よしみだいすけのフラナビ・コラム:メレ(うた)を旅するハワイ
よしみだいすけさんが綴るコラム第15弾。ハワイの人たちの誇りを象徴するシンボルとなったホクレア号を歌うメレをご紹介。
公開日:2019.06.10
更新日:2020.01.16
メレ(うた)を旅するハワイ
第十五回:ホクレアメレ(mele)とはハワイの歌のこと。
古来よりハワイの人々は、愛し大切にする土地・場所を歌にしてたたえてきました。その文化は今も受け継がれていて、特定の場所をたたえる新しいハワイ語の歌が今も日々生まれています。ハワイ語の歌に、ハワイのどんな景色が描かれているのでしょうか?毎月メレに歌われるハワイの場所を訪れて、そこで見る景色をご紹介しています。
第15回となる今回の訪問先は、ホクレア Hōkūleʻaです。
ホクレアは星の名前。うしかい座の一等星アークトゥルス(またはアルクトゥルス)星のこと。ハワイの天頂星で、古代ポリネシア人がタヒチからハワイへの航海で目印にした星。ハワイ語の意味は「喜びの星」(ホク=星、レア=喜び)。
星の「ホクレア」が『Star of Gladness』という曲に歌われています。Lift your bow
Your hull glides through the sea
Guide Hokule'a
Lord we ask you please
In this we pray
Lord to show us the way
Ah Hokule’a
Star of Gladness
舳先を上げて
船体が海を滑走する
導いてホクレア
我らは祈る
道を示してくれるよう
あー、ホクレア
喜びの星「ホクレア」はハワイの天頂星にちなんで名付けられたカヌーの名前でもあります。そのホクレア号を歌うのが『Kaulana Ka Inoa ʻO Hōkūleʻa』。
kaulana ka inoa ē, Hōkūleʻa ē
Ka waʻa kaulua ē, no Hawaiʻi ē
Ākea ka moana o ka Pākīpika ē
Lei e nā moku ē, auē ē, Hōkūleʻa ē
その名も高きホクレアよ
ハワイの双胴カヌーよ
太平洋の大海原に
島々のレイを紡ぐ
この星の名前を冠した復元伝統航海カヌー「ホクレア号」が建造され、伝説にうたわれたハワイ人祖先の旅を逆にたどって帰るタヒチへの航海を成功させたのは1976年。
ハワイ人の誇りを象徴するシンボルとなったホクレア号は、以後40年の間にポリネシア各地への航海を成功させ、ついには地球一周航海を3年かけて行い2017年にハワイに帰還しました。
この航海プロジェクト『Mālama Honua』は各方面に大きな影響を与えました。この航海プロジェクトから新たなホクレア・ソングが生まれ、この曲を踊った男性フラ・グループがメリーモナーク2018総合優勝に輝いたのもそのひとつ。
星と海流と風を頼りに、カヌーで海を渡るとはどんなことなのか。モアナを地で行く若き次世代ハワイアン伝統航海師たちが、ホクレア号を繰って世界の先住民族と繋がっていく様子を追ったドキュメンタリー映画が昨年ついに完成。ハワイ国際映画祭2018で上映され話題となりました。
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その映画『Moananuiākea - one ocean one people one canoe』を日本語字幕用に翻訳するという仕事をさせていただきました。
字幕付きで観れる日本での上映イベント第一弾は6月の Hawaiʻi Expo 福岡。
詳細はこちらその他の各地でも上映イベントが年内に計画されているのでお楽しみに。
ホクレア号ドキュメンタリー映画『Moananuiākea - one ocean one people one canoe』のエンディング・テーマ『Kaulana Ka Inoa ʻO Hōkūleʻa』に歌われるホクレアをご紹介しました。
◆お知らせ◆
『Kaulana Ka Inoa ʻO Hōkūleʻa』の歌詞の意味もわかるハワイ語集シリーズ新刊が出版されました。
『たくさんのメレから集めた言葉たち4』
よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え
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