担当者にインタビュー!知っておきたいバケレン新法案
ハワイ・オアフ島でバケーションレンタルの規制を強化する法案が可決。新法案の内容や違法バケレンの見極め方は…? ホノルル市郡政府のユージーン・タカハシ氏に伺いました。
公開日:2020.01.14
アロハ! ユウリです。
物件のオーナーが不在の間、キッチンや洗濯機が完備されたコンドミニアムなどの部屋を借り、まるでそこで暮らしているかのような滞在が叶うバケーションレンタル(バケレン)。ホテルとは異なり、部屋の清掃やアメニティ補充、ルームサービスなどが提供されない分、手頃な価格で宿泊できるとあり注目を集めています。
そんな中、ハワイ・オアフ島で2019年6月より短期バケレンの規制を強化する法案が可決しましたが、
新法案の内容は…?
なぜ規制を強化するの…?
違法バケレンに宿泊してしまった場合、どうなるの…?などなど、疑問がたくさん。安心してバケレンを利用するためにも新法案についてしっかり知っておきたいですよね。
ということで、ホノルル市郡政府に務めるユージーン・タカハシ氏にお話を伺ってきました〜。
ユージーン・タカハシ/Eugene Takahashi
ホノルル市郡政府 都市計画許可局 副部長ハワイ州ホノルル生まれ。ハワイ大学を卒業後、ホノルル市の職員を29年以上務める。2017年に都市計画許可局部の副部長に就任。現在はバケーションレンタルの規制強化に従事する。
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ーーーさっそくですが、2019年6月に成立したバケレンの新法案について詳しく教えてください。
ユージーン氏:ホテル・リゾートエリア外で30日未満の短期賃貸を行ない、有効なNCU(許可証)を取得していない物件は違法になります。ワイキキだとクヒオ通りより海側、それ以外のエリアだと、カハラ、ライエ、クイリマ、マカハ、コオリナ、ホアカレイがリゾートエリアに当たります。例外もあり、アラモアナ・ホテルやパゴダ・ホテルなど、リゾートエリア外にあっても合法に建てられたホテルやコンドミニアムは違法になりません。
ーーーバケレンの取り締まりを強化した理由はなんですか?
ユージーン氏:規制は30年以上前からありましたが、大きく3つの理由から取り締まりを厳しくしました。1つめの理由は、賃貸不足と家賃高騰を緩和するためです。部屋を短期で貸し出しするオーナーが増えたことで賃貸が不足し、家賃が高騰しています。
また、バケレンで収入が見込める土地として認識されるとバケレン用に土地や物件を購入する富裕層が増え、周辺の土地価格が高騰し、住民にとって家を購入しづらい環境になっています。これは現地で暮らす住民にとってとても深刻な問題。短期間の貸し出しを規制することで賃貸および住居不足や家賃高騰を解消したいと考えています。2つめの理由は、住民にとって生活しやすい環境を作るためです。バケレンの周辺では、夜遅くまで騒音がしたり、駐車スペースがなくなってしまったりと、住民の暮らしにも影響が出ています。
規制強化により家賃が下がっているという証拠はありませんが、家族構成や生活スタイルに合う賃貸が見つかったという住民の声も聞きます。完璧な法律や規制を作ることはできませんが、現在ハワイが抱える問題を少しでも改善したいです。
ーーー規制の強化は旅行者のためでもあるんですよね?
ユージーン氏:はい。旅行者の安全を守ることが3つめの理由です。ネットで予約したにも関わらず、現地に到着すると部屋が用意されていなかったというケースや、宿泊者がトラブルに巻き込まれるケースが多発しています。旅行者が安全に滞在できるよう、バケレンを乱用するオーナーを厳しく取り締まることが重要です。
ーーーバケレンの取り締まりが強化されたのは、オアフ島のみですか?
ユージーン氏:現在のところ、オアフ島のみ取り締まりを強化しています。とはいえ、このような短期間のバケレンタルに伴う問題はオアフ島だけでなくマウイやカウアイなど他の離島でも起こっており、それぞれ独自の規制があります。
ハワイだけでなく、ニューヨークやカリフォルニアなどアメリカ本土にも同様の規制が存在しますし、日本にも民泊に対する規制がありますよね。ーーー違法バケレンに宿泊してしまった場合、どうなりますか?
ユージーン氏:違法バケレンに宿泊しても、予約した旅行者が罰せられることはありません。物件のオーナーに$1,000〜$10,000の罰金が科せられます。ただし、違法のバケレン物件で何か問題が起こっても、旅行者向けのバケレンの保険や被害者を守る法律はありません。自分の身を守るためにも十分注意してください。
ーーー旅行者が違法バケレンか合法バケレンか見分ける方法はありますか?
ユージーン氏:政府の公式ウエブサイトで合法で公開しているバケレン物件のリストで、リゾートエリア外にある物件を確認できます。また、各物件を紹介している広告にNCU番号が記載されているかを確認するのも良いと思います。部屋の写真や情報がきちんと掲載されていない物件には気をつけてください。
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ーーー最後に、日本の読者へメッセージをお願いします。
ユージーン氏:規制の強化は、バケレンを乱用するオーナーを取り締まり、住民にとって生活しやすく、旅行者の方々が安心して滞在できる環境を作っていくためであって、我々は決してバケレンに反対しているわけではありません。バケレンの規制や問題についてもっと知っていただき、正しく利用してもらいたいです。そして、ハワイ旅行を存分楽しんでいただければと思います。
ーーー本日はどうもありがとうございました!
★インタビューを終えて…
新法案について初めて知った時は、観光業が経済を支えているハワイで、旅行客にとって宿泊先の選択肢でもあるバケレンの規制を強化することが果たして良いことなのか…と疑問に思っていました。
とはいえ、バケレンを予約しトラブルに巻き込まれる旅行者が増えているのも事実で、賃貸不足や家賃が高騰しているのも実際にハワイに住み感じています。
ユージーン氏が言うように、完璧な法案を作ることは不可能なのかもしれませんが、住民にとっても旅行者にとっても安全で過ごしやすい環境になっていけば良いなと思いました。
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