ハワイを感じる!日系ビートメーカーの新感覚ミュージック
サーシャがローカルビジネスを応援する「サーシャのサポートハワイ」。今回は、ハワイでビートメーカー兼音楽プロデューサーとして活躍するOhtoroさんをご紹介します!
公開日:2021.07.05
更新日:2021.07.06
アロハ! サーシャです。
私が、ハワイのスモールビジネスやローカル企業、デザイナー、アーティストの皆さんを応援する取り組み「サーシャのサポートハワイ」。今回は、ハワイでビートメーカー兼音楽プロデューサーとして活躍するOhtoroさんをご紹介します。
オオトロ / Ohtoro
アメリカ・カリフォルニア州出身。熊本県にルーツを持つハワイ在住のビートメーカーであり、音楽会社「Zenbu Records」のオーナー兼音楽プロデューサー。20年以上DJとして活躍する傍ら、ビートミュージックをはじめ、ヒップポップやソウルミュージックをプロデュースしている。
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聴いている人が「ハワイ」を感じられるエモーショナルなサウンドトラックを配信
サーシャ:はじめまして! オオトロさん、スコットさん…なんと呼べば良いですか?
オオトロ:オオトロで大丈夫ですよ。オオトロという名前で音楽活動を行っています。
サーシャ:オオトロって可愛い名前ですね!
オオトロ:日本のお寿司ですよね。私が好きなLAのビートメーカーOhnoとToro y Moiというグループを合わせた名前です。友人からは「大トロはNo.1ツナだね」と言われます(笑)。
サーシャ:たしかに大トロはNo.1ツナですね。私も大好き!(笑)。
オオトロさんとお会いするのは今回が初めてですよね。いつもドライブする時やお家でのんびりする時にオオトロさんの音楽を聴いていたのでお会いできてとっても嬉しいです! オオトロさんのことを初めて知ったのはテレビ番組「ハワイに恋して!」の撮影でサウスショアマーケット内にあるアリーのお店「MORI By Art」に行った時、アリーからオオトロさんの音楽を紹介してもらったのがきっかけです。
オオトロ:ハワイで活躍するロックミュージシャンでサポートしていますが、私もアリーから紹介してもらいサポートを受けました。
サーシャ:素敵な関係ですね。スラックキーギターやウクレレを作ったハワイアンミュージック、レゲエに慣れていたので、初めてオオトロさんの音楽を聴いた時は「ハワイのローカルでこんな音楽を作れる方がいるんだ!」と衝撃を受けインスパイアされました。落ち着く雰囲気の音楽で大好きです!
オオトロさんが手掛けたレコードの数々
サーシャ:LAのヒップホップでもそれぞれのスタイルやオリジナリティがあるように、オオトロさんの音楽からも「ハワイ」を感じます。ハワイでの生活にインスパイアされているんですか?
オオトロ:そうですね。LAではヒップホップを作ってきたので、ハワイに引っ越してきてからこの音楽のスタイルに辿り着きました。ここでの生活を通して、音楽も落ち着いた雰囲気が良いなと思ったんです。音楽には自分自身の感情が映し出されていると思います。こういうテイストの音楽を作ろうと思って作ったというよりは、自分の中から自然に出てきたという感じですね。「ハワイアンミュージック」でなくても、聴いている人がハワイを感じられるエモーショナルなサウンドトラックです。ただ耳で聴くだけではなく、心で感じて楽しめるような音楽が好きですね。
サーシャ:仕事でタウンへ向かう車中でも、オオトロさんの音楽を聴くとなぜかノースショアにいるようなのんびりとした気分になって、ハワイの落ち着いたライフスタイルが思い浮かんできます。
サーシャお気に入りの最新レコード「Downhill EP」(Nick Kurosawa + Ohtoro)
・サーシャ:オオトロさんの経歴を拝見したのですが、オオトロさんはLAで生まれ育ったんですよね。ハワイに移住するきっかけは何だったんですか?
オオトロ:環境を変えたいと思ったのが理由です。LAの大学を卒業した後、不景気で仕事がなかなか見つからなかったんです。ハワイに住む大学時代の友人に会いに旅行にも行きましたし、私が引っ越す1カ月前に親友がハワイに引っ越したので知り合いがいるのはわかっていたんです。あと、父がカイルア出身なのでハワイについてはよく知っていましたし、LAとは真逆のライフスタイルが良いなと思い移住しました。
ハワイに引っ越してきてからもDJを続けてたくさんのアーティストと出会えたので、ハワイに来て良かったと思っています。もしまたLAに帰らないといけなくなったとしても、また引っ越ししたいと思います(笑)。
サーシャ:ハワイの雰囲気はオオトロさんに合っていると思います。ハワイにルーツもありますしね。
オオトロ:そうですね。この土地にルーツを持っていると思うとより親しみが湧きます。音楽を通してハワイ語やハワイの文化などについて学ぶことも多いです。
ハワイにもたくさんのミュージシャンがいますが、彼らのストーリーやアルバム、サウンドトラックにまつわる話を伝え、サポートしていければと思っています。ハワイにはハワイのストーリーがあるので、それを伝えていくのも私の役目だと思っています。
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高校生が自ら自由に音楽を作り披露できるプログラム「サウンドショップ」を提供
サーシャ:LAでも音楽活動をされていたんですよね?
オオトロ:はい、LAでもDJをしていました。ハワイに移住し、たくさんのアーティストに出会うまでは知名度は全然なかったですけどね。ハワイに来てからは日本との繋がりもできました。
サーシャ:良いですね! オオトロさんはなぜミュージシャンになろうと思ったんですか?
オオトロ:高校生の頃から音楽を聴いたりDJを真似てみたりはしていたのですが、自分が音楽を作るようになるなんて思ってもいませんでした。大学1年生の時にAloe Blacc、Exile、Dj Cheapshotに会いインスパイアを受けターンテーブルを購入しました。
ミュージシャンになろうと思ってなったというよりは、自分がやりたいことを追っていたらそれがだんだんとまとまり、自分の思い描く音楽像ができあがり他のミュージシャンとコラボするようになって今に至るという感じです。サーシャ:自分が好きなことを自分のキャリアにできるのは良いことですよね。
オオトロ:自分だけでなく、ミュージシャンを目指す人たちにも夢を実現する機会を作りたくて、「サウンドショップ」を立ち上げました。ホノルル美術館の音楽教育のプログラムで高校生にヒップホップを教えています。今年で8年めになりますね。
サーシャ:8年めですか!?すごい!
オオトロ:フィールドトリップでは、高校生が美術館を訪れ、私たちが音楽を演奏したりミュージシャンをゲストに呼んだりします。現在はオンラインに切り替えてプログラムを提供しているんですが、どのようにビートを作るかを学び、最後にはグループに分かれ自分たちで音楽作りにチャレンジしできあがったものをステージで披露してもらうんです。
サーシャ:素敵ですね!
オオトロ:3時間程のワークショップの中で、最初はみんな恥ずかしがるのですがだんだんと打ち解けてきます。ワイアナエ高校やファーリントン高校、カリヒカイの高校などいろんな学校の学生に教え、1年に一度モロカイ島にも行きます。今年はDJやブレークダンサー、歌手などいつもより多いファシリテーターが参加してくれて、彼らと協力しながら進められました。これからもっと大きなプログラムにして、学校のカリキュラムとして加えることができたら良いなと思っています。
サーシャ:参加できるのは高校生だけですか?(笑)。
オオトロ:今のところは、そうですね(笑)。これから高校生だけでなくもっとたくさんの人を受け入れていきたいです。
サーシャ:そうなったら絶対参加したいです! 今はパンデミックで学校に行けなかったり、アクティビティに参加できない学生がたくさんいたりする中で、オンラインだとしてもこういったプログラムがあるのは本当に良いことですよね。
オオトロ:私はLAとカポレイで7年間教師をしていたのですが、教室で実際に会うことなく教えることは今までなかったですね。
サーシャ:何の科目を教えていたんですか?
オオトロ:数学です。
サーシャ:すごい!
オオトロ:ハワイに引っ越して来て最初の5年はカポレイで教えていました。学生からしっかりと尊敬される存在でないと教えることはできないと思うので、自分が教室のボスであるように思いながら教えています。LAにいた時はクラスの平均が80%と良い成績を残せました。このような教師としての経験がサウンドショップのプログラムでも役立っていると思います。
サーシャ:オオトロさんも学生の未来を尊重してるからこそできることだと思います。学生たちに成功してほしいという思いがすごく伝わってきます。私も知っているワイアナエの学生が何人かいますが、パンデミックの今、夢を追うことがとても難しくなっていると思うんです。人と会ったり、自分がやりたいことができなくてモチベーションが低くなってしまいますが、オオトロさんはみんなに夢を追う機会などを作っているので本当にすごいと思います。
サウンドショップのプログラムに参加する若い学生たちは興味があっても何を聴いたら良いかなど、わからないことがたくさんあるのではないでしょうか?
オオトロ:ヒップホップの始まりは、ネガティブなことをポジティブなことに変えることです。学生達にはネガティブなことからポジティブな方法で何かを作ってみてと伝えています。ワイアナエの学生の中にヒップホップが本当に好きな子がいるのですが、毎年会うたびに良くなっています。この「ネガティブなことをポジティブに変える」というヒップホップのフォーマットは人生においても役立つことだと感じています。
サーシャ:深いですね。聞いていると私もインスパイアされます。誰にとっても辛い状況の今、「ネガティブなことをポジティブに変える」というコンセプトはとても大事なことだと思います。
オオトロ:本から学ぶというクラシックな学習法ではありませんが、とても良い学びの機会だと思います。私は、必ずしも本から学ばなければいけないとは思っていません。パブリックスピーキングを通して自信をつけたり、他の人との交流を通して自分の考えを確立し視野を広げたり…本以外からも教えられることがたくさんあります。自分一人で教えるのではなくて、MCやダンサーなど様々な特技を持つファシリテーターや、異なる人種や民族背景を持つ学生がヒップホップ好きという一つのクルーとして集まるからこそ学びの場ができていると感じます。
サウンドショップのクルーと(Ohtoroさんのインスタグラムより)
サーシャ:サウンドショップは8年前にスタートしたんですよね。始めようと思ったきっかけは何だったんですか?
オオトロ:アリーのプロデューサーが不在だった時に、彼女と一緒に美術館でショーを行いました。2つのライブで演奏をして、その後にホノルル美術館のスタッフとアーティストにレクチャーするレッドブルミュージックアカデミーのようなものをしたらどうかと…それが一番初めのアイデアでした。その後高校生に教えるのはどうかという話になったんです。そして、アーティストがステージで演奏し、交流を深められるようなワークショップを開くようになりました。ギャラリーで展示がある時はそれをテーマにするなど毎回テーマに基づいたワークショップにしています。テーマについて学生に問いかけるのですが、彼らから出てくるアイデアを見るのはとても面白いです。
クプナやローカルアーティストがファシリテーターとして参加し学生たちに教えるので、学生たちも夢が叶うわけがないと思うことなく自分達にもできるかもしれないと感じられますよね。
サーシャ:夢を持ち目標に向かって行動することは良いことですよね。オンラインに切り変わって対面でのワークショップがなくなってしまったりといろいろと難しいことがあると思いますが、ミュージシャンとして大変なことはありますか?
オオトロ:難しいのは、アイデアが多すぎることですね(笑)。10週間しかないのにアイデアがたくさんありすぎてスケジュールを管理するのが大変です。アーティストにプレッシャーをかけすぎてしまっているかもしれません(笑)。
やりがいを感じるのは、自分が作った音楽が他の人から好評だった時ですね。日本のファンの方から、新しいアルバムはいつ出るのかと聞かれた時や、4月にリリースしたレコードが発売と同日に売り切れた時はとても嬉しかったです。
あとは、フリースタイルのリミックスを演奏して、それが良い結果に結びついた時もやりがいを感じます。サーシャ:オオトロさんは本当にテイストが良くて、周りの人たちも巻き込んで活動していて、まるで磁石みたいにオオトロさんの周りに自然と良いものが集まってきているみたいです。オオトロさんの音楽を聴いているとグループの方はみんな良い人なんだなってわかります。
オオトロ:誰かと一緒に活動して何かを作りあげるときも、グループをまとめたりスケジュールを管理したり…教師としての経験が役立っていると思います。
今年の年末にはニックと「Univibes」というアルバムをリリースする予定ですが、音を鳴らすとほかのところで共鳴するように、人のポジティブなエネルギーも共鳴すると思います。お互い良い刺激を与え合いながら同じ熱量でコラボを楽しんでいます。サーシャ:お話を聞いていると楽しくてつい話しすぎてしまいます。パンデミックでも音楽は作り続けているんですか?
オオトロ:そうですね。みんなにとって大変な状況で仕事がなくなってしまったという方もいますが、音楽作りの活動は続けています。たくさん曲を作れているわけではないのですが、パンデミックでみなさんが音楽を聞く時間が増えたからか、サーシャが出演している番組やハナホウ、日本語日刊新聞「ハワイ報知」などのメディアで取り扱ってもらい、もっとたくさんの人に私の音楽を知ってもらえる機会にもなったと思います。そういったことももっと音楽を作っていこうというモチベーションになっています。
「大きな博物館を作るように散らばっている点と点を繋いでいきたい……」
サーシャ:今後の目標はありますか?
オオトロ:熊本にルーツを持つ父についてのアルバム「Kumamoto」を作ったことがあるのですが、次のアルバムは戦時中にコロラドの強制収容所で生まれた母について伝えたいと思っています。今まで話したことはなかったのですが、移民が増え文化がぶつかり合うことが増えている今がこのストーリーを伝える良いタイミングだと思っています。とくに日本の方は当時の日本人キャンプで日系人がどのように扱われていたかなど知らない人も多いと思います。私は日系4世で、家族としてのアイデンティティはアメリカですが、以前はアメリカと日本は敵同士でしたよね。そういった母のストーリーを伝えたいです。
サーシャ:とても力のあるストーリーになりそうですね。
オオトロ:実際に起こっていたことをもっとたくさんの人に伝えられるものを作るために、いろんな美術館やキャンプ、日本にも行きたいですね。忘れてはいけないことだと思うので。
あとはニック・クロサワ、カウアイの歌手のケルシー・アームストロングとのアルバム作りに励んでいます。ローカルミュージシャンのZachtoroとのアルバム作りにも取り組む予定で、今年はヒップホップが多かったのでR&Bにしたいなと思っています。
サーシャ:それは楽しみですね! 世代関係なくたくさんの人がインスパイアされると思います。若い世代の人がオオトロさんの音楽を聴いて文化などいろいろなことを学んで、これから先の未来が豊かになると良いですね。
オオトロ:もっと内側にあるものと向き合ってみると、ユニークな文化の中で育ったことに気づきそれを誇りに思いました。この4年間は、自分の日本人としてのアイデンティティがもっと強くなってきました。母の両親が亡くなり、自分の先祖やルーツについてもっと知りたいと思ったのですが、母はあまり話したがらないので自分でもっと調べてみようと思います。
プナヘレなどいろんな人が自分のストーリーを伝えていますが、そろそろ自分が語り継ぐ番がやってきたと思っています。ひとつの大きな博物館を作るように散らばっている点と点を繋いでいきたいですね。
サーシャ:ナホクハノハノアワードでは6回ノミネートされていますが、受賞はまだですよね?
オオトロ:ナホクハノハノアワードのヒップホップのカテゴリーはまだエントリーする人が少ないので作った音楽を送っています。送らないとノミネーションがなくなってしまうので、ヒップホップのコミュニティの中でもみんな作った音楽を送るようにしています。今年で8回めのノミネートになります。
サーシャ:すごいたくさんノミネートされているんですね!
オオトロ:まだ受賞したことがないので、今回は受賞したいですね。
サーシャ:絶対その時が来ると確信しています!
オオトロ:私はナホクハノハノアワードが自分の音楽に意味を与えるとは思わないので、ナホクハノハノアワードで受賞するのを目的に音楽を作ることはありませんが、アーティストをサポートするナホクという団体やその活動はとても好きです。こういった音楽の祭典があるのは良いことですよね。
ナ・ホク・ハノハノ・アワードのノミネート曲「The Kings' Lessons Volume One」(Doctabarz)
・サーシャ:モチベーションにもなりますよね。オオトロさんも絶対受賞すると思います。2年前のナホクハノハノアワードにも行こうとしたんですよ。
オオトロ:私のレコード「Yonsei」がノミネートされたことがあったのですが、その時は袴を着て、奥さんは着物を着て行きましたよ(笑)。
サーシャ:素敵〜!!
オオトロ:今年のナホクも楽しみですね。コンベンションセンターではなく屋外で開催するなどいろいろと変更しないといけないことが多いと思いますが…。
サーシャ:応援しています!本日はどうもありがとうございました!
★インタビューを終えて★
ハワイの音楽というと、ハワイアンミュージックとかスラックキーギターとかウクレレとかルアウで聴くような曲を想像すると思うんですが、オートロさんの曲はセンスが良いうえにすごくハワイを感じられて……また違った魅力があるんです。オートロさんの曲を聴くと、仕事に行くときも「今からビーチに行くのかな。」と思うくらい気持ちが良くなるので、日本の皆さんにももっと知ってほしいし聴いてほしいと思います! ぜひオートロさんの曲を聴いて「新しいハワイ」を感じてみてくださいね〜。
【サーシャからのお知らせ】
OhtoroさんのレコードやOhtoroさんがデザインしたピンバッチがサーシャのサポートハワイ公式ウエブサイトからご購入いただけます! ぜひチェックしてみてくださいね〜。
★ハワイに恋して!最新情報★
次回放送日:7月12日(月)21:00〜
放送内容:#73「まことちゃんプレゼンツ!レンタカーで巡る!ハワ恋絶景 ドライブ企画」今年で11年目を迎える「ハワイに恋して!」が4月からは月曜日21:00へお引越し!今 回はまことちゃんプレゼンツ!レンタカーで巡る、ハワ恋絶景ドライブ企画にサーシャが挑戦。自由度抜群のレンタカーで、目的地までのんびりと風景を眺めながら移動するのがドライブの醍醐味。ハワイのドライブスポットやその魅力をたっぷりご紹介します!
ハワイに恋して!の公式ウエブサイトはこちら>>>
サーシャ/Sasha
大阪生まれの日英バイリンガル。幼少から1年の半分は米国で過ごす生活を送り高校からハワイへ移住。17歳の時に出演したテレビ番組がきっかけでタレント活動を開始し、現在BS12 トゥエルビ「ハワイに恋して!」にレギュラー出演中。
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