【最終回】メレを旅するハワイ〜ハワイ島マウナケア
文筆家、フラナビゲーターであるよしみだいすけさんが、メレを旅するハワイをテーマにしたコラム。最終回のメレのテーマはハワイ島の女神が住まう山、マウナケアです。
公開日:2024.12.04
メレ(うた)を旅するハワイ
最終回:「メレを旅するハワイ~ハワイ島マウナケア」
Aloha from Mānoa!
ハワイ旅行を心待ちにしているフラダンサーに提案します。
次のハワイではメレ旅に出かけよう!「メレ旅」とは、メレ(フラソング)に歌われた景色を探す旅です。
メレには、ハワイの人が愛するいろいろな土地のことが歌われています。それぞれの島にちらばるそんな場所を訪れる「メレ旅」が、フラダンサーのハワイ旅行をより有意義なものにしてくれます。最終回の今回はハワイ島の女神住まう山へのメレ旅です。
「ポリアフ (Poliʻahu)」という名前を知っていますか?
フラダンサーならみんな知っているハワイの雪の女神の名前です。
ハワイに雪の女神?と違和感を抱く人もいることでしょう。ハワイにも雪が積もる場所があるのです。ハワイ島のマウナケア山頂です。地上4000メートルのそこに住まう(祀られている)のが、絶世の美女ながら悲恋に心を痛めるハワイ神話の女神ポリアフ。
神話のストーリーを土台にして、ポリアフの心を伝えるメレがあります。それが「Poliʻahu」。
「帰ってきて」と繰り返される悲しげなこの歌は、去っていった恋人への切なる想いが込められています。
Waimaka ʻo Poliʻahu
I ka ʻeha a ke aloha
Kaumaha i ka haʻalele
O ʻAiwohikupua
E hoʻi mai e kuʻu ipo
E hoʻi mai a pili kāua
E hoʻi mai, e hoʻi mai ʻoe
(Kawaikapuokalani Hewett)涙するポリアフ
愛の苦しみに
つらい離別
アイヴォヒクプアとの
帰ってきて、愛する人よ
帰ってきて、二人一緒にいるために
帰ってきて、あなた
この切ない歌を聴くたびに、作者のヒューエット氏が以前ぼくに語ってくださったことを思い出します。
このメレに込めたのは、悲しみを乗り越えた先にある「許し」の心だ、という言葉。
今年3月のこと、マウナケアの山の上で「Poliʻahu」を踊る、というメレ旅をしました。ぼくはあくまでも案内人、踊ったのは、東京のカハレフラ&タヒチスタジオのダンサー Minakoさん。
その時に撮影した動画がこちら。
雲が眼下に広がる場所で、その地に祀られる女神に捧げてフラを踊る姿を撮影しながら、ぼくは鳥肌を立てていました。寒かったからだけではない。
あのとき、あの場所で感じた神々しい何事かを、映像から少しでも感じてもらえたらうれしい。
クムフラ&ハクメレ(ソングライター)のヒューエット氏は、マウナケアの女神に並々ならぬ思いを寄せていて、女神に捧げる名曲をいくつも残しています。
ハワイの人々にとって特別神聖な山の女神をたたえるメレ、プレイリストにまとめました。日本のフラダンサーにもぜひ踊ってほしい曲たちです。
マウナケアはじめ、ハワイにはハワイの人々が護ろうとしている聖地がいくつもあります。それらの聖地の神聖さを、歌と踊りで伝えるのがフラです。
そんなフラをあなたに踊り続けてほしい、という願いを込めて、この連載を終えたいと思います。
フラで讃えられる地を訪れる「メレ旅」に出かけたくなったら、ぼくが書いたこの本を参考にしてみてください。
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ハワイからのライブ配信もお楽しみに。
【アロハストリート編集部より】
「よしみだいすけのフラナビ・コラム」は今回で最終回となります。これまで本コラムをご愛読くださり誠にありがとうございました。また、毎回素晴らしい内容で読者の皆さまを楽しませていただき、執筆いただいたよしみだいすけさんにも深く感謝申し上げます。
本コラムは今回で終了となりますが、だいすけさんの活動やイベント情報などは上記のインスタグラムでご確認ください。
コラムを楽しみにしてくださっていた読者の皆様、だいすけさん、本当にありがとうございました!「A Hui Hou!(またお会いましょう!)」
よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え
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