃあ今回はこれでって。9作め(2017年秋出荷/完売)はカウアイ島の紫芋を30~40%使ったので“Kauai Brend(カウアイブレンド)”と呼んでいます。この焼酎はクオリティが高いですよ。まるみがあって、やわらかい味わい。」
波花は、9作めなら「9番」のように新作ごとに番号が付けられています。また、その時の焼酎の特徴を表すニックネームも。
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焼酎蔵の敷地内にある畑。ここで収穫されたサツマイモは7番の「The Backyard(裏庭)」に使用されました。
・平田憲:「大手と違って研究室とか機械があるわけじゃないですし、味を確かめるのは自分の舌と勘が頼りです。あとはハワイ任せというか。もちろん調整はしますけど、どちらかというとハワイの気候風土に作ってもらっている感じですね。自分たちは、いかに自然の力を邪魔しない環境を作れるか、どれだけ人の手を加えずに作れるのかを大事にしています。」
ハワイの土地でできた芋を使い、ここの水と気候で生まれる焼酎。波花の美味しさには、その時々の風や気温、湿度など、自然の「目に見えない要素」が欠かせないと言います。その時にしかない味わいが生まれるから、ハワイ旅行の度に購入し思い出とともに持ち帰る日本からのリピーターが多いのも納得。
鹿児島の師匠から譲り受け、日本から運び込んだかめ壺。100年以上前から受け継がれているものです。現在仕込み中の2018年春に出荷する10番。
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平田憲:「日本でもこんなかめ壺で少量生産しているところはそうそうないですよ(笑)。ぼくたちの焼酎は大手ができない昔ながらの手作りの味わいです。その分価格も全然違いますし。大手とぼくらで、お互いにしかできないことがあるので、これでいいと思ってます。1回につき3000本が自分たち夫婦だけで精一杯やれて、クオリティにもこだわれる量。やろうと思えばもっとできるけど、これ以上負担が増えると離婚の危機になるかもしれないんで、やめておきます(笑)。」
焼酎は1本ずつていねいな手作業で瓶詰め。作業中は息がぴったりで和やかな雰囲気のなか、3000本分が完成していきます。自然光に照らされ輝く作りたての焼酎。
瓶詰めの後はラベル貼りまで手作業で行い、ようやく出荷に。
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・さらに希少な原酒「バンザイストロング」
「波花」のほか、年末に300〜400本限定で販売する原酒の「BANZAI STRENGTH(バンザイストロング)」が2015年にスタートし、2017年末で3作めが完成。こちらも毎回発売すぐに売り切れとなる人気商品です。
左からバンザイストロング2015(1作め)、バンザイストロング2016(2作め)、波花8番
・バンザイストロングは、樽出原酒。波花のように食中酒の焼酎はアルコール度数を一定にするために水で薄めて作る一方、原酒は何も加えずそのままの状態で完成となります。そのためアルコール度数も毎回異なり、高いもので47度の時も(バンザイストロング2016/2作め)。日本で焼酎を名乗るには45度以下と定められているので、47度はハワイ生まれのバンザイストロングならでは。
平田憲:「バンザイストロングにはぼくらの遊び心が詰まっています。毎年熟成方法を工夫し、それぞれ新しい個性的な味を目指しているんですよ。2016年の2作めはパイナップルを発酵させて作り、ほんのりフルーティな後味になりました。2017年の3作めは、北海道のミズナラの木をハワイのキワヴェで焼いて、熟成させた芋焼酎。スモーキーな木の香りがちょっとウイスキーっぽいですね。」
バンザイストロング2017(3作め)
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「パッケージもこだわって毎回変えています。3作めは版画アーティストのスティーブン・キーンさんにお願いしたんですよ。たまたま彼の版画を見て、かっこいいなと思って。連絡したら、ここに焼酎を買いに行ったことがあるって言ってくれてうれしかったですね。このパッケージになった版画は、ノースショアのバンザイ・パイプラインなんです。ぴったりでしょう?」
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・ハワイで繋がり、広がる日本ならではの焼酎
焼酎作りの魅力を聞くと、「完成した焼酎を飲めること」と笑う憲さん。
平田憲:「焼酎って南のお酒でしょう? 作り方がおおらかなんですよ。北国の日本酒は、ほんのちょっとしたことが質を大きく左右するから、寒い中でも厳しく作業するようなイメージですけど、焼酎はどちらかというとニコニコ楽しくやる感じ。ハワイは焼酎作りに向いてますね。」
平田夫妻が作る唯一無二の焼酎はあっという間にハワイで浸透しました。比較的高額にもかかわらず、その価値はロコにも伝わり、ノースショアの焼酎蔵にはたくさんの人たちが訪れています。
平田憲:「この土地のもので作っているので、地元の人たちとの繋がりができます。またそこからいろんなものが生まれるのが面白い。ぼくたちにとってハワイでの焼酎作りは、ローカリズムの象徴のようなものですね。」
日本ならではの技術で生まれる「波花」と「バンザイストロング」。進化を続けるハワイ産のプレミアムな焼酎に今後も期待が高まります!
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・※出荷情報などの詳細はブログで確認を
【ブログ】kaloimo.exblog.jp
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※訪問は事前予約が必要です。メールでお問い合わせください
【メール】kaloimo@gmail.com
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