メレを旅するハワイ〜メリーモナーク2024マウイ島メレ旅
文筆家、フラナビゲーターであるよしみだいすけさんが、メレを旅するハワイをテーマにしたコラム。メリーモナーク2024特集として、マウイ島ラハイナが舞台のフラをご紹介。
公開日:2024.05.06
メレ(うた)を旅するハワイ
第七十四回:「メレを旅するハワイ~メリーモナーク2024のマウイ島メレ旅」Aloha from Mānoa!
ハワイ旅行を心待ちにしているフラダンサーに提案します。
次のハワイではメレ旅に出かけよう!「メレ旅」とは、メレ(フラソング)に歌われた景色を探す旅です。
メレには、ハワイの人が愛するいろいろな土地のことが歌われています。それぞれの島にちらばるそんな場所を訪れる「メレ旅」が、フラダンサーのハワイ旅行をより有意義なものにしてくれます。今回から数回に渡ってメリーモナーク特集。
メリーモナーク2024で踊ったフラダンサーたちに、ハワイの各島へいざなっていただきましょう。
メリーモナーク団体競技でもっとも多く歌われた島、今年はマウイ島でした。カヒコ・アウアナ合わせてなんと14演目でマウイの歌が踊られました。昨年8月、ラハイナを焼き尽くしてしまったマウイ大火の影響が、メリーモナークの選曲にも影を落としています。
ということで、メリーモナーク2024特集第1回の今回は、マウイ島のなかでもラハイナが舞台のフラ特集です。
マウイ島のフラダンサーたちがラハイナに捧げて踊ったのがこの演目。
ハラウ:Hālau Nā Lei Kaumaka O Uka (Nāpua Silva)
メレ:Malu ʻUlu
“Kuʻu ipo i ka laʻi o Lele”という歌い出しで、ラハイナの美しい景色と愛し合う恋人が歌われるメレ。大火災からの復興を願いラハイナの人々に贈るフラ、涙なくして観れない切なくも美しいパフォーマンスでした。
ケアリイ・レイシェルが近年レコーディングしたトラディショナル・ソングを、クムフラ&シンガー、ナプア・シルヴァが自分の生徒たちのために歌いました。
オアフ島のフラダンサーたちがラハイナ・ソングを踊ってアウアナ部門3位受賞したのがこちらの演目。
ハラウ:Hālau Mōhala ʻIlima (Mapuana de Silva)
メレ:Mahalo Lahaina
“Mahalo wale au iā Lahaina”という歌い出しでラハイナへの感謝の気持ちを歌うメレ。作曲はラハイナを歌う定番フラソング「Puamana」の作者アームガード・アルリ、作詞はメアリー・カヴェナ・プクイ。マウイ島カラーのピンクのスカートと、マウイ島フラワー、バラのレイで踊りました。
ラハイナの焼け野原の下にはハワイ王国時代以前からの聖地もあります。近代の開発や区画整理の果てにすでに埋められてしまっていた場所が伝えられるフラ演舞がこちら。
ハラウ:Hālau Hula Kauluokalā (Uluwehi Guerrero)
メレ:Aia I Lāhainā
“Aia i Lāhainā kau i ka laʻi lā”という歌い出しでラハイナの素晴らしさをたたえるクムフラ故Akoni Akana作のメレ。レレ、ハウオラ、モクウラ、モクヒニアなどの伝統的な地名が編み込まれているメレを、真紅のドレスで優雅に踊った。カウアウラはラハイナの風の名前、繰り返し出てくるキハワヒネはラハイナに伝わるオオトカゲの姿をした女神の名前。
ハワイにかつてあった古い地名やその景観が、時代の変化とともに失われてきました。そして、悲しい災害の結果としてラハイナという歴史的な町も。
ラハイナの歌、マウイの歌を踊るフラダンサーたちの姿を見て、改めて考えさせられます。失われた地名、その景観、そこに暮らした人のアロハの記憶は、ハワイ語の歌の中に残されています。そんな歌をハワイの人たちは歌い踊り続ける。それは、もうこの世から消えてしまったものたちの記憶を再生し、失われたハワイの命を蘇らせるという、神聖な行為のように思えてきます。それこそがフラダンサーの役割なのかもしれません。
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ハワイからのライブ配信もお楽しみに。
よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え
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