メレを旅するハワイ〜ハワイ島カワイハエ
文筆家、フラナビゲーターであるよしみだいすけさんが、メレを旅するハワイをテーマにしたコラム。今回はハワイ島カワイハエについてご紹介。
公開日:2024.04.03
メレ(うた)を旅するハワイ
第七十三回:「メレを旅するハワイ〜ハワイ島カワイハエ」
Aloha from Mānoa!
ハワイ旅行を心待ちにしているフラダンサーに提案します。
次のハワイではメレ旅に出かけよう!「メレ旅」とは、メレ(フラソング)に歌われた景色を探す旅です。
メレには、ハワイの人が愛するいろいろな土地のことが歌われています。それぞれの島にちらばるそんな場所を訪れる「メレ旅」が、フラダンサーのハワイ旅行をより有意義なものにしてくれます。今回はハワイ島カワイハエのメレ旅です。
上の動画(3:05-5:14)でカメハメハ・スクールの男子生徒たちが踊っているのは「Kawaihae Hula」という曲。
この歌がたたえるのは、ハワイ島の北部コハラ半島の西側にある海辺の小さな町カワイハエ。
こんな歌い出しです。
ʻIke ʻia e mākou ʻo Kawaihae
I ke kai nehe ʻōlelo me ka ʻiliʻili
(Kawaihae Hula by Bill Aliʻiloa Lincoln)わたしたちに見られるカワイハエ
海では波が小石と囁いているヨットハーバーと港、そのとなりに歴史的史跡「プウコホラ・ヘイアウ」がこじんまりと集まっている。それ以外は広い海と赤土の乾いた大地が広がっているだけ。
「Kawaihae Hula」の3番の歌詞にはマウナケアとポリアフが歌われています。
マウナケアからはだいぶ距離があるまったく別の場所をたたえる歌の中で、なぜマウナケアが唐突に歌われるのだろう?
そんな素朴な疑問はカワイハエを訪れたときにあっさりと解決します。カワイハエからもマウナケアの山頂が見えるのです!
カワイハエの歴史的史跡ヘイアウの名前「Puʻukoholā」は「クジラの丘」を意味するハワイ語。海から見ると確かに巨大なクジラの背中のようです。
「ここにヘイアウを造れば島々を支配できる」という予言にしたがったカメハメハ1世が、戦の神を祀るヘイアウとして1791年に建設。そして予言通り1810年にカメハメハによるハワイ諸島統一は実現しました。
この丘の周辺の景色を歌ったのがこちらのフラソング。
Huli aku nānā iā Mailekini
A me ka ʻae one kea o ʻŌhaiula
(Kawaihae by Kuana Torres Kahele)
振り返って眺めるマイレキニ
そばには白砂のオハイウラマイレキニはこの「クジラの丘」ににあるもう一つのヘイアウ。
「オハイウラ」は丘の麓にあるビーチの名前です。
カワイハエを歌う歌に「プアカイリマ」という言葉が出てきます。前出の「Kawaihae Hula」、そしてIZが歌う「Kaulana Kawaihae」に聴くことができます。
Pua-ka-ʻilima 「イリマの花」という意味の言葉ですが、地名のようです。しかも、それは1946年の津波にのまれてすでに存在しない小島の名前。その近くにあった同じ名前のサーフポイントも、リーフの上に建設されたハーバーの工事で失われてしまいました。
「プアカイリマ」は当時を知る現地の人々の思い出と、歌の中にだけ今も残っているというわけです。
Kaulana o Kawaihae
I ke kai hāwanawana
E ʻōlelo mai kahiko mai
O Puakaʻilima
(Kaulana Kawaihae by Kailihune Alama Naʻai)
名高いカワイハエ
ささやく海のそば
古くから伝えられるのは
プアカイリマのこと
次にハワイ島へ行くときには、今回紹介したカワイハエにも訪れてみてくださいね。
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ハワイからのライブ配信もお楽しみに。
よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え
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