よしみだいすけさんがナビゲートするマウイ島のカフルイ地区にあるワイルク
よしみだいすけさんが綴るコラム第24弾。マウイ島のカフルイ地区にあり、ハワイ語で「破壊の水」という意味の名前で呼ばれる「ワイルク」をご紹介!
公開日:2020.03.04
メレ(うた)を旅するハワイ
第二十四回:マウイ島ワイルクメレ(mele)とはハワイの歌のこと。古来よりハワイの人々は、愛し大切にする土地・場所を歌にしてたたえてきました。その文化は今も受け継がれていて、特定の場所をたたえる新しいハワイ語の歌が今も日々生まれています。ハワイ語の歌に、ハワイのどんな景色が描かれているのでしょうか?毎月メレに歌われるハワイの場所を訪れて、そこで見る景色をご紹介しています。
第24回となる今回の訪問先は、マウイ島ワイルクです。ワイルクってどこにあるの?というあなたは地図を確認ください。
「ワイルク Wailuku」とは、マウイ島の空の玄関口カフルイの隣にある地区。イアオ渓谷の入り口にあります。
ハワイ語で「破壊の水」という意味の名前で呼ばれるこの地区は、19世紀後半から20世紀初頭に砂糖産業で栄えた島の中心地でした。現在も当時の雰囲気が残るレトロな町並みが印象的。観光地として人気のイアオ渓谷や、歴史的建築物カアフマヌ教会、ベイリー・ハウス・ミュージアムなどの所在地でもあります。歌の中でワイルクはどのように描かれているのでしょう?
歌の中のワイルクを初めて聴いたのは、ケアリイ・レイシェルのデビュー曲『Kawaipunahele』でした。Kū ʻoe me ke kiʻekiʻe
I ka nani aʻo Wailuku
Kuʻu ipo henoheno
Kuʻu wehi o ka pō
E Kawaipunhele
(Written by Kealiʻi Reichel)
あなたは立つ堂々として
ワイルクの景観の中
愛おしい恋人
私の夜を彩る人
二人で帰ろう
カワイプナヘレよこのメレの作者であるケアリイ・レイシェルにワイルクのベイリー・ハウス・ミュージアムでインタビュー取材をしたことがあります。
かつてここに住み込みで仕事をしていたケアリイは、ある日の夕方に谷の奥から流れてくる霧を見てインスピレーションを受け『Kauanoeanuhea』を書いたのだと教えてくれました。ʻAuhea wale ana ʻoe
E Kauanoeanuhea
Huli au i ke onaona
ʻAʻole i loaʻa mai
(Written by Kealiʻi Reichel)
あなたはどこに
ひんやりと香る霧よ
香りのする方を探すけど
そこにはいない『Kawaipunahele』同様、ワイルクから見る山の手の景色に作者の恋心が重ねられた名曲ですね。
この2曲のヒットから約25年を経た現在、最新のワイルク・ソングはこちら。
昨年(2019) Nā Hōkū Hanohano Award 新人賞を受賞したマウイ島の若手ハワイアン・バンド Nā Wai ʻEhā の『Eō E Nā Wai ʻEhā』。Huʻi konikoni i ka ʻili
I ka laʻi o Kūkaʻemoku
ʻAuhea ʻoe Kapelakapuokākaʻe
Makani Lawe Mālie
Kaulana aʻo Wailuku
(Written by Nā Wai ʻEhā)
肌に冷たくぞくぞく
静けさのなかのクカエモク
あなたはどこに、カペラカプオカカエ
優しくそよぐマリエ
ワイルク名物の風ここに歌われているのは、イアオ渓谷の奥にあるこの景色です。↓
よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え
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