ハワイで楽しむ 銅像散歩

ハワイで楽しむ 銅像散歩

ハワイの歴史・文化に詳しいライター・森出じゅんさんのコラム第44回。今回はホノルルのダウンタウン&ワイキキに点在する銅像をひっくるめてご紹介します。

公開日:2025.03.31

森出じゅんのハワイ歴史&神話散歩

銅像が町のあちこちに佇むハワイ
あなたはいくつ知っていますか?

ALOHA! ホノルル在住の森出じゅんです。

ハワイ文化に焦点を当て、ちょっと意外なハワイの横顔を紹介するこのコラム。今回は、ホノルルのダウンタウン&ワイキキに点在する銅像をひっくるめて大特集! 銅像ラリーならぬ「銅像散歩」と称して、ハワイの偉人たちの像をお見せします。

まずはハワイの政治・経済の中心地、ダウンタウンから。ダウンタウンは19世紀のハワイ王国時代から、政治・経済の中心地でした。そんな背景から、歴史上の人物の銅像がいくつも置かれています。

まず登場するのは、ハワイのアイコンともいうべきカメハメハ大王像。王国時代には国会議事堂だった建物「アリイオラニ・ハレ」の前に建ち、その台座には、大王の生涯を物語る4枚の銅板がはめ込まれています。凛々しい大王像だけでなく、ぜひ足元にも注目してみましょう。

カメハメハ大王(1758年前後~1819年)はハワイ王国建国の父

 

カメハメハ大王像の向かいにはイオラニ宮殿がありますが、その山側(ハワイ州政庁の裏手)に建つのが王国最後の女王、リリウオカラニの銅像。気高く生き生きした表情に加え、なかなか細部に工夫を凝らした銅像でもあります。たとえば首にかけているのは、かつて王族だけがつけたレイ・ニホパラオア(クジラの歯と人毛で作られたレイ)。そしてその左手には、女王作の名曲「アロハ・オエ」の楽譜など、女王の人生を象徴する3つの文書を持っています。

リリウオカラニ女王(1838年~1917年)の像の前では今もさまざまなイベントが催される

 

またハワイ州政庁の正面には、ダミアン神父像があります。19世紀中盤、ベルギーからやって来たカソリック神父のダミアンは、当時モロカイ島にあったハンセン氏病患者の隔離施設に自分から赴任。自身もハンセン氏病で亡くなりました。その自己犠牲の精神と功績でダミアン神父はハワイの人々に深く敬愛され、2009年にはバチカンの聖人にも認定されています。

今では聖ダミアンとして広く知られるダミアン神父(1840年~1889年)の像

 

以上の銅像3体からはやや外れますが、カメハメハ大王像から西側に徒歩5分の場所にあるロバート・ウィルコックス像も見逃せません。ウィルコックスはハワイ王族の一員でありながら、ごく好戦的な政治家として知られた人。白人勢力が王国を牛耳るようになると2度謀反を起こし、投獄された過去も。ですが釈放されるたびに政界に復帰し、晩年はアメリカ連邦議会のハワイ選出議員に。その葬列には、数千人の市民が付き添ったということです。

「太平洋の咆える獅子」と異名を取ったロバート・ウィルコックス(1855年~1903年)の像

 

偉人たちの「似姿」は
ビーチ&商業施設にも!

ここで舞台をワイキキに移しましょう。まず町の西端、カラカウア通りとクヒオ通りの分岐点にあるのが、ハワイ王国7代目君主だったカラカウア王の銅像。威風堂々としたこの銅像は、日系移民団体からの贈物。カラカウアは世界旅行の途中で日本にも立ち寄り、明治天皇とも会談。その結果、日本からの移民がハワイにやってくる結果となったことに謝意と敬意を表して、日系団体が建立したのでした。

ワイキキ・ゲートウェイ公園に建つカラカウア(1836年~1891年)の像

 

そのままカラカウア通りを東に進み、ロイヤルハワイアンセンターに行きつくと、中庭にはカメハメハ大王の末裔、パウアヒ王女の銅像が。かつてその一帯がパウアヒ王女の土地だったこと、そして今なお王女の遺産を管理する財団が同センターの敷地を所有していることから、ここに銅像が建てられました。


パウアヒ王女(1831年~1884年)はカメハメハ大王のひ孫

 

またカラカウア通りを挟んでその向かいに建つインターナショナル・マーケットプレイスは、かつてエマ王妃(カメハメハ4世妃)の別荘があった地。今でもエマ王妃の遺産の管理財団が地主である関係から、エマ王妃&ファミリーの銅像がここに建っています。

エマ王妃(1835~1885年)は息子アルバート(1858年~1862年)、夫のカメハメハ4世(1834年~1863年)を相次いで亡くし、27歳で未亡人になった

 

ちなみその隣にあるプリンセス・カイウラニホテルは、かつてカイウラニ王女が暮らしていた地に建つホテル。ホテルからさらに山側に1分歩いた小さな公園には、カイウラニ王女の銅像も建てられています。

カイウラニ王女(1875年~1899年)の像はプリンセス・カイウラニ・トライアングル公園に

 

ここで再びカラカウア通りに戻ると、クヒオビーチ近くにもよく知られた銅像が2つ。1つは、デューク・カハナモク像。デュークはワイキキ出身の生粋のハワイアンにして、競泳選手。1912年のストックホルムオリンピックを皮切りに、生涯で3つの金メダルを獲得しました。同時に、ハワイ発祥のサーフィンを世界に広めた功績で知られています。

現代サーフィンの父とも呼ばれるデューク(1890年~1968年)の像

 

カラカウア通りをさらに進むと見えてくるのが、クヒオ王子像。実はこの地がクヒオビーチと呼ばれるのは、かつて周辺の土地がクヒオ王子の所有地だったため。高位の王族クヒオは、ハワイ選出のアメリカ連邦議会の議員でもありました。王国を失ったハワイアンの救済のために力を尽くし、今も「庶民の王子」として愛されています。

クヒオ王子(1871年~1922年)の誕生日は今、ハワイ州の祝日になっている

 

いよいよ銅像散歩の終点となるのが、その先のカピオラニ公園。カピオラニ公園はカラカウア王時代の1877年に造園され、その王妃の名をとって命名されました。そんなことから、公園の一角にカピオラニ王妃の銅像が建っています。

カラカウア王の愛したカピオラニ王妃(1834年~1899年)の像
Photo Courtesy of HTA/KAZ TANABE

 

以上のように、のんびり散歩しながら銅像を巡り、楽しく歴史まで学べるダウンタウン&ワイキキ。銅像ラリーならぬ銅像散歩は、お子様の夏休みの自由研究などにもピッタリかも? ぜひお子さん連れで楽しんでみてくださいね。

 


 

最後に、1つお知らせです。4月12日&19日の土曜日、阪急うめだ本店「ハワイ塾」主宰のオンラインセミナーで、ハワイ神話のお話をすることになりました! テーマは12日が「島の大自然にまつわる女神たち ~ハワイを彩る女神の物語~」(4月8日締め切り)、19日が半神マウイの武勇伝 ~ハワイの英雄マウイの武勇伝~」(4月15日締め切り)。

チャット機能で皆さんの質問なども受けたいと思っていますので、どしどしご参加くださいね! 詳細はこちらから

 

今回紹介した銅像は、最新刊「ハワイカルチャーさんぽ」で詳しく紹介しています。

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森出じゅん/JUN MORIDE プロフィール

オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動するかたわら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。2012年からハワイ州観光局の文化啓蒙プログラム「アロハプログラム」講師。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニーマガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社)、「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景ーハワイの人々が愛する100の神話」(パイインターナショナル刊)がある。

☆ブログ「森出じゅんのハワイ生活」>>

☆ハワイ州観光局アロハプログラム>>

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