アロハ！　ヒロヨです。

現在ソフトオープン中で2023年8月15日にグランドオープンを迎えるアロヒラニ・リゾート・ワイキキビーチ内の「ラ・ベットラ・ワイキキ」。日本で本格的なイタリア料理を広めたパイオニア的存在であり、ラ・ベットラの創設者、落合務シェフに現在に至るまでの道のりや新しいハワイ店についてなど、インタビューしてきました。

東京・銀座ラ・ベットラ・ダ・オチアイのオーナーシェフで、現・日本イタリア料理協会名誉会長。フランス料理を志し、ニューオータニに入社、イタリア料理に転向し、1978年にイタリアに渡り、4年間修行する。日本に帰国して、赤坂の「グラナータ」の料理長を経て、1997年に銀座の「ラ・ベットラ」をオープン。テレビ・雑誌などでも活躍中。

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恩人に導かれてイタリア料理の世界へ

───アロハ！ 落合シェフ。ラ・ベットラ・ワイキキのグランドオープンが近づいてきましたね。まずは落合シェフが料理の世界に入られたきっかけからお話を伺えますか？

落合シェフ：高校を辞めたかったことがきっかけですね。まあ、いろいろ事情がありまして、学校に行きたくなくなったんですが、親戚がみんな大学へ行っているような環境だったので、僕だけ行かないって訳にはいかないなぁと。それが、ちょうど帝国ホテルの村上信夫さんが東京オリンピックの総料理長に決まってニュースになっていた頃だったので、たまたまというか、その影響で料理人になろうって。

───そこからずっと初志貫徹で料理人をされているんですね。

落合シェフ：やはり自分で言いだした以上は辞められないので、ずっと努力してきましたね。

───でもここまで続けて来られたのは、やはり料理にハマったというか目覚めた瞬間というのがあったと思うのですが、いかがですか？

落合シェフ：そうですね、ホテルニューオータニに移った時、本格的にフランス料理を学び初めたのですが、ほかのシェフたちのレベルが高くて…。これは真剣に取り組まなくては、と思ったんです。

───フランス料理を学んだ後、イタリア料理に転向されたのはなぜですか？

落合シェフ：ホテルを辞めた後に勤めていた会社の社長が、僕の事をとてもかわいがってくださっていたんですね。当時、そのレストランを辞めようと思っていると社長に相談したら「もうちょっと我慢しよう、我慢しているといいことがあるから」と言ってくださってなんとか続けていたら、フランス旅行へ行かせてくれたんです。

───なんと太っ腹な！

落合シェフ：そうですね。あの方が居なかったら今の僕はなかったと思います。それでそのフランス旅行の帰りにスペインとイタリアに寄ったんですが、それがイタリア料理と出会ったきっかけです。その後社長に旅の報告をしたら意外にも社長もイタリア好きということがわかり、今度はイタリアへ行ってみないかというオファーをいただいたんです。僕も自分で文献などを調べたんですが、実はフランス料理の起源はイタリア料理にあるというのもわかってイタリアへ修行へ行くことを決めました。

───帰りに寄ったイタリアから、こんな展開になるとは。

落合シェフ：はい。イタリアでは、いろんなレストランで勉強させていただきました。1981年に帰国してからは、修行へ行かせてくれた社長が経営するイタリア料理店「グラナータ」のシェフを務めることになったのですが、最初は全然お客様が来なくて本当に苦労しました…。

───まだ日本ではそんなにイタリア料理がメジャーではなかった時代だったのではないでしょうか？

落合シェフ：そうなんです。スパゲッティは固くて美味しくないとか、なぜナポリタンはメニューにないのかとか、お客様からはいろいろ言われましたね。でも社長は、お客様に何を言われても本場イタリアの味を曲げずにちゃんと出し続けよう、という考えだったので味は変えずに続けることに…。僕としてはお客様と社長の板挟みでなかなか辛い時期でしたね（笑）。でもそうこうしているうちに、イタリア人のお客様が通ってくださるようになり、外国のお客様も増えてそのお客様が日本人のお友達を連れてきてくれて、という感じで、お店が賑わうようになりました。

───社長さんが落合シェフを信頼して、落合シェフも社長を信じて困難の時期を耐え抜いた結果、本場のイタリアの味が日本でも浸透してきたんですね。

落合シェフ：本当にああいう方はなかなか居ないと思います。あの方が居なかったら今の日本でのイタリア料理もちょっとずれた方向へ向かっていたかもしれません。

───そして1997年にラ・ベットラをオープンして、現在では東京のほか、名古屋にもお店があり、日本のイタリア料理界を牽引する有名店へと成長を遂げられましたが、なぜ海外初進出となるハワイ店をオープンしようと思われたのでしょうか。

落合シェフ：先程、日本の恩人である社長の話をしましたけれど、このハワイ店の社長を務めるヒデさんとの出会いがあったからです。

───どのように知り合ったのですか？

落合シェフとハワイ店社長のヒデさん

落合シェフ：共通の知人がいたんです。そこからヒデさんと直接話すことがあったりして、気合が入っていて人柄の良い方だなと。今までいろいろ海外出店の話もあったのですが、外国でビジネスをする難しさもあって、すべてお断りしていたんです。でも、ヒデさんは本当に真面目でいろいろお話をしてくださって…。僕の日本のマネージャーは、石橋を叩きまくって渡るような慎重派なのですが、そのマネージャーもヒデさんと直接話した後にGOサインを出して信用してくれたので、今回のハワイ店をオープンすることを決断しました。

───ハワイでもご縁があって、信頼できる方に巡り会えたんですね。メニューは落合シェフが考えられて、日本で人気のウニのパスタなどのメニューもハワイ店に登場するそうですが、中でもおすすめのひと皿はあるでしょうか。

落合シェフ：それはもう全部ですね。おすすめじゃないとメニューに出せないのでね。

───日本とハワイでは食材自体の味わいが違ったりすると思いますが、その点はいかがでしょう？

落合シェフ：食材の味の差は仕方がないと思っています。ただ、日本のお店でも、日本の食材で本場イタリアの味にするよう工夫して料理を仕上げているので、ハワイでも同じですね。生鮮食品は地元産のものをなるべく使いますが、食材の味が違うから料理の味も変わるのではなく、創意工夫で同じ味を引き出すことが調理人としての仕事だと思っています。

ハワイではホテルでのんびり過ごしてリラックス

───ちなみにハワイは以前から何度かご旅行でいらっしゃっていたんですか？

落合シェフ：そうですね。10回以上は来ていますね。ハワイってイタリアのシチリアみたいな感じだけど、イタリアよりもフライト時間が短いし最高ですね。

───ハワイに来たらどんなことをされているんですか？ビーチでのんびりとか？

落合シェフ：ビーチは行かないんです。ホテルのお部屋でのんびり（笑）。あとはワイキキ周辺やアラモアナセンターでウィンドウショッピングかなぁ。

───どこかよく行かれる場所ってありますか？

落合シェフ：パンダエクスプレス。安くてお腹いっぱいになれますよね〜。

───（笑）。意外です！ひとつのプレートランチでも量が多いから2人でシェアしてもお腹いっぱいになりますよね。

落合シェフ：あとはヒデさんがいろいろな場所へ連れて行ってくるのも楽しいですね。ダウンタウンとか自分たちだけでは行かない場所も案内してくれるので。

───公私に頼もしいパートナーがいると、安心ですね。さて、8月15日がラ・ベットラ・ワイキキのグランドオープンということですが、今のお気持ちは？

ラ・ベットラ・ワイキキの店内

落合シェフ：僕の永遠のテーマはお客様に笑顔になっていただいて、また来るねと言っていただけることなんです。ラ・ベットラは、いわゆるリストランテなんですが、このリストランテの語源となっているリストラーレとは元気を取り戻させるとかパワーをつけるという意味なんです。ですからレストランという場所はパワースポットだと思っていて、お客様に「あそこに行くと元気になれるよね」、と思っていただけるお店にハワイ店もなるといいなと思っています。

───美味しくて元気がもらえるレストランだからこそ、ラ・ベットラはリピーターが多くて、先まで予約で埋まっている状態が今も続いてるんでしょうね。

落合シェフ：本当はお客様が食べたい時に食べられるのが一番良いのですが、ありがたいことにたくさんの方がお店を訪れた時に次の予約を取ってくださるので、先の先のほうまで予約で埋まってしまうんですね。僕も予約しようと思ったら「満席です」と即座に断られてしまいました。冷たいなぁ（笑）。

───落合シェフでも…（笑）。それでは最後にアロハストリートの読者にメッセージをいただけますか？

落合シェフ：8月にグランドオープンとなります。ハワイでイタリアを感じられる、本当に美味しい本場のイタリア料理を皆様にご提供いたしますので、楽しみにしていただき、ぜひ、ご利用くださいませ。よろしくお願いします！

───ハワイで落合シェフのお料理が食べられるとは思っていなかったのでとても楽しみです。本日は本当にありがとうございました。

予約の取れない人気店のラ・ベットラのワイキキ店は、8月15日にグランドオープン！ アロヒラニ・リゾート・ワイキキビーチのロビー階、魚たちの泳ぐ様子が楽しめる巨大な水槽前にレストランがあります。

ハワイの食材を使った創意工夫が感じられる本格的なイタリア料理でパワーチャージして、元気のバロメーターを満タンにしてしてみませんか？私も元気をもらいにお店へ行こうと思っています！