ハレアイナ受賞!ハワイの食の楽園、ナチュールが進化中
オープンから1年半を迎えたレストラン「ナチュール・ワイキキ」。コロナ禍でのオープンから現在までの様子や、コラボイベントでの体験談、今後の展開などをインタビュー!
公開日:2023.07.13
アロハ!ヒロヨです。
ハワイで数々の人気レストランを運営するZETTON, INC.が手がけるアイランドフレンチレストラン「ナチュール・ワイキキ(natuRe waikiki)」。オープンから約1年半が経った今、ハワイのグルメアワードであるハレアイナ賞も2年連続受賞し、アメリカ本土のひとつ星レストランとのコラボも実現。そんな進化が止まらないナチュール・ワイキキのエグゼクティブシェフ、小川苗さんとZETTON, INCの総料理長を務める吉本圭吾さんに、現在のレストランの様子や今後の取り組みなどについてインタビューしてきました。
吉本圭吾/Keigo Yoshimoto(左)、小川苗/Nae Ogawa(右)
吉本 圭吾
カイムキのフレンチレストラン「カフェ・ミロ」オープンのため1997年ハワイへ。その後2009年よりZETTON, INCに勤務し、総料理長を務める。小川苗
1992年生まれ。服部栄養専門学校を卒業後、「NARISAWA」(東京)ヘ就職。その後、ニューヨーク、パリのレストランで経験を積み、ハワイへ。35歳以下の若手料理人の発掘・応援を目的とした日本最大級の料理人コンペティションであるRED U-35 2019では、GOLD EGGおよび岸朝子賞、滝久雄賞を受賞。
チームの一体感が増し、さらに進化中
───アロハ!なえさん。ナチュール・ワイキキ(以下ナチュール)のオープンから約1年半が経ちましたね。コロナ禍でのオープンとなり、今ようやく以前のようにワイキキにも活気が戻ってきましたが、今のレストランの様子やなえさん自身の心境の変化など教えていただけますか?
なえさん:そうですね。まず、私自身の話で言うと、私はこのナチュールで初めてエグゼクティブシェフを経験することになり、自分で料理を作ってお客様に食べてもらうことはもちろん、メニュー作り、チームビルディングなど、私にとっては新たな挑戦が数多くありました。最初の1年は本当にわからないことや不安なこともありましたが、いろんな人に助けられながら、ようやく今良いチーム作りができるようになってきましたね。
食材に関しても、いろいろな農家さんとの繋がりができて、ハワイに5年いますがまだまだ新しい食材に出会う機会があります。そういった活動の輪が、ちょっとずつですけど広がってきているなと自分の中で感じています。
───圭吾さんは、なえさんの変化について何か気づかれた点はありますか?
圭吾さん:そうですね。料理はもちろん、やはりチームビルディングの成果というか、すごくチームワークが良くなったなと思います。勉強熱心で、食材しかり、レストランしかり、様々な要素をリサーチして、その結果をしっかり料理に反映させているなあと感じていますね。
───なるほど。ナチュールでは2カ月毎にコースメニューの内容を変えられていますが、新しい食材も取り入れてアップデートされているんですね。
なえさん:はい! 過去のメニューに戻ることはせず、常に新しいメニューに挑戦していますね。ハワイは島なので食材は限られているのかなって思っていましたが、先ほども話した通り、関わるコミュニティが広がるにつれてまだ知らない食材との出会いも増え、いろいろメニューに取り入れています。
───そして、今年は去年に続いて地元のグルメアワードであるハレアイナ賞を受賞されましたね。ベスト・テイスティング・メニューとベスト・カクテル・プログラムで銀賞、ベスト・ベジタリアンで銅賞、ベスト・サービスでファイナリストという快挙を成し遂げられました。
なえさん:ありがとうございます! 年に一回開催されるアワードで賞をいただけたというのは、自分たちの活動を認めてもらえたという喜びを感じます。ただ、まだ成長できる伸びしろがありますね(笑)。
───スタッフのモチベーションも上がりますね。
圭吾さん:そうですね。ナチュール以外にもゼットンのお店で言うと「地喰(ジグ)」、「ザ・シーサイド」、「かまど(竈)ラーメンタバーン」、「グーフィー・カフェ&ダイン」も受賞したんですよ。
───おめでとうございます! たくさん受賞されたんですね。
圭吾さん:来年はこれ以上を目指して、頑張ろうと思っています。
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サンフランシスコのひとつ星レストランからのコラボオファー
───2023年はハレアイナも受賞されましたが、つい最近アメリカ本土のレストランでコラボイベントに参加されたと伺いました。どんなイベントだったのでしょうか。
なえさんとデイビッドさん
なえさん:サンフランシスコのひとつ星レストラン、ニセイとのコラボイベントだったのですが、ここのシェフのデイビッドさんが、ジャパニーズアメリカンの方なんですね。アメリカ生まれなんですが、ご自分のルーツも大切にされていて、日本で修行をされた経験もあります。日本とアメリカを融合させた新たな彼自身のスタイルを確立するために開店したのがニセイで、ナチュールと同じ2021年にオープンしました。そこで毎月、デイビッドさんのような2世や独自のスタイルを開拓する1世の方、私のような海外で挑戦する日本人シェフを招いて、サード・カルチャーを生み出そうという目的でコラボイベントを開催していて、今回お声がけいただき参加させていただきました。
───ニセイさん側からのオファーだったんですね。なえさんのことを知ったきっかけは何だったのでしょう?
なえさん:たまたまニセイさんのPRを担当されている方が、ナチュールを訪れて、私達の存在を知ってくださったそうです。レストランのコンセプトが似ていることもあり、招待いただくことになりました。
───イベントは6月に行われたそうですが、どのような内容だったのでしょうか。
なえさん:2日間にわたって開催されたのですが、ニセイさんも通常コース料理1本でやっていらっしゃるんですね。それで12品のコースのうち、半分ぐらいですかね、6品ほどを担当させてもらって、2人でひとつのコースを作り上げました。
───メニュー内容はデイビッドさんとどのように決められたのでしょう?
なえさん:実際に現地に行く前に、電話やメールでハワイのこういう食材が面白いから使ってみようかとか、それに合わせるプロテインはこれにしようかとか、そういった感じで話し合いましたね。それから現地で試作して、味見して、調整をするという作業でした。
───ハワイの食材って向こうでは珍しいものもあるでしょうね。具体的にはハワイのどのような食材を使用したのですか?
なえさん:ハート・オブ・パーム(ヤシの芽)は、すごく興味を持っていただきました。向こうでは瓶や缶詰が一般的で、新鮮なハート・オブ・パームを手に入れることが難しいため、ハワイから持ち込みました。
───あ、食材を持ち込まれたんですね。
なえさん:そうなんです。新鮮なハート・オブ・パームが使えるということがとてもスペシャルだったようで、反応が良かったです。
───そのほかはどんなお料理を?
なえさん:ナチュールで提供してる料理をそのまま出してみました。ハワイのナチュールでしか食べられないものを、サンフランシスコで食べることができるっていうのも魅力のひとつになるかなぁと思ったので、敢えて同じ料理にしました。
サンフランシスコは、全米でもトップクラスのレストランが集まる街だと思います。その中でひとつ星を取ることってすごい大変なことなんですね。今回のコラボレーションではレベルの高いシェフとモチベーションの高いチームと一緒にお仕事させていただいたのは、私にとってものすごく勉強になりました。
───そうなんですね。2日間のコラボイベントは大成功だったと伺いました。この経験を踏まえてまた新しい料理が誕生しそうですね。圭吾さんも今回のイベントに同行されたそうで。
圭吾さん:はい。僕はイベントで料理はしていませんが、一緒にレストランへ出かけたり、ファーマーズマーケットで食材を探したりリサーチをしていました。先ほど言っていたように、サンフランシスコは本当に食のレベルが高い街で、いろいろなものを見ることができて良かったです。
なえさん:ファーマーズマーケットが本当に楽しくて、とくに野菜やフルーツがすごかったです。同じ食材でも味や色が違ったりして、その土地によって違いがあるんだなぁと改めて思いました。
圭吾さん:ファーマーズマーケットでは本当に楽しそうにしていたよね。「私、ここに住みたい!」って言われて、おいおいおい、じゃあもうそろそろ行きましょうかって(笑)。
───(笑)。でも本当に楽しかったんだろうなぁというのが、お話されている雰囲気から伝わってきます。
なえさん:そうですね。今回の旅からたくさんインスパイアされて、自分の料理を作る引き出しがさらに増えたと思っています。
───今回の経験からヒントを得た料理がコースの新メニューとして登場しそうですね。ほかに何かチャレンジしてみたいことはありますか?
ナチュール・ワイキキの店内
なえさん:あの、実はニセイさんで実際に行われているのですが、シェフとお客様が一緒にファーマーズマーケットへ出かけて、シェフが食材を紹介しながらショッピング。それからレストランへ行って、購入した食材を使った料理を作るところが見られて、食事もそのままできる「シェフズ・エクスペリエンス」という体験をメニューとして提供されていたんですね。私もこういうことをどんどんナチュールに取り込んでいきたいなと思いました。せっかくローカルの農家の方たちとの繋がりもありますし、レストラン外での活動も広げられると良いですね。
圭吾さん:ニセイさんでは、従業員によるポップアップイベントも行っていたよね。
なえさん:あ、そうなんです。ニセイさんでは定休日が2日あるんですけど、そのうちの1日を使って、お店で働くシェフたちが自分たちでメニューを提案して、運営しているんです。
───いつもはエグゼクティブシェフのサポートを任されているシェフにとって、大きなチャンスですね。
圭吾さん:そうですね。料理だけではなく、プランニングから実際にどれだけ売上げがあったのかとか、数字も含めて自分でやってみると普段とは違うことが見えてくると思うんです。そういう場所を提供していらっしゃるってすごいなと思って。
なえさん:レストランで何か面白い取り組みをしているなぁってお客様にも注目されるきっかけになりそうですよね。従業員のモチベーションやレベルも上がって、創造性も豊かになります。こういった取り組みが実現できるといいなと思っています。
───個々のレベルが上がって、チーム全体がパワーアップしそうですね。今後の新しいメニューも楽しみにしています。本日はありがとうございました。
なえさん:ありがとうございました!
圭吾さん:ありがとうございました!
料理や仕事について本当に楽しそうに話をしてくれるなえさんとその様子を温かく見守る圭吾さんの関係性を見ていると、素敵な環境でお仕事をされているんだなぁと実感しました。とくにサンフランシスコでのコラボイベントでは、たくさんの学びがあったようで、その経験からどんな料理が新しく誕生するのか楽しみです。
このイベントのように、ハワイだけでなく、アメリカ本土や海外でももしかしたら、なえさんの料理に出会える機会がまたあるかもしれませんね。逆にハワイ外からシェフを招いて「コラボイベントをハワイで開催」なんてこともあり得るかも! 今後のナチュール・ワイキキの取り組みに注目です。
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