メレ（うた）を旅するハワイ
第九回：ハワイ島マウナケア

メレ(mele)とはハワイの歌のこと。
古来よりハワイの人々は、愛し大切にする土地・場所を歌にしてたたえてきました。その文化は今も受け継がれていて、特定の場所をたたえる新しいハワイ語の歌が今も日々生まれています。
ハワイ語の歌に、ハワイのどんな景色が描かれているのでしょうか？
毎月メレに歌われるハワイの場所を訪れて、そこで見る景色をご紹介しています。

第9回となる今回の訪問先は、ハワイ島マウナケアです。

ハワイ島の中で、もっとも多くのハワイアン・ソングに歌われている地名は何だと思いますか？
「たくさんのメレから集めた言葉たち」シリーズ3冊300曲分のデータを元にトップ3を割り出したら、結果はこのようになりました。
1位　ヒロ
2位　マウナケア
3位　プナ

3位の場所はこのコラムですでに訪れたので、今回は2位のマウナケアです。
マウナケアってどこにあるの？というあなたは地図を確認ください。

「マウナケア Mauna Kea」はハワイ島にあるハワイ最高峰。4,200メートル級の山の頂上には雪も積もります。山の名前の由来はこうです。

Mauna（山） Kea（白）＝「白い（雪の）山」
あるいは
Mauna（山）a Wākea（空の父神ワケア）＝「ワケア神の山」

こちらは先月のマウナケア積雪のニュース。

「Poliʻahu at work.」
投稿は「ポリアフ降臨」を伝えています。
ポリアフって？
ハワイの神話には、キラウエア火山の山頂に住む火の女神「ペレ」と対象的な存在、雪の女神「ポリアフ」のことが伝えらています。ポリアフは、ペレの山の北にある巨大な山マウナケアの山頂に祀られています。

マウナケアの雪の女神ポリアフを歌うハワイアン・ソングがあります。

E ʻike i ka nani a ʻo Poliʻahu
Ka wahine i ke anu
I ke kēhau ʻo Mauna Kea
見てごらん、ポリアフの美しさ
女神は寒さの中に
マウナケアのしずくの中に

[E ʻIke I Ka Nani A ʻO Poliʻahu]

冬の間、山頂は極寒です。雪に覆われた神聖な山を、麓から眺め崇めましょう。
この大きな島の東からも西からも、北からも南からも、マウナケアの姿が見えます。そしてその姿がメレに歌われています。島のあちこちから、マウナケアを見上げ崇めるメレを聴いてみましょう。マウナケアがハワイ島民のシンボルであるということに改めて気付かされます。裾野のあらゆる集落から、町から、人々がマウナケアを眺める。それは信仰心にも近い。ハワイの歌が、そこに歌われた自然が、どうしようもなく愛おしくなってしまうのは、私達日本人の中にもある「山を崇める心」の琴線に触れるからなのかもしれません。

Kaulana ʻo Hilo Hanakahi
Kuahiwi nani ʻo Mauna kea
Kuahiwi kau e ka ʻohu
ʻOhuʻohu puakea ʻili
名高いハナカヒ王のヒロ
美しい山、マウナ・ケア
霧をまとう山
山肌は白く飾られて

[Kaulana ʻo Hilo Hanakahi]

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http://www.yoshimidaisuke.com/pages/1040076/page_201706020051