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アロハ! ヨリエです。
アラモアナからほど近い場所にあるカカアコ地区。つい数年前までは倉庫が並ぶ殺風景なエリアでしたが、現在はハワイにこれまでなかったアーティスティックな街に変貌を遂げています。
新しいお店が続々とオープンし、常に注目されていますよね。
カカアコの都市計画を実行する主な団体は、ハワイ州政府が管轄する法人団体の「ハワイ・コミュニティ・ディベロップメント・オーソリティー(HCDA)」と、カメハメハスクール財団。コンドミニアムや商業施設の建設を含む、約15年をかけたマスタープランを掲げ、大規模な都市開発プロジェクト「Our Kakaako(アウア・カカアコ)」を進行中です。
大きなチカラによりカカアコが新たな都市として完成に近づいているわけですが、
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一方で。・
ニュースとして表現されることはないけれど、やっぱり面白いな、と感じるのが、カカアコ特有のアーティスティックな雰囲気が自然にできあがってきている、ということ。カカアコを象徴する数々のウォールアート、それを仕掛けるアーティストたちの創作活動の場、独創的なビジョンを持つ個性的な小売店や飲食店…… 「カカアコらしさ」に欠かせないこれらの要素は、大きな組織の下で人工的に集められたものではありません。それぞれが引き寄せ合うかのように自然と集まり、結果的にカカアコらしい、洗練された雰囲気を生み出しています。
都市開発という壮大なプロジェクトと、アーティストやビジネスオーナーたちの情熱がブレンドするように街を形成し、消費者との相乗効果でさらに盛り上がりを増していく。
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街って、こういう風につくられていくのか、と。・
たとえば企業にも共通していますよね。企業理念があって、それを形にする資金があって。それとは別に、社員ひとりひとりが集まることで企業のカラーができていくように。社員は企業理念に共感しつつも、ひとりひとりの個性や目指すものはそれぞれ異なります。企業という大きな組織と、引き寄せ合うかのように集まる社員がいて、それらがブレンドした結果、その企業らしさが生まれる。たくさんの人の思いが交差しながら自然にできあがる、ひとつの「らしさ」が、唯一無二で、面白いです。
ほんの数年前に「アウア・カカアコ」がスタートするというニュースを見たときには、遠い未来の夢話、のように感じたのに。その未来の都市が、いま目の前でどんどんできています。あと数年経てば、倉庫街だったカカアコは遠い昔話になるのですよね。新たな時代の1ページがめくられる、この瞬間のカカアコは、せっかくだからしっかりと肌で感じておきたいなって、思うんです。別に何のためにでもないけれど(笑)。
いろいろなエネルギーが渦巻く生まれたての街は、歩いているだけでいい刺激を受けます。行き交う若者、感度の高い店構え、街の景観、そこで暮らす人の生活風景、すべてが織りなす空気感が、たまらない!
そんな、いま気になるカカアコという街を3つのテーマで記事にしてみたいと思います。
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・・● 都市開発プロジェクトの全貌
・・● ウォールアートの仕掛け人たち
・・● カカアコ周辺のお店・
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まずはひとつめ。今回は、都市開発を行うカメハメハスクール財団のスポークスマンに聞いた、プロジェクトの詳細について!
住宅、お店、小学校、駅も……!?
都市開発プロジェクトの全貌を聞く
▲聞いたのはこの方。カメハメハスクール財団のコミュニケーション・マネージャー、アーロン・ドート氏
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カカアコの開発はどのくらい終了し、これからどうなる?
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────カカアコ都市開発プロジェクト「Our Kakaako(アウア・カカアコ)」のコンセプトを教えてください。街づくりのテーマは、「職住近接型アーバンプレース」です。約15年のマスタープランで、9街区にわたり、住宅と商業施設、コミュニティスペースを設け、これまで誰も見たことのないような新しいハワイの都市を開発します。
▲インフォメーション・センターにて。レゴで作られた街の完成予想模型・
────約15年の計画ということですが、現在はどの段階なのでしょうか?2008年にスタートし、現在は敷地面積でいうと、55%はできあがっています。最終的な終了時期は景気にもよりますが、フェイズ1とフェイズ2の2段階あり、フェイズ1は大体終了に近いですね。
アウア・カカアコの初期のプロジェクトとしては、アフォーダブル・コンドミニアムの「Six Eighty(シックスエイティ)※」の建設や、それから複合商業施設の「SALT(ソルト)」がオープンし、すでに92%はテナントが入居済みです。
※アラモアナ通り沿い、ラニカイ・ジュースやスターバックスがある建物
▲アウア・カカアコのホームページより。A〜Iが開発中の9街区・
────SALTは私もよく行きます。飲食店もリテールショップも都会的で洗練された印象だけど、ほどよくローカルブランドを取り入れているところが好きです。SALT全体のブランディングとして入居する際の厳しい条件などはあるのでしょうか?
▲SALT、アウアヒ通り側。シェア自転車「biki」のステーションが目の前にあります・
最低限のレギュレーションはありますが、たとえばレストランではローカル食材を使わなくちゃいけない、とか、そういったルールはありません。SALTは、いろいろな文化が混在するハワイらしく、いろいろなお店がバランスよくミックスしていることを大事にしています。リテールより飲食店が多いのは、コミュニティの需要に応えるため。カフェが増えてきましたが、同じカフェでもナショナルブランドのスターバックスもあれば、ローカルのナイン・バー・ホノルル、モーニングブリュー、アーヴォもあります。それぞれのマーケットが異なるので、どのお店もバランスよく賑わっていますよね。・
────たしかに。SALTのなかには子ども連れのファミリーや20代のグループなど、さまざま見かけますが、お店によって集まる人たちの特徴がわりとはっきり分かれていますね。SALTの周辺も、これからもっとお店が充実していきますよ。最近はキアヴェ・ストリートにお惣菜やお弁当のお店「Oh! Sozai by KuruKuru(オー!ソウザイ・バイ・クルクル)」ができて、もうすぐオーガニックスーパーの「Down to Earth(ダウン・トゥ・アース)」も同じキアヴェ・ストリート沿いの1ブロック山側にオープンします。ダウン・トゥ・アースもフェイズ1の一部。
フェイズ2では、現在オフィスマックスがある辺りが再開発で住宅と商業施設になる予定です。アウア・カカアコで建設されるコンドミニアムはラグジュアリーなものと、低所得〜中間所得の層ためのアフォーダブルなものの、両方が混在しています。さまざまなバックグラウンドの人たちがミックスしたコミュニティを目指しているんです。
ターゲットの年齢層は25〜45歳。カカアコは若いエネルギーがあふれる街になります。
アウア・カカアコの9街区内ではありませんが、隣接する場所に小学校が作られる予定もありますよ。
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・未来の小学校は、住居ビルの中にできるかもしれない。
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────カカアコに新しい小学校が? 詳しく教えてください。ポフカイナ・ストリートに2棟の建物からなる小学校の建設が計画されています。ハワイ州で初となる階層構造の小学校です。1〜4階が小学校、ほかが住宅(アフォーダブル・レンタルユニット)になるんですよ。
- 州初の近未来的学校、完成予想図が明らかに(参考:ハワイ・ニュース・ナウ)
- ハワイ州教育省が、ハワイ州初の階層構造となる公立小学校建設の初期計画を発表しました(完成予想図は見出しをクリック)。建設費約4000万ドルが投じられる見込みで、住宅と合体し2棟建設予定。1〜4階が学校、それ以外は住居の新しい構造です。場所は「Mother Waldron Park(マザー・ワルドロン・パーク)」に隣接する、690 Pohukaina St.。
全校生徒数約750人、キンダーガーテンから6年生までが在籍となります。
2019年着工予定。
────学校と住宅が同じ敷地に……面白い。
その小学校の目の前には、「ホノルルレールトランジット(高架鉄道プロジェクト)」の駅が作られる予定です。
アクセス便利なことは都市づくりに必須ですよね。
車でカカアコに来る際は、SALTの駐車場に停めれば、アウア・カカアコの9街区内どこでもバリデーション(駐車料金割引)がもらえるようになります。サンフランシスコなどの都市ではすでにこのようなシステムが導入されていますが、ハワイ州では初の試みです。このエリアには、暮らしに必要なすべてが徒歩圏内にそろうイメージです。
たくさんの人が集まるコミュニティエリアの開発にも力を入れていて、新しいリテールスペースも建設される予定です。
アウアヒ・ストリートとクック・ストリートの角には、シアトルのパイク・プレイス・マーケットや、ニューヨークのチェルシーマーケットにインスパイアされたマーケットを作る構想もあります。
まずは、ローカルの人たちの暮らしやすさが大一優先。地域が活性化することで、旅行者にもより喜んで来てもらえる街に発展させたい、と考えています。
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ちなみにこの写真の右側にある空地が、小学校の建設予定地(もっと右に行くと公園があります)。SALTの1ブロック山側、ダウン・トゥ・アースの向かいになります。この場所でたくさんの家族が暮らし、子どもたちが元気に走り回る姿を見られるまであと数年。きっとあっという間に過ぎるだろう、たった数年ですが、これから生まれる子どもがその新しい学校に通うこともあるかもしれないですよね。いまこの瞬間にもつくられているカカアコの未来。変化する勢いと、まだ目に見えない可能性があふれています!
プロジェクトが完了する頃、自分はどんな風になっているのでしょう……同じように訪れて、いまを振り返ってみたいです。街とともに成長できているといいな。
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この記事を書いた人
渡辺愛恵(ヨリエ)
秋田県出身、ボルチモア経由のハワイ在住10年め。キャンプと朝とコーヒーが好き。
アロハストリートのインスタグラムに(ヨリエ)でポストしています:@alohastreetcom_hawaii
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