よしみだいすけのフラナビ・コラム:メレ(うた)を旅するハワイ
よしみだいすけさんが綴るコラム第18弾。オアフ島にあるハワイアンタウン「ワイアナエ」をご紹介。
公開日:2019.09.06
更新日:2020.01.16
メレ(うた)を旅するハワイ
第十八回:オアフ島ワイアナエメレ(mele)とはハワイの歌のこと。
古来よりハワイの人々は、愛し大切にする土地・場所を歌にしてたたえてきました。その文化は今も受け継がれていて、特定の場所をたたえる新しいハワイ語の歌が今も日々生まれています。第18回となる今回の訪問先は、オアフ島ワイアナエです。
いきなり「一見さんお断り」とは穏やかでないと感じられるかもしれません。「ワイアナエ Waiʻanae」とは、オアフ島を6つに区分した地域の一つで、島の西部にあるワイアナエ山脈の海側全体が含まれます。この地域内にワイアナエ渓谷、ワイアナエ・タウン、ナナクリ・タウン、マカハ・タウンなどがあります。そしてハワイアン特別居住区にもなっています。
ハワイ語で「ボラのいる水」という意味の名前で呼ばれるこの地域は、オアフ島のなかでももっとも観光客が行かないエリア。「治安が悪いから行ってはいけない」というのがハワイ観光業界の常識のようになって久しいのです。地元の人の案内なしに行くのはやめておいたほうがいいエリアではありますが、そこには美しい大自然とメレに歌われた景色が広がります。
そんなワイアナエを今からぼくが案内しましょう。
ホノルルの景色を見慣れた目に、ワイアナエは独特です。海の色は何倍も濃い青で、断崖の陸地はとにかく赤茶けています。リーワード(風下)のこの土地は雨がほとんど降らない乾燥地帯。そんな土地に咲き乱れるブーゲンビリアやプルメリアの花は、彩度を上げたポストカードのように色鮮やかです。
内陸にそびえ立つワイアナエ山脈は対象的に緑濃い。あの山の中に、ククイやマイレ、パラパライなど、フラダンサーがレイにする貴重な植物たちがひっそりと茂っています。フラソングの中でワイアナエはどのように描かれているのでしょう?
ワイアナエから世界に羽ばたいた伝説のハワイアン・シンガー、イズラエル・カマカヴィヴォオレ(イズ)が在籍していたマカハ・サンズ・オブ・ニイハウが歌う『アロハ・イア・オ・ワイアナエ』にはこう歌われます。♪Ulu niu kaulana ʻo Pōkaʻi, he nani ke ʻike aku
ヤシ林で有名なポカイ湾、美しい眺め
[Aloha ʻIa ʻO Waiʻanae]
ワイアナエの中心、ポカイ湾に広がるビーチは、日差しが強い乾燥地に住む地元民の憩いの地。週末はビーチ・パーティーを楽しむローカル・ファミリーで賑わいます。
ポカイ湾の旧名はネネウ(Neneʻu)といったそうで、その旧名がタイトルのメレはこう歌います。
♪He nani Kaʻala kau mai i luna, kuahiwi kaulana kū kilakila
美しいカアラが高々と、名高い山はそびえ立つ
[Neneʻu]
この地に吹く風の名前は「カイアウル」、この風がジンジャーやリポア(海草)の香りを運ぶと歌は伝えます。ビーチの西端には航海術と結びつきのあるクイリオロア・ヘイアウ跡が静かに佇んでいます。
ワイアナエ・ソングに歌われるポカイ湾とカアラ山の景色を満喫したら、ここに立ち寄ります。
ポカイ・ビーチの近く、ワイアナエ・コミュニティー・センター前に建つイズの銅像です。目の前にすると小ぶりであまり立派な像ではありませんが、それでもファンが添えるレイが絶えることがありません。イズはワイアナエのヒーローなのです。
さらに西へ進めば、ウェスト・オアフのサーフィンの聖地マカハビーチ、その先にはイズ散骨の海マクア、さらに島の最西端ハワイ神話の地カエナがあります。次回ご案内しましょう。
『アロハ・イア・オ・ワイアナエ』『ネネウ』に歌われるワイアナエをご紹介しました。
■お知らせ■
10月ワイキキで開催されるフラ・イベント「フラ・ホオラウナ・アロハ」参加者限定「よしみだいすけと行くメレ旅」でワイアナエへにご案内します。
よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え
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