※この記事は2022年6月22日(ハワイ時間)に公開したものです
アロハ!エイ子です。
世界的な影響を与えた新型コロナウイルスのパンデミックが少しずつ落ち着きをみせ、6月12日(日)からは、ハワイを含むアメリカへの入国の際に必須となっていた、渡航1日以内の「新型コロナウイルスの陰性検査」の結果の提出措置も撤回されました。
今回、日本からハワイへ渡航する際に必要となっていた新型コロナウイルスPCR検査を実施していたグローバルヘルスケアクリニックの院長で、感染症の専門家である水野泰孝先生に、オンラインインタビューでハワイ渡航前の準備や、ハワイでの過ごし方などについて色々とお話を伺いました。
水野泰孝
グローバルヘルスケアクリニック院長。医学博士。東京慈恵会医科大学大学院修了、タイ王国マヒドン大学熱帯医学部留学(DTM&H取得)、国立国際医療研究センター、在ベトナム日本国大使館医務官、国際協力機構(JICA)感染症顧問医、東京医科大学准教授、同大学病院感染制御部長・感染症科診療科長・国際診療部長を歴任し、2019年より現職。日本感染症学会専門医、日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医、米国熱帯医学会認定(CTropMed®)、国際渡航医学会認定医(CTH®)。ヒルトン・ハワイのタイムシェアを保有するほどのハワイ好き・旅行好き。旅行業務取扱管理者、PADIダイビングインストラクターライセンスも保有。
───アロハ!水野先生。ついに、日本からハワイへ渡航する際に必要となっていた、新型コロナウイルスPCR検査が撤廃となりましたね。
水野先生:そうですね。私が院長を務めているグローバルヘルスケアクリニックでは、ハワイを含む米国へ渡航する際に必要な新型コロナウイルス検査の受診と陰性証明書の発行などを行っていましたが、6月12日より、米国政府が国外からの渡航者に対する陰性検査の提出措置を撤廃。現時点でハワイへの渡航の際は、外国籍の人の場合は、ワクチン接種証明書の提示と宣誓書の提出のみが必須と、ハワイへの渡航条件が変更となっています。
───ずいぶんとハワイへ渡航する際のハードルが下がったということですね。
水野先生:はい。多くの諸外国では入国時の検査を撤廃する方向なので、今後渡航前PCR検査は形骸化していくものと思われます。ただし、CDC(米疾病予防管理センター)では、90日ごとに検査義務の必要性を再評価し、感染力が高い新型ウイルスなどが発生した場合には、米国渡航時の陰性検査の提出措置を再開する可能性があるとしています。当クリニックでは、引き続き各国に渡航の際に必要なPCR検査を実施するほか、帰国後の専門的な感染症診療などを提供しています。
ハワイ渡航前の感染対策について
───米国入国時には、外国籍の場合はワクチン接種証明書の提示が引き続き必要となっているため、多くの人が2回のワクチン接種は完了していますが、ハワイ渡航時には、3回めのワクチンを接種してからの方がいいのでしょうか?
水野先生:ワクチンを3回打っていても陽性になる人はいます。ただし、ワクチン接種直後は、罹患しても重症化を防ぐことができるほか、実感としては、発症の予防効果もかなりあるようです。実際、ワクチンを打ってから抗体量が増えるまで2~4週間ほどかかるので、例えば8月1日からハワイへ1週間ほど行く予定で、まだ3回めを接種していないということであれば、7月の上旬くらいに3回めのワクチンを接種して出かけるというのが効率的ではないかと思います。
───飛行機で移動中に感染する心配はありませんか?
水野先生:これは私の私見ですが、飛行機内は10分ごとに空気が入れ替わっているので、室内とはいえ空気の循環が早く、常に新鮮な空気が保たれているといえます。また、機内では皆さん混雑した電車のように密集しているわけではないし、基本的に個々が静かに座っているので、飛行機の移動はそれほどハイリスクではないのではないかと考えています。ただ、大きな声で話したりはしないほうがいいですね。
ハワイでの過ごし方について
───ハワイでは、マスクの着用義務が撤廃となっていますが、ハワイ滞在中はマスクを着用して過ごした方がいいですか?
水野先生:屋外ならマスクは必要ありません。屋内でも他者との距離がある程度保たれている場合は必要ないと考えます。日本の厚労省も、他者との距離がある場合には屋内でのマスクの着用は必要ないとしていますしね。でも、屋内のレストランで食事する際に、近くのテーブルのグループが大騒ぎしている時などはマスクはしたほうがいいですね。
───マスクの素材はどんなものでも大丈夫なのでしょうか?
水野先生:感染対策を目的にマスクを着用するのであれば不織布マスクがいいです。布マスクはウイルスがすり抜けてしまいます。
───ハワイではプールや海でのアクティビティを楽しむ機会も多いですが、水遊びで感染率が高まるといったことはあるのでしょうか?
水野先生:水を介した感染は極めて低いと考えます。また、プールの水には塩素も入っているのでウイルスは死滅するでしょう。ただ、プールサイドにあるバーやカバナのような、人が至近距離にいて会話が生じるような場合には、感染率が高まる可能性はあります。また、密閉空間であるプールの更衣室などで他者と話をするようなことは避けたほうがいいでしょうね。
───市バスやレンタカーはどうでしょう?
水野先生:不特定多数の人が使用するので気にはなりますが、物質に付着した病原体からの感染リスクは低いことがわかってきています。それでも気になる方は、レンタカーのハンドルやバスの手すりなどに触れる際には、触れる前と触れた後に手の消毒をするのがいいですね。
───アルコールを飲むような場所ではより感染するリスクが高いのでしょうか?
水野先生:アルコールがウイルスを媒介するわけではないので、アルコールを飲むことでコロナに罹患する可能性が高まるということはありません。ただ、アルコールを飲んだことで気が緩んでしまって大声で騒いだりする人がいるケースもあるので、飲む際には周囲への配慮もお願いしたいです。
───店頭に設置してある消毒液などは利用した方がいいですか?
水野先生:外からの病原体を持ち込まないという意味では効果があります。しかし手を消毒して来店し、その後に店内にある商品などを手に取ったり、エスカレーターの手すりを掴んだりした場合には、自身への消毒効果はなくなります。エレベーターのボタンなど、不特定多数の人が触れたものからの感染が気になる際には、来店時に手の消毒をするよりも、持参しているハンドサニタイザーなどをその都度使用する方が効率的です。
───個人的に先生がハワイ滞在中に感染リスクが高そうだなと思う場所はどこですか?
水野先生:お土産屋さんは注意です。混雑している店内では、みんなお土産を選ぶために会話するし、商品も色々と触るので、マスクを着用してからお土産をゆっくり選ぶのが安心ですね。
★インタビューを終えて
米国政府が海外からの渡航者に対する陰性検査の提出措置を撤廃し、ハワイへの渡航条件が緩和されたことで、ハワイ旅行の計画を立て始めた方も多いのではないでしょうか? でも、ハワイでの滞在では、市バスを利用したり、買い物や食事でより多くの人と触れ合ったりする機会も増えるため、新型コロナウイルスに感染しやすくなるのでは? といった心配も…。今回、感染症の専門家である水野先生から飛行機での過ごし方や、滞在中の感染防止対策などについてお聞きして、ハワイ滞在中は基本的な感染対策を怠らなければ大丈夫なのがわかって一安心。ちなみに先生もすでに来年のハワイ旅行を計画中だそう。極端に心配するのではなく、基本的な感染対策をしながらハワイでの時間をより多くの人に満喫してもらえたらと思います。
2022年6月現在、米国入国時の陰性検査の提出義務は撤廃となりましたが、グローバルヘルスケアクリニックでは、そのほかの地域に渡航する際に陰性検査の提出が必要な方向けとして、引き続き陰性検査を受け付けています。検査結果は早ければ午前中に受検して、午後には結果を受け取ることも可能です。検査希望の場合には電話でクリニックに事前予約をいれてください。
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